2012/05/30 by jixin

【広瀬敏通】RQの3.11 一周年シンポジウム詳細(五)

お母さんたち自身の手で「さざほざ」ブランドを大きく育ててもらえるように

RQ被災地女性支援センター 栗林美知子さん

RQ被災地女性支援センター(RQW)の栗林と申します。

今日の参加者はRQWのことを知っている方も多いようですが、簡単に成り立ちを紹介させてもらいます。RQWは緊急支援時に避難所を回っている中で、プライバシーのない環境や、女性特有のニーズに応じた支援物資が届いていない状況を見て、女性への支援の必要性を感じたメンバーとそれに賛同したメンバー5人で立ち上げました。一応、代表は広瀬さんです(笑)。

私たちは被災地の復興において、女性が自らを生かして元気に活躍できることをビジョンにしていて、その活動には2つの大きな柱があります。

1つは仮設住宅に移った9月頃から始めた手づくり講座です。避難所から仮設住宅へは抽選で移動するケースが大半で、被災者の方々は隣に誰が住んでいるかもわからない、見ず知らずの場所に移らざるを得ない状況でした。そこでコミュニティづくりのために始めたのが、手づくり講座でした。

もう1つは、経済的な自立を支援する手仕事プロジェクトです。RQWのメンバーの一人、仙台出身の足立さんは、地元の伝統や方言などをアイデアとして出してくれる人で、今回もRQWの手仕事プロジェクトが企画した東北発のブランドに「さざほざ」という名前をつけてくれました。さざほざは“和気あいあい”という意味で、お母さんたちにも和気あいあいと、このブランドを育てていってほしいと願っています。

ひとつ目の手づくり講座の参加者は、2月末で1000人を超えました。これは冬の間、雪道を運転して、講座を続けている現地メンバーのおかげです。1月は1カ月で、参加者が300人を超えました。仮設住宅に入居後、すぐには集会所ができず、お母さんたちは集会所ができるのを楽しみに待っていたんですね。だから集会場が使えるようになって手づくり講座が始まると、1回に30人も集まったり、午前にやると午後もやってほしいと言われる人気の講座になっています。

今までは編み物が中心でしたが、最近は料理、水墨画、体操教室なども行っています。手づくり講座の参加者と話していると、お母さんたちは家族のこと、子どものこと、地域のこと、仕事を失くして元気も失くしてしまったお父さんのことを心配していることがわかります。お母さんたちに本当の笑顔が戻るのは、すべての悩みを解決したときで、私たちは何よりお母さんたちに笑顔を取り戻してもらいたいと思っているので、これからは、男性や子どもたちも一緒に元気になる活動も展開していきたいと思っています。

手仕事プロジェクトでは、ご当地の名産をモチーフにしたエコたわしの制作・販売をしていて、商品の企画・開発は私たち自身でやっています。もともとものづくりが大好きなメンバーが集まっているので、企画会議を楽しく開いています。制作指導は現地で、商品の出荷は東京支部で担当しています。東京支部では元RQ東京のメンバーやRQWのサポーター・スタッフが、毎週木曜日にタグづけや、購入者への配送をしています。

今はイベント販売が中心で、サポーターの皆さんに販売ボランティアをお願いしています。お客さんは商品に共感して購入してくださっていて、販売も上手く行っていますが、将来的には、今はつくり手だけのお母さんたちにこの事業全体を運営してもらい、私たちは、お客さんとして気に入った商品を買う側になればいいと思っています。

その小さな兆しとして最近は、編み物の得意なお母さんが、別の仮設住宅に講師として行ってくれるなど、自主運営への道に少しずつ向かい始めています。

みなさんからのメッセージは、お母さんたちのやる気を引き出す大きな力になっています。いろいろな方法でお母さんたちを元気づけていて、少しずつ自立につながることを願っています。

RQWはすべてをボランティアで担っているのでその限界もありますが、私たちの地道な活動を見て、協力を申し出てくれたある企業さんのアドバイスを受けて、この度エコたわしに「編んだもんだら」という商標をつけました。昔、東北の人たちは編んだ稲藁に灰をつけて洗いものをしていて、それを「もんだら」といったそうです。エコたわしも“(アクリル毛糸で)編んだ、もんだら”ということで命名しました。4月上旬から本格的に出荷します。今はイベント販売だけですが、協力してくださる店舗があれば、ぜひ販売したいと思っています。

忙しくはありますが、お母さんたちの笑顔を見ると、大変さもすっ飛んでしまいます。これからも中長期に支援していきますので、応援よろしくお願いします。

(構成/塚田恭子)

 

東北で、現在進行中の活動および今後のボランティアについて

広瀬敏通さん

今、現場から今後の活動について報告してもらいました。聞いていておわかりになったと思いますが、それぞれ違いがありますよね。みんな一丸となって、同じスタイルで同じことを、同じ方向に向かって、というよりは、かなりバラつきがあります。

活動している場所も、テーマも違うのですから、これは当然のことです。ただ、被災地の再生に、自分たちができることで貢献したいという気持ちはみな同じです。そのうえでそれぞれが多様な形で活動を進めています。

報告していただいたもの以外にも、いくつか進行中の活動があるのでここで紹介します。

●NPO法人ねおす

岩手県の釜石で、我々の仲間が活動しています。ここは北海道の「NPO法人ねおす」という団体が中心となっていて、公にRQとは名乗っていませんが、自分たちを「RQの別動隊」などと呼んだりしてくれています。

ここはRQと同じように、冬はいったん活動を休止していましたが、春から新たに「三陸釜石自然学校」という名称で活動していく予定です。同時に、地元の方々が進めている街づくりプロジェクト「どんぐりとうみねこ村」と連携しながらやっていきたいと考えているそうです。

●ホールアース自然学校

もうひとつ、「ホールアース自然学校」が中心となって、福島県南部のいわきで現在も活動しています。

福島県は震災発生当初、RQが最初に支援活動をしようと考えていた場所でしたが、放射能の問題で断念した場所でもあります。今後の活動について正式な構想はできていませんが、いわきは原発の放射能をジワジワ浴び続けている事実がだんだんわかってきている場所です。いわきは原発の20km、30km圏内から避難してきた人がたくさんいます。現在も多くの市民が暮らしているわけで、またここから避難しなくてはならないとなれば大変です。

ホールアース自然学校は、いわきでできることを現在模索しています。

いわきでは、たとえば漁師村の古民家を再生して、漁師の文化があったことを伝えていく活動や、里山再生の活動をしているNPOや、皆さんよくご存知の「スパリゾートハワイアンズ」が自然学校をつくる動きもあります。

スパリゾートハワイアンズは震災の影響で長期休館していましたが、つい先日(2012年2月8日)、華々しくグランドオープンしました。オープンしたことで、自然学校をつくるという動きが、今はちょっと止まってしまっていますが。(笑)

このように多様な動きがいわき市内で起きています。それらをうまくコーディネートしながらいわきの子どもたちを、あるいはそこに暮らす市民の人たちを、復興に向けて元気づけられる活動を、いわきの自然学校としてやっていきたいと思っています。

このような動きがあることを、ここで併せて報告しておきます。

報告にあったように、RQのメンバーはそれぞれの場所で個々に動き始めています。

たとえば、唐桑はもうボランティアという言葉は使わずに「地域再生支援研修員」という名称で、地域を応援する仲間として一緒に働いてくれる人を求めています。

さまざまなツアーを迎え入れる体制をつくり、今後はエコツアー団体として展開していこうという明確なスタンスを取ろうとしています。

一方、小泉やくりの木ひろばのように、これからもボランティア団体として活動を続けていこうとしているところもあります。

大半のところはボランティアを受け入れつつ、一方でエコツアーも同時に受け入れていきたいという考えで、これからまた多様な形に移行していくでしょう。

そのボランティアですが、支援金が途絶えてきているため、これまでのように全国から寄せられた支援金で活動費を賄うことが難しくなってきています。これからは、自分たちでお金を稼ぎながら活動していくしか方法はありません。

今後はRQにボランティアとして来られる方にも施設利用料という形で実費をご負担いただきたいと思っています。1泊2食(または3食)付きで、送迎のガソリン代を含め2,000円程度をいただく予定です。

震災から1年を迎え、ボランティアの受け入れを再開するための準備として、決めねばならないことでした。交通費もかかるうえに恐縮ですが、よろしくお願いします。

一般社団法人RQ災害教育センターとして支援金が確保できたら、また東京からバスを出すことも検討していきたいと思っています。今、申し上げたすべての活動については、HPやブログをご覧になってください。

