2012/05/30 by jixin

【広瀬敏通】RQの3.11 一周年シンポジウム詳細(四)

自然の中でのキャンプ体験を通じて、どんな環境でも生き抜く知恵を子どもたちに身につけてほしい

RQ鱒淵キャンプチーム

みいらこと水村昌司です。昨年4月からRQに参加していました。夏休みに鱒淵で子どもキャンプをやると聞き、野外教育の仕事をしていた経験を活かし、ぜひ子どもキャンプに関わりたいと思い、8月は子どもキャンプを3本、親子キャンプを2本、秋にも親子、子どもキャンプを1本ずつ行い、親御さんを含めて延べ75名に参加していただきました。今は同じ宮城県内の蔵王の雪山で仕事をしていますが、春以降は鱒淵の四季や自然を生かしたキャンプを続けたいと思っています。

復興支援としてキャンプ(=野外活動)を行うのは、被災地の子どもたちに、自然に触れてゆったりする時間を持って欲しいからです。子どもがキャンプに参加することで親御さんも安心して自分の時間をつくることができるし、親子で参加すれば一緒に遊ぶことができます。あえて鱒淵にこだわっているのは、被災の爪痕の残る場所を離れ、震災前と変わらない豊かな自然環境に触れることで、自然と共生する知恵を身につけてもらえたらと思っているからです。

先ほどから災害教育という話が出ていますが、たとえ、直接津波の被害を受けた土地でなくても、自然の中で暮らすことは災害教育につながると考えています。多くのボランティアが活動したRQ東北本部のあった場所で、ライフラインが確立されていない野外生活を経験することで、どんな環境に置かれても強く生き抜く“生きる知恵”を学んでほしい。三陸沿岸部だけではなく、福島、関東、関西など、全国の子どもたちが鱒淵に集まれば、新たなつながりができるでしょう。僕らがRQの活動で得た人とのつながりが、鱒淵という場所で生まれたらすてきだなと。震災で離れ離れになってしまった友達同士が再会できる、広場のような場所をつくることを目指しています。

鱒淵キャンプのコンセプトは、四季を感じ、そこに暮らす方々が昔から受け継いできた伝統文化を学ぶことです。昨夏はボランティアが中心となって行いましたが、今後は地元の方々に主導していただきながら、子どもたちが地元の伝統や文化を感じることができ、僕ら自身も学びがあるようなかたちでやっていけたらと思います。

僕自身は去年の震災時は蔵王にいて、3日ほどライフラインが全くない状態でした。津波は来なかったものの、陸の孤島。キャンプ慣れした人が多く、川から水を汲み、火を焚くなど、ある程度のことはできましたが、情報がない中での経験から学んだことも多く、自然の中で、生きる力を養うことの大切さを実感しました。

人と人の繋がり、「結(ゆい)」という言葉を、僕は鱒淵で知りましたが、キャンプを通じて結のような関係ができればと思っています。地元には、冠婚葬祭や農作業において、利害関係ではなく互いを助け合う結という風習が昔からあったそうです。今は、結の関係も薄れてきていると地元の方々は言いますが、キャンプで育まれる関係は新たな結を築くチャンスだと思っています。離れていても、なにかあれば集まることのできる仲間づくりをすることも、キャンプを通じてできると信じています。

キーワードは「自由・挑戦」。そして「交流」「未完成」。

まず、「自由・挑戦」。子どもたちが何かをやらされるのではなく、こういうことをしたい、こういう風に遊びたいと自分で考え、やりたいことを実現できる場をつくること。そして、仲間といるからこそ自分一人ではできないことに挑戦できること。お仕着せのプログラムを用意するのではなく、子どもたちの自由な発想を生かすことを大切にします。

「交流」とは、人、自然、文化の交流です。自然との関わりを通じて、いろいろな交流ができるようなキャンプ場をつくり、キャンプを行っていない時でもふらっと立ち寄れる場になればと考えています。昨夏は市の施設の一角をキャンプ場にしましたが、地元の方(小野寺寛一さん)が、その施設の裏の林を使ってログハウスでも何でもつくっていいよと言ってくださっているので、今、鱒淵でのキャンプ場づくり計画を進めています。

「未完成」。完成形をつくらず、常に進化し続ける。「RQはアメーバのような団体だ」という言葉も、こういうニュアンスを含んでいたと思いますが、これはRQの精神そのものだと思っています。たとえばキャンプ場も、こういう風な形が出来ました、それでいつでもここでキャンプが出来ます、ではなくて、じゃあ今度はこういうものができないかな、こういうモノがあったら面白いとか、完成していないからこそできる自由な発想と遊び心をもって常に進化し続ける。そういう“場所”も含めて、子どもたちとの関係も常に進化し続けるという意味で「未完成」を3つ目のキーワードに挙げました。

