2012/03/05 by yanyan

CSnet Mail Magazine No.13

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日中市民社会ネットワーク(CSネット)メールマガジン   20122月号(第13号)

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【目次】

  • はじめの言葉: 「カネの魔力」
  • CSネット活動報告と今月のお薦めコンテンツ
  • 連載1:屋久島プロジェクト-「交流の意義」
  • 連載2:日中間の不理解に挑む-「主導権を失う日本」
  • 今月のありがとう!

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【はじめの言葉】カネの魔力

2月14日から22日まで、久々に、北京と上海に行って来ました。実は何を隠そう。『岩波新書』から中国の市民社会を紹介する本を出すために取材に行って来たのです!恩師長谷川公一先生が『脱原子力社会へ-電力をグリーン化する』(岩波新書)を出版なさった関係で編集者の方とお会いする機会に恵まれたのがきっかけでした。今年の夏もしくは秋の出版を目指して、気合いは十分です!(と自分を奮い立たせたりしています)。

北京では山水生態パートナー環境保護センター富平学校、今までのLEAD来日メンバー、北京西部陽光農村教育発展基金会、社区参与行動(Community Action)工友之家、企業CSRサポーターの「明善道」、環境教育事業を個人で実施している友人、JICA北京事務所、留学中のNHKの記者さん、清華大学NGO研究所などを訪れ、中国の市民社会談義に大きな華を咲かせてきました(たぶん)。上海ではNPI、上海Grass-roots Community、企業CSRサポーター上海瑞森徳、手と手・生命ケアセンター雷励などを訪問し、小耳に挟んだ「上海には市民社会はもはやない」という嘆きを検証してみました。

詳しくは岩波新書の出版を是非待っていただきたいのですが、一つだけ披露すると、中国のNGOの世界で、今まさに「カネ」がどのように物を言うのか、見極めていく正念場なんです。大河ドラマで平清盛が、「おもろくない世の中をおもろくするために」、なんやら海賊を手下にしたようです(私が海賊ならそんなに簡単に収められたりしません)。中国では目を見張るほどの資金力を手に入れた政府側は、「おもろいかどうかよりも使えるかどうか」を基本に、NGOへの選別的投資を始めています。

10年前までは、「いかにカネをゲットするか」が草の根NGOの「基本的生存姿勢」でした。いまは「いかにカネの魔力に犯されないか」が、生死の分かれ目になるのかもしれません。正規軍に整理統合されることはおそらくないだろうが、「力強く生き延びろ」と願わずにはいられません。

CSネット代表    り・やんやん

 

【CSネットの活動報告と今月のお薦めコンテンツ】

★2011年12月9日から15日まで、国際交流基金の助成を得て、日中災害支援市民交流プログラムを実施しました。14日に公開フォーラムを開催しました。フォーラムで使用した日中双方の発表者の資料は、発表者の了解を得て、サイト上にアップしました。特に当日フォーラムに参加してくださった皆様、是非ご参照ください。

http://csnet.asia/archives/8315

★12月15日から17日まで東京で開催される第13回エコプロダクツにおいて、CSネットは中国から来たお客さんの案内をしました。2月からエコプロダクツの出展事例から紹介記事を紹介していきます。今月は、松江直子さんによる「携帯電話でゴリラを救え!」の記事です。

http://csnet.asia/archives/7941

★2012年1月18日から3月31日まで、国際交流基金のフェローとして、中国北京でシニアケアの事業を立ち上げた若き社会起業家が、日本のシニアホームで実習と研究を行っています。このプロジェクトはCSネットが受け入れ機関としてフェローの研修内容、日程などをすべて企画し、実施をサポートしております。万事順調で進行中です。

★2月の屋久島コラムは以下をご覧ください!

http://csnet.asia/archives/8351

★サイト上のCSネットの活動内容紹介を分かりやすくしました。

http://csnet.asia/exchange

★推薦事例のページを使いやすくするために変更しました。私たちが重視している領域:環境とコミュニティ/高齢化社会/災害救援を強調し、さらに、ソーシャル・イノベーションを推進する私たちの立場を反映するように変更しております。

http://csnet.asia/goodpractice

 

