2012/03/30 by Matsue

マイクロ公益の事例―チャイナドール(骨形成不全症患者)をもっと強靭に

任靭さんは、一人の若い記者だ。自分の名の意味のように、彼は“強靭”な意思を以て、レンズ、画面、文字を使い、継続的に弱者グループに関わっている。

任さんは自分の内心にはいつも外に出て行って多くのものを見てみたいという衝動があると言う。仕事の合間、決して多くない自由時間の中、1枚の切符、リュックサック、1眼レフカメラもしくはビデオカメラだけを手に、彼はいつも出かけ、歩きながら撮り、心をこめて記録する。

任さんには多くのNGOの友人がいて、これらの友人と雑談する中で、難病患者の人々の存在を知った。現在、中国は難病患者に対して、系統的な法律の支援策に欠けており、政府の援助体系も完全でないが、この顧みられることの少ない人々の一人ひとりには、みな人に感動を与える話がある。

“無力感”を伝染させる映像

 一人のニュースメディア就業者として、任さんは映像の力が非常に大きいことを知っている。「私はハンセン病の人や、難病の子供たちの存在を知ってから、自分にはきっと何かができるはずだと思っていました。しかし、私には結局何ができるか?ひょっとして、私の記者としての便利さを利用し、彼らの生活を記録して、さらに多くの人に彼らのことを知らせることができるのではないか。……私は自分ができることが少なすぎ、援助を必要とする人は多すぎると感じ、私ができるのは自分の全力を尽くして映画を制作し、自分が感じた無力感をさらに多くの人に伝染させようと思ったのです」と、任さんは自分が弱者の記録映画を撮影した動機をこのようにはっきりと述べている。

2009年、四川凉水彝族自治州の一人のハンセン病の老人が帰郷した物語は任さんを感動させた。制作経費も、スタッフの支援もない状況の下、任さんは自分の休暇を利用して、機材を借り、後に好評を得た記録映画≪夢・郷≫を強い意志で一人で完成した。

2011年に任さんはまた北京、山東、河北の三か所に出かけ、一人の骨が壊れやすい病気――骨形成不全症の患者を撮影した。骨形成不全症は、俗に脆骨病と言う。「中国チャイナドール(訳注)慈愛協会」の推測によると、中国には現在、骨形成不全症患者が約10万人おり、彼らはまたチャイナドール或いはガラスドールといわれている。なぜなら、彼らの骨格は先天的にもろく、頻繁に骨折するため体つきは低く小さく、行動障害があるからだ。、その多くは頻繁な手術や長期にわたる薬の服用によってて生命を維持している。身内の苦痛、家庭の貧困、社会の蔑視、教育・医療・就職のストレスは、彼らの心中に屈折し、数倍の苦痛、ストレスに拡大する。

任さんは北京、山東、河北の三か所で、三軒の成骨不全症の患者家庭を選び取材を行った。チャイナドールたちのガラスのようにもろい体、常人では想像もつかない抑圧、悲しみと戸惑いをどのように忍受しているか、また同時に彼らも深い渇望と未来に対する想像を心に潜ませ、同年齢の人を超える生命の感受性を持っていることを映像で示した。

2011年6月19日、鳳凰テレビの≪記者再報告≫という番組で、任さんが脚色演出、企画、実施と記者を兼ねて制作した記録映画≪ガラスの心≫を放映し、三人の骨形成不全症の子供の物語を紹介した。

 秋霞ちゃんは彼の番組に登場する10歳の女の子で、お母さんも成骨不全症の患者。父親は廃品回収に頼って、毎月1000余元の収入で家族を養っている。秋霞ちゃんは立つことが出来ず、家の中にも彼女を学校にやるお金はない。秋霞ちゃんは他人の前では、いつも笑顔を浮かべている。のちに任さんは彼女が本当に楽しいのではなく、この方法で更に多くの愛を得るのを望んでいることを知る。

文娜ちゃんは任さんが記録したもう一人のチャイナドール。12歳で骨折してから、再度立つことができず、もうベッド生活が8年になる。文娜ちゃんのお母さんも同様に骨形成不全症の患者で、子どもの安全を心配し、再び文娜ちゃんを活動させないようにしている。ベッドで8年間も静かに寝ていたため、文娜ちゃんの下肢は完全に行動能力を失い、両足は委縮した。湾曲したもろい脊柱は、たとえ眠っている時でも彼女が仰向けになることを許さない。「私にとって治療は、もう何の意味もない、望みはない」。文娜ちゃんはもう数回自殺を考え、お母さんは彼女の身辺からすべての鋭利な物を取り去った。