まずは組織づくりから行います。地元の方々も協力してくださる予定ですが、チームとしての組織づくりと、それ以外にまだほとんどメンバーがいないので、これからサポータ-やスタッフを募集していきます。今まではボランティアの中からスタッフを募ってきましたが、今後はキャンプスタッフ研修を行い、安全管理なども学んだ上で、プロボノとしてのスタッフ体制をとり、四季を通じたキャンプ、夏休みなどの親子キャンプ、RQリピーターが参加出来るキャンプをしていく予定です。

正直資金はまったくないので、まずは大人向けのキャンプで参加費をいただいて、それを活動資金に充てることに加えて、助成金の申請も検討しています。趣旨に賛同いただける方のご支援も歓迎します。

今後の予定プログラムは、まず4月21、22日に、華足寺大祭に合わせてキャンプを行います。続けてスタッフトレーニングを行う予定です。6月下旬は蛍の季節なので、ぜひ見にきてください。夏休みには子どもキャンプ、親子キャンプを、また鱒淵キャンプ場づくりもプログラムとして行う予定です。現地はもちろん、東京サイドで一緒にチームとして動いてくださる方を募集しているので、お気軽にご連絡ください。ありがとうございました。

(構成/江戸川淑美)

 

「自分の町にある公園」を一緒につくっていく

 くりの木ひろば 大和夕子さん

「くりの木ひろば」のある小泉という地域は、町の7割近くが流されて、仮設住宅での生活が続いています。公園は仮設の駐車場となり、室内の遊び場所だった公民館は流されてしまい、子どもの遊び場が欲しい、という地域の声に応えて活動を始めました。広場は、地元の方のご厚意でお借りしている栗林です。そこから、「くりの木ひろば」と名づけ、11月2日にオープンしました。活動をする中で、RQがいったん終わっても、このまま終わらせられないなと思って現在も続けています。

この広場は、子ども達が安心して思い切り遊べる場所、いつでもここに来れば友達と会える場所、を目指しています。小泉の人達の仮設は9ヶ所ほどあるため、子ども達は本当にばらばらです。いちばん大きな小泉中仮設に入れなかった子は、小学生が兄弟とあと一組しか周りにいないため、友達と遊ぶ場所も会える場所もないということでした。私はその話を聞いて「居場所をつくりたい!」と、純粋に思いました。

ここでは「好きなことをして遊ぶ」ことが活動の中心です。いつ誰が来てもいい場所なので、自己責任の中で、好きなことをして遊んで過ごします。ボランティアは広場を管理したり、子どもたちを見守ったり、一緒に遊んだりします。いちばん大事なのは、広場が何かを「提供」する場ではなく、一緒に「つくっていく」場所だということ。こう考えたのは、ある在宅のお母さんから「イベントは仮設の人向けのように思えて参加しにくい」「何かをもらう時期はもう終わっている」という話を聞いたからです。

そのお母さんは「お菓子をもらえるから行く、ということが続くのは子どもにとってもよくないと思うの」と涙ながらにおっしゃっていました。全体の3割の家が残っていて、在宅のお母さん達は何かしてもらうことに対して、後ろめたい気持ちがあるわけです。だから、あくまで「自分の町にある公園」と受け取ってもらえるように活動しています。

木登りをしたり、穴を掘ったり、焚き火をやったりが主な遊びです。何もしていないと地域のおじいちゃんがブランコや竹ぽっくり、竹馬などをつくってくれたりします。春以降も、おじいちゃんが広場にハンモック、シーソー、ターザンロープをつくりたいといっているので、今募っている寄付金を材料費に当てられるといいな、と考えています。

また、春になった時の楽しみに……と、去年11、12月に球根を植える会をやりました。この球根も、毎日新聞発行の希望新聞経由で寄付していただいたもので、肥料は地元の方が持ってきてくださって、お金をかけずに行うことができました。

ここが地域の憩いの場となることも目指しています。初めは子ども達向けの広場と考えていましたが、おじいちゃんおばあちゃんが散歩の途中で顔を出してくれたり、ベンチでのおしゃべりなどにも利用してもらっています。また、保護者の休息の時間づくりにもつながっています。子ども達が安心して遊べる場があると、その間に買い物を済ませるなど、大人も子どもと離れる時間を持つことができます。そういう時間も大切ではないか、と考えています。

11月から約2カ月間の活動で延べ人数、300数名、ずいぶん遊びに来てくれました。1月9日からは、現地の路面状態が危ないためお休みをいただき、3月24日に始まる春休みに合わせて再開する予定です。11月という寒い時期から始めたこともあるため、地域への周知を考えて、今年の夏休みから9月頃までサポートして、そのあとは広場の管理を地域の方に移行して、地域の方たちに運営してもらうことをひとつの目標としています。

