2012/07/30 by Matsue

被災地コミュニティ再建の助っ人―NGO「コミュニティ・アクション」の災害救援活動

話し合いの場を作り上げるスペシャリスト

災害発生後の復興期において、住民参加や互いの利害調整は避けては通れない重要なプロセスだ。2008年の四川大地震発生後、政府による復興は目覚ましいスピードで進んだが、公共サービスの復活や被災した建物の再建・耐震改修などの方法・費用負担等をめぐって、住民間には様々な紛争が発生した。民主的かつ効果的な話し合いに慣れていない人々の間では、行き詰まりを見せる局面も多々あったという。そうした現場に第三者の立場で参加し、地域コミュニティ再生の道筋をつけるという独自の活動を行ったのが、参加型コミュニティ自治を推進するNGO「コミュニティ・アクション・サービスセンター(以下「コミュニティ・アクション))」だ。

団体概要

「コミュニティ・アクション」は2002年に環境NGO出身の宋慶華氏が設立。すべての人には、コミュニティ活動を通じて公正公平で活力に満ちた社会の構築のために貢献できる力があるというビジョンのもと、都市コミュニティの住人が自らのコミュニティへの参加能力を獲得し、それを向上させることを支援する。主な活動は、住民ニーズに基づいたコミュニティ・サービスのプロジェクト化管理の推進、コミュニティ・サービス型住民組織の育成によるコミュニティ自治の促進、「オープン・スペース」など一連の討論の技法を応用した市民参加活動及び民主的な討論会の開催、コミュニティ内外の紛争の調停、キャパシティ・ビルディング研修、研究・出版など。事業は以下のように循環的に進められる。

1.住民ニーズの発見

2.問題解決能力を高めるキャパシティ・ビルディング研修の実施

3.話し合いの場と技術を提供し、住民組織の発足と実践をサポート

4.フィードバックを収集して経験を総括し、モデルを複製・拡大 → 住民ニーズに戻る

団体の魅力:話し合いの場づくりから自治を生み出す

例を挙げよう。ある地域コミュニティでは公共スペースに乱雑に置かれた自転車や私物の多さに悩んでいた。「コミュニティ・アクション」は、末端行政組織である住民委員会と協力して「オープン・スペース討論会」を開催し、この問題に対する住民からの意見を集めて改善案を決定し、住民参加の清掃活動を行った。その後、自治管理委員会の選挙を行い、委員を選出。選ばれた委員は当初政府の無作為に対し最も大きな不満を抱いていた人たちだったが、結局彼ら自身が問題の解決に乗り出した。自治管理委員会として環境整備のための募金活動を行ったり、休憩場所の建設を企画・施工したり、住民会議を開催して住民公約を起草したりして目に見える変化を起こした結果、彼らはコミュニティにより深く関わり、住民自治に自信を抱くようになった。その後も「コミュニティ・アクション」は、自治管理委員会、住民委員会とともに三者定例会を行い、住民自治が軌道に乗るのを見守った。

このように「コミュニティ・アクション」は、宋代表の親しみやすい魅力と明確なリーダーシップのもと、各コミュニティの特徴に応じてプログラムを組み立て、住民のコミュニティ参加への意欲を引き出している。

被災地再建支援

四川大地震発生直後、「コミュニティ・アクション」は敢えてすぐに駆け付けることはせず、募金や援助物資の調達に努力した。混乱が一応収まったあとこそが、彼らの出番だからだ。しかし2か月後に出向いた被災地では政府のコントロールが厳しく追い返された。ようやく半年後、現地NGOの仲介により、四川省綿竹市剣南鎮に入り、鎮政府との間でコミュニティ再建支援活動の契約を結んだ。コミュニティ再建にあたり、「コミュニティ・アクション」は以下の目標と方法を設定した。

  1. コミュニティのニーズと能力に立脚し、現地の行政と協力してコミュニティに自己決定の機会をもたせる
  2. 行政による再建は、インフラ等ハード面と同時にコミュニティ自治や住民の自主的な発展を促すソフト面を結び付けることを重視するよう提案する
  3. コミュニティの住民組織とコミュニティ・ビジネス育成を重視

 