先月と今月はサイト上では14本の記事を更新しました。

★反差別!雷のように猛烈に、風のように迅速に、B型肝炎ウィルスキャリアの権利擁護を訴える――雷闖

http://csnet.asia/archives/8092

★中国一!とされる社会的企業「残友」

http://csnet.asia/archives/8065

★環境保護の公益弁護士-張競競

http://csnet.asia/archives/8028

★国際プロジェクトが国際NGO団体へと変身する物語

http://csnet.asia/archives/8061

★情報ボランティアMさんによる農民工NGO訪問レポート

http://csnet.asia/archives/7915

★「これが中国だ!」シリーズ―CSネット情報ボランティア張雨晴さん提供

http://csnet.asia/archives/8058

★情報ボランティア宮崎いずみさんによるシリーズの一篇。「農村回帰?」

http://csnet.asia/archives/7958

皆様、どうぞhttp://csnet.asia をよろしくお願いします。

 

【連載1:屋久島プロジェクト】交流の意義

先日、ある勉強会でこんな意見がありました。「(日中韓の)交流にははっきりとした目的があるべきです。その意味で、私は市民社会のことをあまり信用しない。やはり政府や企業が行っている、目的性が明確な交流にこそ価値がある」といったような発言でした。会議の主催者が、「市民社会、例えば朱さんたちの活動もちゃんと目標を持って、成果を生み出しているよ」とフォローしましたが、心の中のもやもやはなかなか晴れませんでした。

 

いま、目の前に屋久島プロジェクトの報告書と書きかけている二年目の企画書が開いています。正直、目に見える成果は少ないと思います。屋久島と白馬雪山の関係者による3回の相互訪問と交流会、パートナーシップの結成、心と心が通じ合う感動的な瞬間……振り返れば、実務的な経験とノーハウの共有もありましたが、もっとも印象に残ったのは、やはり感情的なものです。これで本当にいいでしょうか。私たちの活動はちゃんと何か価値があるものを生み出しているでしょうか。交流の意義はいったい何でしょうか。

中国側の関係者は、屋久島プロジェクトに関するコメントと報告を寄せてくれました。その一部を日本語に訳してCSネットのサイトに載せましたが、先日、個展で関東にいらっしゃった屋久島仲間の山下さんが思わぬエピソードを教えてくれました。それは、10月に屋久島に訪れた中国訪日団のメンバー・白馬雪山自然保護区のTibuさんの報告書に対する屋久島の仲間たちの反応です。「屋久島の人は情熱でホスピタリティ精神を持っています。今回、最初から最後まで案内してくれた星川さんご一家と山下さんご一家はその代表だと思います。彼らの熱意に深く感動し、心から今までの日本人に対する見方を変えました。彼らのことをとても尊敬しています」と、Tibuさんはこう書きました。無口なTibuの真摯な言葉に、屋久島の仲間たちは感動したそうです。

屋久島/雲南交流フォーラムで、日本エコツーリズムセンターの広瀬敏通さんは「人は人に感動する。感動は伝染する」と、本物のエコツーリズムの核心的な部分を力強く語りました。本物の交流活動も同じように人を感動させる、感動を伝染する力を持っているのではないでしょうか。

もちろん、感動さえあればと言おうとしているわけではありません。来年度の屋久島プロジェクトは、実質的な成果をあげなければなりません。白馬雪山と屋久島の人々はそれを大いに期待しているそうです。今まで自然保護区として生態環境を守られてきた白馬雪山では、地域経済を活性化させるために、エコツーリズムを促進しようと地方政府が方針を打ち出したところです。だが、それに必要な制度整備や環境整備ができないまま観光が進められると、大きな問題が必ず発生します。保護区の担当者がもっとも懸念しているのは、いかに地域住民の環境意識を向上させるかであり、目の前にある利益のために、取り返しのつかないミスを犯す前に、彼らは世界遺産の先輩である屋久島にアドバイスを求めています。一方、「縄文杉」が象徴する過剰な「一極集中型」観光政策が、自然環境と地域生活に多数の問題をもたらした屋久島も、解決の突破口を開こうとしています。

両地域のニーズを十分に考慮した上で、次の行動に移したいと思います。10月に雲南省で日中交流フォーラムを開き、課題ごとにワークショップを開き、より深く議論し、知恵を出し合う場を持ちたいと思います。日中関係者は共同で白馬雪山自然保護区の現状に合った自然共生型地域づくりのモデルを作り出し、保護区はそれに基づいて実践します。同時に、屋久島の環境団体や個人は、自らの経験と知恵が海外で生かされることを目の当たりにすることによって、その価値が証明され、自らの活動への反省や更なる改善へとつながることを期待したいと思います。

ある日、友達と電車で屋久島プロジェクトについて議論しているところ、隣に座っていた50歳前後の女性に声をかけられました。「私は20年ぶりに海外から日本に帰ってきた。環境にとても興味がありますが、どこでどんな方法で関われるかわからない。お二人の話はずっと聞いていて、とても興味深いです。ぜひボランティアとして協力したい」と言ってくれました。彼女に連絡先を残しましたが、その日の夜に早速メールが来ました。うれしい出来事でした。

もっと多くの人に発信して、たくさんの人と団体を巻き込んで、交流の力を100%以上に発揮させたいと、いつよりも強く思うようになりました。

以上屋久子こと朱恵文でした。

 

【連載コラム2:日中間の不理解に挑む】主導権を失う日本

前回は中国に対する日本側の「上から目線」について書きました。この種の目線は、本人はなかなか気づかないものです。気づきたくないものでもあります。子供に対する親や教師の目線に似ています。よくよく思い出してみると、ほとんどの場面において上から目線で子供に話しかけていることに気づきます。「勉強は?」「使ったものは片付けなさい」「地道に練習しないとうまくなれっこないだろ?」

相手が中国の場合、このように置き換えられるかもしれません。「義務と責任を果たしてる?」「排出した汚染は何とかしなさい」「地道に努力してないからいずれ経済のバブルもはじけるさ」。で、日本のマスメディアは予定調和的にこれらの発想に合う内容を報道してくれています。

しかし、中国はもはや押さえつけられる子供ではありません。人民ネットは、「日中関係において、中国が主導権を握るべき時代が来た」と宣言しています。(そう宣言されなくても、国際舞台のさまざまな交渉の場で日本はどの程度主導権を握っているのかはなはだ疑問なのですが。)

「強い中国」を全面に押し出す人民ネットと全く主旨を異にするが、私自身も、主導権は中国側に握られていくだろうと思います。理由は経済力や、軍事力、外交力などではありません。理由は一つだけです。日本はそもそも「主導権」を握るような思考回路とシステムを持っていないのです。日本社会の隅々にまで浸透しているのは「トラブル回避型」の思考回路とシステムだと言えます。物事を実際に動かす前に、何かを決定する前に、どこまでも安全策を採ろうとし、一人でも多くの人の意見を織り交ぜて提案の主張や主旨をぼかそうし、それによって可能な限りトラブルを事前にすべて想定し回避しようとします。

その結果、無茶苦茶時間がかかります。めまぐるしく変化する現在の世界から見れば、日本のそういうシステムは、気が遠くなるぐらい遅い。その代わり、一端決定されてしまうと、何があっても(とは言い過ぎかもしれませんが)当初の案を変更しようとせず、「約束を守れ」の一点張りになってしまうことがあるようです。変化の激しい世界から見ると、気が遠くなるぐらい硬い。

日本を批判したいのではありません。悔しいのです。日本の文化には弱いものをいたわり、自然と共生し、物事を丁寧に、和を大切にといったすぐれた特性があります。中国が改革開放の道を歩み出していた当初、日本は「先進性」を武器に主導権を握っていました。私が高校や大学生だった80年代の後半から90年代の初め頃がまさにそうでした。「上質な生活」「文化の香り」を中国は日本に教わりました。しかし、弱さをいたわり、自然に畏怖の念を抱き、物事を丁寧に考え、人を丁寧に扱うことを教わる前に、日本が主導権を失ってしまったのです。

ただただ、残念でなりません。

以上、やんやんでした。

 

【先月と今月の“ありがとう!”】

今月もサイトの更新は翻訳ボランティアの皆様のご協力によって無事進められました。日頃の感謝をいっぱいいっぱい込めて、ここで「ありがとう!」をお伝えしたいと思います。

今月ご協力いただいた皆様は、黄淑珺様、陸依柳様、張玉梅様、金暁輝様、張雨晴様、呉雪遠様、朱雅雯様、A.K様、岡田由一様、三津間由佳様、三浦祐介様、宮崎いずみ様、南 裕子様、山下高徳様、Vannasetta Varitta様、伊藤綾様、 XU YINGHUI様、 王唯一様、史家琪様、魏文様、Emily Lek様。

ありがとうございました!!

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※このメールマガジンの転載を歓迎します。ご転載、ご引用の際は、日中市民社会ネットワーク(CSネット)からの転載であることをご明示ください。

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