現在、連絡先は現地のお父さん達となっているし、私たちがいない間の広場の見回りも、3人のお父さん達が交代でしてくださっています。大人、特に女性にとって困るのが、広場にトイレがないことですが、先日「近くの工務店のトイレを借りられることになった」、「仮設で余ったトイレをもらうこともできるよ」、と連絡をもらいました。困った状況で「どうしよう……」と言っていると、こうやって地域の方が少しずつ支援してくれて、一緒につくっていく形になってきているのが嬉しいですね。

活動を続けるにあたって、地域の方にも本当にたくさん協力していただいていますが、会計・調整などを含めて、今はほとんど私ひとりでやっている状態です。もちろん活動のための寄付金も募集していますが、今は、今後も活動を続けていくための人手を求めています。特別なスキルは必要ありません。子どもが怪我なく遊べるよう、見守ってもらえれば十分です。みなさん、ぜひぜひボランティアに来てください。

(構成/菅野みゆき)

 

責任を持って記録をすることで、地域のみなさんの歴史に光をあて、郷土の魅力を外に伝える

聞き書きチーム 山中俊幸さん

聞き書きチームの相談役の山中です。

聞き書き活動は、被災した方々の過去の記憶を自分史としてまとめてお渡しするためと、地域の文化や伝統、風習などを記録として残すために、7月1日から始めました。

かなり大勢の人が活動に参加してくれましたが、当初は午前中からお昼まで1時間半ほど話を聞いて午後に宿舎に戻り、夜の3時間くらいで原稿を仕上げていました。ところがその3時間で仕上げられるのは、メモ書き程度。それだけではご本人に渡せないので、10月ごろまではそのメモを元に、東京の聞き書きチームが本番原稿を仕上げるというかたちで活動していました。

ただ、1時間半のインタビューのメモ書きを本番原稿にしても、出来上がるのは4、5ページ程度の内容が薄いものです。話し手の皆さんに原稿をお届けに行くと、渡した瞬間、「まあ、こんなもんだろうな」という顔をされちゃうわけです。話し手の言ったことが正確に反映されていなかったり、話し手の言葉でなかったりしているからで、東京チームもこれじゃいけないと感じるものがあったんですね。そこで方針を改めて、録音した90~120分の内容をすべて書き起こして(そうすると大体20~30ページになります)、さらに話の中に出てきた記憶に残る祭りや行事、食べ物や料理、建物や風景など、昔の写真をネット上で探して下書きの原稿の中に加えました。そうやってつくった下書きをお渡しすると、更に記憶が蘇るらしく、話がはずみます。この話も取り込んで完成形を仕上げるというかたちをとっています。ですから、最近の原稿は40~50ページくらいになっています。

RQの無料バスが11月に終わってしまったので、現在は皆、自腹で現地に行っています。ほとんどが仕事を持っている人たちなので、金曜日の夜にバスに乗り、朝の8時頃に仙台に集合。そこから仙台に住んでいる聞き書きチームの方の車やレンタカーで2時間ほどかけて現地に行き、1回あたり3軒程度、下書きをもとに再度お話を聞いて、土曜日の晩に仙台からバスに乗って日曜の朝に東京に着くというスケジュールで活動しています。

RQの活動は、責任者がいないというのが特徴でもありましたが、この聞き書きについて言えば、聞きっぱなしのまま放置しておくわけにはいきません。「話は聞きに来たが何もあがってこない」「自分史とはいえないお粗末なものを置いていっただけ」では、RQの評判を落とすことになり、地域に残って活動している人たちも困ってしまいます。お話を聞いた方が満足していただけるような自分史になるまで、最後まで根気よく責任を持ってやる必要があります。現地でのRQの活動を陰で支えているのが現在の聞き書きチームだといえます。

これまで話を聞いた人たちは41名いて、そのうちの4名が原稿化を断った人たち。3月18日現在、完成形としてお届けしたのが16名、完成間近なものが19名、まだ下書きをお渡しできていないのが2名で、全体の8割弱くらいが終わりつつあります。

とはいえ、当初の4〜5ページでお渡ししてしまったものも、改めて書き直したほうがよいと考えています。逐語録──音声データから原稿を起こす作業をみんなで手分けしてやっていますが、けっこうこれが大変な作業です。ぜひこの作業を手伝ってください。どうぞよろしくお願いします。

(構成/江戸川淑美)

 

RQのホームページより転載

http://www.rq-center.jp/news/312

 

This post is also available in: 簡体中国語

投稿記事一覧:

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY