2012/04/30 by Matsue

【宮崎いずみエッセー】北京の有機野菜購入事情

1年ほど前から我が家のマンション管理事務所近くに産直有機野菜配達用のボックスが設置され、遠くのスーパーまで有機野菜を買いに行く手間がはぶけるうえ、品物も新鮮なので、たいへん助かっています。

写真1:野菜宅配用ボックス


有機野菜の購入プロセスは以下のとおり。ネットもしくは電話で野菜などのほしい品物を注文すると(支払い方法はインターネットバンキング、マンション管理事務所でのプリペイドカード購入、インターネットバンキングによるプリペイドカード購入から選択可能)、基本的に翌日の午後(もしくは指定の日)、ボックスに注文の品が届けられます。品物が届くと、携帯にパスワードがSMSで送られてくるので、パスワードを押せば該当するボックスのドアが開くという仕組みです。

以前は1社だけで、野菜の種類も限られていましたが、今はシステム・配送を一括して請け負う統括会社と提携され、合わせて4社の有機食品生産者から商品が購入できるようになりました。

URL:http://www.jiadi365.com/

以前から北京でも有機野菜を売っているところはありました。大手スーパーで販売されている有機野菜ブランドは2社ほどありましたが、回転が悪いせいでしょう、鮮度が悪く、値段も高いため、有機食品目当ての私でさえ購入をためらうことがありました。でも、もしかしたらその「有機」シールも本物ではなかったのかもしれません。以前「ORGANIC」をうたっていたブランドも、今は「緑色」(農薬残留が国家基準を下回り、安全な食品)としか表記しなくなり、値段も下がっています。

たしかに、中国の有機食品はその多くが「にせもの」だと言われており、大手スーパーでも販売されている北京郊外の「小湯山」ブランドの緑色野菜も一般の卸売り市場からの野菜をパッケージングして、ブランドのシールを貼っただけという噂も流れました。一部のスーパーで販売されているブランド野菜によってはトレーシング可能(そばにトレーシングの機械が置いてある)ですが、有機野菜ではそのような制度は見られません。中国で有機食品を購入する際には、まず認証機関がどこであるかを見て、その認証自体が信頼できるかどうか判断しなければなりません。

今、北京で安心して有機食品を購入できるショップは私が知っているかぎりでは、1社、現在北京市内に13店舗を有しています。店舗の大半は外国の人や富裕層が住む地域にあります。以前私の家から車で5分ほどの高級マンションの門前に同系列のショップがオープンしたのですが、ほとんど客の入る様子もなく、1年もしないうちに店を閉めてしまいました。

写真2:上記有機ショップの冊子表紙・裏表紙

冒頭の産直宅配野菜の生産グループについては、車で1時間以上かけて、直接生産地を見に行きました。有機なのかどうかが確信できたわけではありませんが、すべてハウス栽培(私は日本では有機栽培にはハウスは基本的に使わないと理解していたのですが…)で、露地の一般の栽培とは一線を画していることは明らかでしたし、先方の対応も誠意あるものだったので、100%有機基準かどうかは完全に信じきれていないものの、良心的ではあると信頼しています。それに、実際そこの生産による有機ほうれんそうと過渡期のほうれんそう、両方を食してみたところ、明らかにあくの強さや味が違ったので、間違いはなさそうかな、と。

ただ残念ながら、私たちの有機野菜購入の理由は、安心だけではなく、環境に配慮してという点もあるのですが、こちらでは有機野菜には「健康、安心の高級品」というイメージがつくので、プラスチックトレーにラップ、そして紙袋(時には不織布の袋)に入ってきます。生産者グループにトレーのリサイクルを提案したのですが、いまだ実現していません。新鮮な野菜を購入したいと数日置きに少量を頼むことが多いのですが、そのたびにこのようなバッグに入ってきて扱いに困っています。

写真3:毎回このような紙袋に入れて有機野菜が配達される(最近では写真右のような不織布袋も)

その「高級品」イメージだからでしょうか、ちまたの有機食品ショップでは、贈答品用の品物が多く置かれています。やはり生鮮野菜はまだ購入者が少なく、回転が悪いためあまり売られていないことが多く、メインは雑穀やオイル類、ナツメなどといったところです。品揃え全体から見ても、穀物から野菜、きのこ類、オイル、一部の肉や卵程度で、日本の有機食品販売のような加工品はほぼありません。とはいえ、少しですが果物も販売されたりしているので、今後徐々に品揃えも充実してくれるかなと期待しています。

 

文と写真:宮崎いずみ

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