(構成/Natalie Cook)

 

動かなければ変わらない

閉会の挨拶 佐々木豊志さん

12月9日に立ちあげた社団法人RQ災害教育センターの理事メンバー

右から八木さん、広瀬さん、佐々木さん、江本さん

今週の日曜日で、震災から1年になります。この1年間、今日発表があったように、被災地を支援しよう、応援しようという動きが、本当にアメーバのように広がっていきました。中には失敗したり、うまく行かなかったこともたくさんあったと思いますが、皆さんはそれをいつもミーティングで受け止め、議論して、明日はこうしようというつながりを積み重ねて来たと思います。

被災地は今もガレキの片づけが進んでいません。さらに、目に見えない放射能も、福島だけの問題ではなく、もっともっと気にしないと行けないという状況になってきています。放射能は県境など関係なく越えていくので、日本全体の問題、或いはもう世界全体の問題になりつつあり、これからの大きな、避けては通れない課題です。どんな問題もどう受け止めるか、自分たちで考えていくところがRQのいちばん良いところだと思うので、そういう姿勢で皆さんが今後も活動に関わってくれることを期待しています。

1年前を振り返ると、自分は本当に何をやってきたのか、自分はいったい何者なのかと思うぐらい、いろんな状況に対応し、活動してきたと思います。目の前の状況に対してどう動くか……要はアクションを起こすことが何より大事だと思うので、動けば変わるといつも念じていました。ただ、動いて好転することもあれば、逆に壁になって重圧に押しつぶされそうな時もありましたが、動かなければ変わらないのは事実なので、これからも一緒に動いていきましょう。

私自身は宮城在住なので、今は宮城の産業復興、雇用を作ることに力を入れています。12月のシンポジウムの時、200人の雇用をつくると宣言しましたが、今は地元の行政、企業、NPOも含めて、どうやってこれからの未来をつくっていくか、具体的に自立していく道――自立のためにどういう事業を興して、どう動く必要があるか――を検討しています。

今は木材資源を活用し、森林からエネルギーを取るバイオマスに力を入れています。政府の方でもバイオマスという言葉がたくさん出てきたように、森林資源をエネルギーに換えれば、相当なエネルギー革命が起こると思うんです。ただ、ここでも放射線の問題があります。うちの自然学校はエコビレッジで、薪をエネルギーにしていますが、薪を燃焼するとセシウムが200倍濃縮される、燃やすと灰に溜まるんです。だからどんどん燃やすと除染よりも効果あるかなと思うのですが、その灰の処理をどうするかが問題です。

ガレキの処理を他県が受け入れてくれないとか、いろいろ議論はありますが、それははっきりと情報が伝わってないからなんです。私自身も放射能に関して、1年前はそれほど知識はありませんでしたが、だんだんわかってくると、どうしなきゃいけないということがわかってきます。わからないままだとどうにもわからないので、どうすればいいのか。だから皆さんも気にして、放射能をどう受け止めて、数字に惑わされずに、数字を正しく認識していただければということで、いろんな課題があると思います。

なんとか地域の資源を生かした産業を興せば、皆さん元気になるんですよ。沿岸の人は漁業が復興すれば元気になるし、内陸は地元の資源を生かせば元気になる。そういう知恵を貸してください。東北の人は、どうしても積極的に出ない人が多くて、外から声かけてもらって一緒に動く方が効果的に進むケースがあるので、ぜひ行って、遠慮なく声かけて、一緒に進んでもらえればと思います。

この問題は5年、10年、15年……もっと続いていく課題なので、皆さんと一緒に動きたいし、盛り上げる活動をぜひ続けてください。本日はどうもありがとうございました。

(構成/江戸川淑美)

 

1年前の3月、4月、1週間ごとに、ここでこんな風に多くの人たちが集まって、どのように支援をすればよいか、全体会議をしていました。一陣で行った人たちが現地の状況を、こんな風に、まだ行けてない人に対して報告していました。その時に、最後にいつも被災地のことを考えて、自分の中で黙とうをして終わっていました。

1年前のその時を思い出して30秒だけ被災地のことを静かに考えてから終わりたいと思います。

黙とう。

 

RQのホームページより転載

http://www.rq-center.jp/news/312

 

 

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