2012/05/31 by Matsue

上海の高齢者介護施設視察ツアー

LEAD研修などでいつもお世話になっている湘南の高齢者介護施設を運営する、株式会社サンフォーレの職員である柏木尚行さんからのご投稿です。

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2012年5月13日から日本の会社主催の上海の介護施設視察ツアー(3泊4日)に参加した。今までCSnetさんのおかげで数多くの中国の人たちとミーティングをしたり、施設見学をしたり、食事を共にしたりしていたものの私自身が上海どころか中国が初めてだったので、全てが新鮮だった。このツアーでは、上海市内の市の運営する老人ホーム・民間運営の老人ホーム・社区・上海民政局を訪問した。

市当局の話

シニアを取り巻く環境は、総じて厳しく、老人ホームは11万床・長期療養のための施設が3万床・社区は230箇所・配膳センターは400か所という状況で、私が思うに市内高齢者300万人以上を対象にするには決して十分といえるものではありません。こういった状況を踏まえて市では年間5000~10000床ずつ増やしていく予定ということだったが、その財源について詳しく聞く時間はなかった。後から現地の方に聞いたのですが、民政局という部局は行政の中であまり力を持っていないだとか建物の建築に対して補助金が出るなどの制度がある事も知った、この辺りも日本と似ていると感じた。

市営及び民営老人ホームの話

市営の190床ある施設は満床で、待機者は数千人とのこと。介護度1級が80%を占めスタッフは約100人で運営している。国内外問わず事業者の見学が多いらしく、スタッフは見学者の扱いが慣れており中国介護ビジネスへの注目度の高さを感じた。

民営の1つはデベロッパーが母体の老人ホーム運営会社で、団地の様な広大な敷地の中に病院や食堂、要介護フロアー、レクリエーション室、カフェ、フィットネスジム、会議室や池などがありとても老人ホームとは思えないような立派な造りで、デザインした建築会社の力の入れようが感じられた。ただ、入居率はオープン4年が経過して50%以下と、補助金などがなければ危機的状況であろうと思われる。ただ、そこにいる入居者は敷地内の池で釣りをしたり、入居者同士で散歩をしたりしてふれあいが感じられ、国民性の違いを感じた。

もうひとつの民営老人ホームは全体的に日本の施設と似ており1社で3か所の施設を運営している。自立の方がほとんどで入居者のみんなで歌って歓迎してくれたのだが、声が大きくて老人ホームのレクリエーションというより街中の元気なおばさんたちといったような元気さだ。入居者同士がデイルームで井戸端会議をしていたり、ここでも日本ではあまり見かけない風景を目の当たりし、見送りの際には車いすを歩行器のようにして使っているシニアがいて自立度の高い施設ならではの光景に驚きながらホテルに向かった。

 

今回見聞きした上海では、老人ホームへの家族や街中の意識は、あまり前向きではなく「家族にケアしてもらえない人」「自宅でケアしない親孝行でない家族」という認識らしく、日本の措置時代と似ている。その後日本では介護保険が普及し現在に至る。中国には今の所介護保険はないものの、それに代わる基金的な制度や商業保険などを設けるのかもしれないらしいので、それらが普及し高齢者に関わる様々な問題が解決していく事に期待したい。

文と写真:柏木尚行

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