2012/06/01 by Matsue

みんなのチャリティーショップ

2010年末、ある新しい公益ウェブサイトが突如として姿を表した。そのサイトの中国語名は善淘網。とても覚えやすいが、そのアドレスは少しばかり変わっていて、www.buy42.comという。英語が分かる人なら、恐らくすぐにその意味が分かるだろう。”42”は英語で読むと「フォー・トゥー(for two)」となる。「バイ・フォー・トゥー(buy for two)」であれば、意味は容易に理解できる。つまり、買い物は、ただ自分の喜びのためだけにするものではなく、他の人を助けることもできるのだ。

善淘網は、「中国初のオンラインチャリティーショップ」である。個人や企業から寄付された、使わないままになっていた物を受け入れ、厳しい管理を経てウェブ上で売りに出している。消費者は、このオンラインショップを通じて、安くて良い品を手に入れることができるのだ。売上は全て、2つの目的に使われる。ひとつは、ウェブ上で協力をしている公益プロジェクトを支援するため、そしてもうひとつはチャリティーショップ自身の運営と持続可能な発展のためである。善淘網の経営モデルははっきりとしているが、その内面は決して見た目ほど単純なものではない。そこで、このモデルを理解するにあたり、まずは「チャリティーショップ」についてよりいっそう理解する必要があるだろう。

善淘網を創設した周賢が初めて「チャリティーショップ」というコンセプトに出会ったのは、2007年だった。彼女はその年、生きることの意義を改めて考えた結果、自身が以前に設立した企業を辞め、公共政策マネジメントを学ぶためにイギリスに行った。と同時に、イギリスの社会的企業の発展について考える中で、将来的に経済的利益と社会的利益の両方を生み出せる事業を始めたいと考えるようになった。イギリスに一定期間滞在したことのある人の多くは、イギリスには至る所にチャリティーショップがあることに気付くだろう。これらのショップは、公益団体が設立しており、その多くは繁華街やコミュニティセンターにある。販売しているのは、近所の住民から寄付された、使わないままになっていた物品で、販売で得られた収益はその公益団体の運営に充てられている。効果的な資金調達方法のひとつとして、チャリティーショップは100年以上も前からイギリスにはあり、現在では、全英で7,500あまりのチャリティーショップがある。年間売上高は4.5億ポンド(約562億円)にのぼり、古着の販売だけで毎年CO2の排出量が250万トン減っている。

ただ、周賢に最大の衝撃を与えたのは、こうした表面的な数字ではない。彼女が気付いたのは、中古品が決して「二流」商品ではないということ-つまり、事実上、チャリティーショップで販売されている商品のなかにはほぼ新品のものが少なくないということだ。多くの人が寄付をするのは、その品物が使えなくなったからでは決してなく、自分が使わなくなったからである。また、一般の人は平気で中古品を買っており、それで体面を失うとはみじんも思わない。一部のビンテージ品の洋服を販売している店では、多くのスターを見かけることさえもできる。

明らかに、こうしたイギリスのチャリティーショップのモデルは、コミュニティ住民の不用品のリサイクルと、公益団体の資金調達の問題を同時に解決している。そして、このふたつの問題は中国にも同じく存在しており、場合によってはより深刻な状況である。

ならば、チャリティーショップという既に出来上がったモデルを、直接国内に導入すれば良いではないか、という人もいるかもしれない。しかし、真剣な調査研究の結果、周賢はチャリティーショップというモデルを直接海外から取り入れても、中国の実情に合わないという深刻な問題に直面するかもしれないことに気付いた。その主な理由は、考え方の違いと、それに起因する行為の違いである。多くの人民にとって、他人が以前使っていた物を買い、使うことは、いわゆる「恵まれない人々」がやむを得ずする行為にすぎず、仮にある中古品が気に入ったとしても、それを何の偏見もなく買って話題にできる人は少ない。たとえ人通りの多い地区にチャリティーショップを開いたとしても、たくさんの寄付品が集まり、売れ行き好調になるのを期待するのは難しい。また、国内の公益組織は、大部分が自力でチャリティーショップを開設するのに必要な資金を十分に持ち合わせておらず、ましてやショップの運営に必要とされる専門知識や技能があるかなどは問題外である。

このように、チャリティーショップを実店舗として現在の中国で開設することは全く現実的ではない。そこで周賢は視点を変え、ネット上で慈善的な買い物ができるプラットフォームを創設しようと考えた。こうして「善淘網buy42.com」のアイデアが生まれたのだ。インターネットの利点のひとつは、地域という物理的な壁を越え、より幅広い人々にアプローチできる点にある。そのため、実店舗が直面するかもしれない顧客不足という状況もネットショップには存在せず、むしろかなり大規模な潜在顧客を有することになる。このほか、プライバシー保護や便利さといったネットショップの特徴も、より多くの人が中古品を買う後押しをしている。より絶妙なのが、買い物をすると同時に、消費者は善淘網上にリストアップされた多数の公益プロジェクトの中からひとつを選び出し、自分の支払った代金をその資金サポートに充てることができるという点だ。こうして消費者は、安くて良い品を「探し出す」だけでなく、より多くの一種の「慈善的」買い物体験もできるため、ウェブサイトの顧客に対する「捉えて放さない力」はいっそう強いものとなる。