文娜ちゃんの家で、任さんは文娜ちゃんの弟、文博ちゃんにも出会った。文博ちゃんは終日、他人が寄贈した車椅子に坐っており、自嘲して自分は小人なのだが6人の小人仲間がいないので、お姫様を迎えられないのだと言う。カバンを背負って登校することが彼にとっては贅沢な夢で、彼のすべての知識はみな姉が残した教科書と心ある人が寄贈した本によるものである。

ちょっとした救助が彼らに力を与える

 「骨形成不全症は、貧しい人の病」、アメリカから来たパキスタン系の医者で、中国におけるこの病気の治療に注目するHarry Thomson医師はこのように結論づけている。「貧困により多くの子どもが最善の手術治療期を逃し、生涯にわたる障害そしてまた生涯にわたる貧困がもたらされる」中国では、約10万人の成骨不全症患者の多くが、このような苦境の中、もがいている。

任さんの撮影終了後まもなく、長期的に秋霞ちゃんの病状に関心を寄せる天津医院小児骨科主任・任秀智医師が、電話連絡をしてきた。ある企業家が秋霞ちゃんの治療に資金援助を望んでおり、濰坊市中医院が最も良い治療条件の提供を希望し、任医師自ら髄内釘挿入手術を執刀すると言う。
「10歳ほどの子供が、髄内釘を植え込むのに最も適しています。骨格がまだ生長しており、子どもは立つことが出来るようになるばかりでなく、正常な人と同様の身長に達することが出来るのです」任医師は秋霞ちゃんの手術に対し、 「順調ならば、一度の手術で秋霞ちゃんを車椅子から解放させることが出来る」と非常に楽観している。

秋霞ちゃんは幸運である。さらに多くの患者に秋霞ちゃんと同様の関心を集め、再び立ち上がらせるために、任さんは、チャイナドール難病慈愛センターを探し出し、相談して、彼らと一緒にミニブログで救助プラットフォームを設立し「チャイナドールミニブログ救助」計画と名付けた。
2011年7月5日、任さんは自分のミニブログで一つの情報を発表した:未成年の時に髄内釘挿入手術をしさえすれば、骨形成不全症の子供は立つことが出来る。骨格の定型後では遅すぎる!医療保険は難病を対象としていないため、1万から2万の1回の手術費を、一人ひとりがすこしずつ負担すれば、子どもたちが一生半身不随の運命を抜け出すのを助けることが出来る。寄付金のすべては明細をみな公表し監督を受ける。

このミニブログが発表されると、ネットユーザーに非常に早く転載され、高い注目度が継続した。「初めに私たちはデータベースから54の貧困家庭のすみやかに救助すべき子供を選びだしました。、彼らの病状はこれ以上治療を引きのばすことはできないところまで来ています。1回1万元の手術費援助は、彼らが立ち上がることを助けることが出来ます」。任さんは、寄金者の信任を得るのが、最も大切なステップの一つで、「1万元の寄金を募集するごとに、私たちは子どもの家庭の同意の下、、援助を受ける人の情報の一部を公表します。寄金の使用状況もミニブログとブログ上で公示し、収支の明細を理解できるようにしました。もしなお気がかりならば、なおチャイナドールの家庭と1対1のカップリング援助モデルを選択することもできます」という。

1か月近い時間をかけて、6人の子供の手術費用を集めた。このスピードは比較的緩慢だったが、しかし最後には、6人の家庭に希望を与えた。
「数万元の手術費さえあれば、これらの骨形成不全症の子供たちの運命を完全に変えることが出来ますが、非常に多くの彼らの家庭では、これらのお金が足りないのです。チャイナドールミニブログ救助活動会はずっと続けていきます」。ミニブログのプラットフォームを借りて、任さんと彼のチームは更に多くの人と団体に救助活動に参加するよう呼びかけている。

(訳注:協会では、患者の外見と骨折しやすいという特徴が陶磁器の人形のようであり、同時に人形のように愛すべき存在であることから骨形成不全症患者を「チャイナドール」と名付けた。また「チャイナ」が中国と陶磁器という二つの意味を併せ持つことから、骨形成不全症患者が中国の国民の中の重要な一部であることを象徴する)

出所:≪社会創業家≫2011/09-10合併号
編纂者:李思閩(資料は鳳凰ネット、≪京華時報≫、鳳凰情報センターブログより。任靭、侯雪竹の本文に対する援助に感謝する)
http://www.npi.org.cn/uploads/magazines/npo/2_1388_134152.pdf
転載時編集を経て、要約

編集:李君暉
翻訳:岡田由一
校正:松江直子

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