2012/07/25 by Fancy

好事魔多し:雲南視察ツアー2012

ただいま、雲南から帰ってきた屋久子です。東京は暑い!20度の昆明と10度の白馬雪山は、いまや天国のように思えます。標高が高い分、空気が薄くて苦しかったけど、風景は美しかったし、ヤクのミルクも美味しかった。保護区の皆さんと歌って踊って本当に楽しかった!もちろん、仕事もまじめにやりましたよ、ちゃんと(笑)。今回は、まず雲南ツアー全体についてご報告したいと思います。関係者の方々からのご感想とご意見はこれから続々とご紹介する予定です。お楽しみに~


白馬雪山自然保護区で集合写真
(左から:保護区スタッフの提布さん、Winrockの李、自然学校を設立した専門家の広瀬さん、牧畜民の格桑さん、エコツアー専門家の小原さん、保護区局長の肖さん)

今回の視察は、6月24日から7月1日までの7泊8日のスケジュールで行いました。日程は以下の通り:

6月24日(日)
上海で集合、浦東空港から虹橋空港へ移動、飛行機で昆明へ
6月25日(月) 
午前:昆明交流会 夜:昆明→シャングリラ 宿:旧市街にあるホテル
6月26日(火)
シャングリラ→白馬雪山国家自然保護区(車4時間+徒歩1.5時間)。途中で宗教的に重要な役割を果たしている東竹林寺を訪問
夕方頃、保護区の「曲宗貢」ベースキャンプに到着
夜:歓迎晩餐会
6月27日(水
昼:白馬雪山カール地形体験ツアー
夜:研修I 講師:広瀬氏、小原氏、対象:保護区スタッフ、現地住民
6月28日(木)
午前:白馬雪山→徳欽(車で約2時間)
午後:研修II 講師:広瀬氏、対象:保護区各支部のスタッフ(場所:保護区の徳欽事務局)徳欽→梅里雪山明永村(車約2時間)
夕方:梅里雪山斯農村チベット族巡護隊隊長と会談
夜:明永村村長と会談
6月29日(金) 
午前:梅里雪山明永氷河ツアー
昼:明永村→徳欽県(車で約1時間)
午後:専門家が体調不良で徳欽県病院で治療を受ける
夜:徳欽→奔子欄(車で約3時間半)
6月30日(土)
午前:奔子欄→麗江(車で約4時間)麗江旧市街見学
麗江→上海(飛行機)
7月1日(日)
昼:上海のNGOと食事・交流
午後:上海→東京/大阪


保護区「曲宗貢」ベースキャンプに到着した一行
前右から時計回りで:広瀬さん、小原さん、肖さん、朱(屋久子)

去年8月に実施した視察ツアーと比較して、今回の訪問は、主に三つの特徴があります。

まず、今回の主要な任務は、現地調査のほか、保護区の職員や現地住民を対象に研修を行うことです。

昨年度は日中関係者の相互訪問を通じて、お互いに基本情報を把握することができました。今年は、より実質的な交流を実現するために、まず、白馬雪山保護区の職員と現地住民を対象に、日本側の専門家による研修を行いました。

平均標高3000メートル以上の環境の中で、二人の専門家は高山病と戦いながら、ツアーを最後まで完走し、キャンプに戻っても、プレゼン用のPPTを修正したり、説明用の道具をつくったり、この二日間で取った写真や思ったことを事前に用意した資料に加えながら、なるべく現地の状況に合うような研修内容に作り直しました。親身になってつくった資料や、道具や写真を活用しながらわかりやすく説明する姿勢に、参加者は深く感銘を受けた様子でした。


6月27日夜、ベースキャンプで行った研修の様子
その後、遅れてきた牧畜民たちも参加

研修の第二部では、保護区の要望に応じて、徳欽事務所で各支部の職員を対象に、「自然学校の作り方」をテーマに研修を行いました。生物多様性が豊かな自然環境を生かしながら、地域づくりに貢献できるような環境教育を行いたいと思う保護区の皆さんは、自然学校のモデルに興味津々でした。


グループディスカッション

研修の詳しい内容は、近いうちにサイトで公開する予定です。

ツアーの二つ目の特徴は、交流対象の多元化です。昆明で行う交流会では、雲南省で環境活動を行う方が30人以上集まりました。植物園の担当者、環境教育を行うNGOのスタッフ、生物学者、また個人レベルで野外活動を行うクライマーなど、様々な人が参加し、活発な議論ができました。白馬雪山と徳欽で行う研修会はそれぞれ15から20人ほどの参加者がいましたが、保護区の職員だけではなく、地域の住民(主にチベット族の牧畜民たち)も参加して、地域づくりと環境保全について一緒に考えました。

梅里雪山では、現地で自然保護活動を行う「巡護隊」隊長や、明永村の村長と会談することによって、この地域の伝統文化に触れ、観光化がもたらすメリットとデメリットについての現地住民の考えを知ることができました。白馬雪山と同じく三江併流地域に属する梅里雪山は、保護区ではないために、観光化が急速に進んでいて、様々な問題を抱えているようです。私たちは、その教訓から学ぶだけではなく、このプロジェクトでテーマとする「自然共生型地域づくり」に関する議論や、日中の専門家の共同作業によるモデル作りが、梅里雪山の問題解決にも貢献できるように、働きたいと考えています。


巡護隊隊長(真ん中)の自宅を訪問

三つ目の特徴は、やはり厳しい環境に順応するために、最後まで「苦労」したことです。今回のツアーは、去年の教訓もあって、企画する段階から、高度順応に関していろいろ工夫してみました。限られている時間の中で、充実かつ無理のないような日程を組みたかったのです。去年は、1900mの昆明から飛行機で3300mのシャングリラへ移動し、同じ日に4100mの峠を越えようとしたため、激しい高山病でツアーメンバーが脱落することになりました。

今回は、高度順応のために、シャングリラで一泊することにしましたが、三江併流地域の広大さと自然の厳しさに関してはまだまだ認識不足だと、あとで思い知らされました。整備されていない道路で長時間の乗車、薄い空気、なれない食事と水、そしてハードなスケジュール。様々なマイナス要因が重なったことによって、メンバーたちの体調は少しずつ崩れていきました。最後は、点滴を打たなければならない深刻な状態にまでなりました。参加者にたいへんな思いをさせたことに対して、深く反省しています。三江併流のような環境が厳しい地域で活動するために、より万全な準備ときめ細かい気遣いが必要だと実感しました。


白馬雪山を目指す広瀬さん


ベースキャンプを出る小原さん

今回の雲南への旅は、高山病や水あたりでいろいろ苦労しましたが、専門家たちのプロ精神のおかげで、予定された任務はほぼ完了できました。また、天候に恵まれたことについても、神様に感謝しなければなりません。6月末の三江併流地域はちょうど雨季に入る時期で、実際、白馬雪山も梅里雪山も、私たちが到着するまでは大雨が降っていました。

6月28日午後、明永村に向かう途中で見た最高峰カワカブ(6740m、未踏峰)は、雲の中に隠れていましたが、神秘な姿が一同を感動させました。

6月29日午後、明永村から徳欽へ移動するときに見たカワカブは、ハードな任務を果たした私たちの努力へのご褒美のように思えました。

同日、夜8時ごろ、4時間の点滴を終え、奔子欄へ移動する途中で見た、夕焼けの中で輝くカワカブは、さらに、この事業を進めていく勇気と自信を与えてくれました。

好事魔多し。この先は、まだいろんな試練が待っているだろうと思いますが、いろんな方々の力を合わせて乗り越えていきたいと思います。

広瀬さん、小原さん、雲南の皆さん、本当にありがとうございました!これからもどうぞ宜しくお願いします。

次回は、ツアー参加者からの寄稿をご紹介したいと思います。

文:屋久子

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