1年もの長期にわたる資金集めとサイトの構築を経て、善淘網は2011年1月に正式に開業した。その処理能力と実際の需要を考慮し、善淘網が現在受け入れ、販売をしている主な寄付品は、衣服と装飾品である。第一回の寄付品は、まず個人の寄付者から開始し、その後寄付の供給元を企業やコミュニティまで拡大した。

善淘網の目新しく独特な業務モデルは、すぐにメディアの関心をひいた。メディアへの露出がもたらした直接のメリットは、(メディアに取り上げられてから)一般庶民からの寄付が日々増えていったことだ。現在のところ、善淘網は全国各地から送られてきた寄付品を毎日受け取ることができている。

商品にどのようなバックグラウンドがあるかに関わらず、善淘網は売りに出す寄付品に対して、高い品質を要求している。これは、一般の人が「中古品」は「二流品」ではなく、チャリティーショップが「ごみ」処理の場所では断じてないということを意識するようになることを望んでいるからだ。善淘網が受け取る寄付品のなかで、大体半分は、100%新品か、ほぼ新品で、そのまま売りに出すことができる。残りの半分のうち、多くはそのまま商品とすることはできないものの、材料として利用し、デザイナーが手を加えることで、リュックや風呂敷などの創意あふれた新製品になり、売りに出すことができる。こうしたオリジナル品は、たいへん受けが良い。

善淘網のようなネット上のチャリティーショップと実店舗の異なる点は、販売方法だけではなく、たくさんの裏方作業にも存在している。寄付された衣服を受け取るのは、業務の流れ全体の第一段階にすぎない。それに引き続き、大量の寄付品の分類や整理、アイロンがけ、写真撮影、ネット上へのアップロード、倉庫での保管、カスタマーサービスなど、数多くの煩雑できめ細かい業務のプロセスがある。

特筆すべきは、善淘網の構想に基づき、こうした裏方作業を、障がいを持つスタッフがより多くこなしているということだ。一般の障がい者サポート施設とは異なり、善淘網は障がい者のことを、受動的で「サポートの必要な」人として扱うとは一切言っていない。そうではなく、差異はあるが平等な仕事のパートナーとして捉えており、各人の特徴にあった仕事に携わることで、収入や達成感、そして尊厳ある生活を得ることができると考えている。現在、善淘網の運営センターの主な管理スタッフや画像処理スタッフなどは、みな四肢や精神に障がいのある人である。彼らが真剣で一生懸命に裏方作業をこなしていることは、大きな貢献となっている。将来的に、運営センターの業務をより専門化、標準化できれば、善淘網は障がいのある人々により多くの就業機会を提供することができるようになるだろう。

公益に関連する製品をより多く販売する以外に、善淘網はネット上のプラットフォームの強みを生かして、一般の人々の間に公益という理念と意識を普及させたいと考えている。善淘網は、買い物にやって来る消費者みなに明確な公益的な目的があり、自分が気に入った公益プロジェクトの資金集めのために中古品を買う、という状況をこれまで期待したことはない。実際、善淘網を見ても、そのような消費行為は逆に続かない。人々が善淘網にやって来て買い物をするときに、まず重視するのは、安くて良い品がある-つまり、10%オフの価格でほぼ新品の流行の服を手に入れることができる、ということだ。買い物は、一種の日常行為であり、「利己的な」動機でリピーターになってもらい、毎回の買い物の「ついでに」公益のためにちょっとした貢献をしてもらえる。これならば、自身の負担にはならない。こうした方法によって、知らず知らずのうちに、「道徳的消費者」となる利用者がどんどん増え、公益事業に自発的に関心を持ち参加するようになるのだ。

 

〔図〕善淘網は既に、山村の子どもたちが卵を食べられるようになるためのサポートもしている

善淘網は、ネット上のプラットフォームを通じて、「みんなのチャリティーショップ」を作り上げ、チャリティーショップを普通の人々が気軽に参加できる日常的な公益行為に変えたいと考えている。このプラットフォーム上で、寄付者は同時に買い物客でもあり、買い物客は同時にどこかの公益組織のボランティアでもあるかもしれないのだ。そして彼らはまた善淘網のボランティアにもなり、このような新しく生まれた公益事業の資金集めの方法に貢献する力となる可能性もある。そこで、善淘網は、自身がネット上の「コミュニティ」となり、そこで集まったものが、ひとつの共同事業のサポートパートナーとなることを望んでいる。

と同時に、善淘網は「チャリティーショップ業界」の発展を自身の使命のひとつとして推し進めたいとも望んでいる。善淘網で多くの社会の関心を集め、実際にその効果が表れてからというもの、ますます多くの公益組織が、場合によっては学生団体もが、自分たちのチャリティーショップを開設しようと試みはじめているのだ。

善淘網の運営スーパーバイザーの徐璇曾は次のように指摘している。「チャリティーショップが集まることで生まれるのはコミュニティ精神である。これは、使わないままになっている物を楽しく解決する方法を提示し、平等と互助の理念を提唱している。そこには、施しをするから道徳的に優れているとか、感動したから大金を惜しげもなく使うといったことはない。そこは、ストーリーと愛が集中した場であり、そこでは、参加した全ての人がより良い自分を見出すことができるのだ」

作者:顧遠

雑誌「社会起業家」2012年3月号より編集、翻訳して転載

原文:http://www.npi.org.cn/uploads/magazines/npo/2_1331_124624.pdf

編集:李君暉

翻訳:三浦祐介

校正:棚田由紀子

This post is also available in: 簡体中国語

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