まずは剣南鎮政府のスタッフに対し、如何に住民の声を聞くべきかという研修を行った。鎮政府の情報は公式ホームページに掲載されるが、多くの住民はパソコンを使用する習慣がない。そこで、鎮政府の末端組織である住民委員会がコミュニティに掲示板を設置して、被災住宅の扱いなどについて住民への情報提供を行った。それ以来住民は住民委員会の担当者に挨拶をするようになったという。また損壊した個人住宅の再建補助について住民説明を行ったときも、当初政府側は住民の批判にさらされることを恐れていたが、「コミュニティ・アクション」の説得によりその同席の元で説明会を開催し、結果的には逆に住民に信頼されるようになり、政府側も住民との対話に積極姿勢を見せるようになった。さらに仮設住宅に住む被災者の多くは失業していたが、鎮政府は一人1カ月500元の給料で、ひとつの仮設住宅コミュニティ当たり50-60人に仮設住宅内の公益的業務を斡旋し、多くの生計を助けることになった。仮設住宅から出た人々の生活についても「コミュニティ・アクション」は討論会を開き、自分たちにどんな職業的能力があるかを話し合い、女性のための手芸工房建設やコミュニティ・シニアホームの再建につながった。

また、綿竹市三星地区では地震の被害を受けたアパートの改修費用の分担について住民の意見がわかれ、5カ月間に渡り争っていたが、「コミュニティ・アクション」と北京から招聘した専門家の調停によりワークショップの手法を使って約2時間で解決した。

(詳しくは以下を参照:http://csnet.asia/archives/4820 )

アフターフォローのプロジェクトも実施しており、地方政府との会議のほか、地方政府・専門家・現地NGO・コミュニティ代表者を集め、復興のプロセスを振り返り、未解決の課題について話し合うオープン・スペース討論会を開いている。

まとめ                                                                       

震災後のハード再建の進展に伴い、「コミュニティ・アクション」は、地方政府に働きかけて彼らのコミュニティに対する統一管理モデルを変え、行政・コミュニティ組織・住民・社会的資源が多様な連携を通してコミュニティを建設するというスタイルを提案している。地方政府との提携に当たっては、都市コミュニティにおける参加型自治の理念と民間公益団体の業務能力及び「コミュニティ・アクション」の業務方法を政府に認識させることに力点を置いている。また政府が業務方法を変え、下から上へあがってきた仕事をコミュニティ発展に活かして資源分配と自治管理をすすめるよう促している。

住民の多様なニーズを満足させ、住民自身による持続的発展が可能なコミュニティ組織を構築するには、育成・サポートが必要だ。コミュニティ組織はコミュニティ・サービスを展開する過程で、住民と組織の能力を向上させることができ、それがコミュニティに良好な秩序をもたらし、コミュニティひいては社会の安定を維持することにつながる。「コミュニティ・アクション」は地道な実践を積み重ねることで自らの技術を磨き、自立的なコミュニティの創出にますます貢献していくだろう。

2011年12月の日中民間災害救援交流活動で来日した宋慶華は、日本の民間復興支援を視察して、以下二点について大きな学びを得たと述べた。一つ目は外部からの支援団体が現地で活動するためには、現地との協力が不可欠であること。二つ目は、被災者コミュニティにおいて、公共スペースでの心の交流が被災者の立ち直りに非常に重要だということである。

日本への示唆

少子高齢化の進展に伴い、日本でも地域コミュニティ崩壊の問題が日増しに深刻になっているが、中国でこうした泥くさい面倒な問題に果敢に取り組む「コミュニティ・アクション」の活動が、被災地再建のみならず、機能不全に陥っている日本の一部の自治会やマンションの管理組合の活動に与える示唆は決して少なくないだろう。ひとりひとりが「コミュニティへの参加能力」を持つこと、そして実行することが今後の日本人にとっても大変重要だと思う。

体情報

コミュニティ・アクション・サービスセンター

社区参与行動服務中心

電話(TEL):010-54252191

ファックス(FAX):010-84252191 EXT.603

ホームページージ(WEB):WWW.SSCA.ORG.CN

メール(E-MAIL):TEAM@SSCA.ORG.CN

 

執筆者:松江直子

執筆者所属:日中市民社会ネットワーク

写真はコミュニティ・アクション公式ホームページより転載

参考資料:コミュニティ・アクション公式ホームページ、2011年12月日中民間災害救援交流活動発表資料

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