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2010/08/25 by yanyan

社会的企業のデザインと、人と人の距離–公益経済学習交流会in上海に参加して

先週、日中市民社会ネットワーク主催の「公益経済~社会サービスの新思考」
というシンポジウムに参加するため、上海に行ってきました。
上海は3年ぶりでしたが、その間にも、すごく発展していると感じました。
どんどんとビルが建つのは相変わらずですが、それだけでなく、
例えばスターバックス・コーヒーが増えたと感じたように、都市生活が定着
してきている印象を受けました。

また、今回、上海の社会的企業の育成機関NPI(nonprofit incubator)が
共催で、GLIやNPIのネットワークの参加者が多かったのだが、印象的
だったのは、20代後半くらいの若い女性の参加が多かったことだ。また、
NPIが上海市から受託して運営しているインキュベーション施設を訪問し、
20、30代の若者が社会起業を担っている姿も印象的でした。

例えば、「小龍包」という事業に会いました。ご存知、食べ物から名前をとって
いますが、小龍包の「龍」と聾唖者の「聾」が中国語で同じ音であること、
そして小龍包は薄い皮で包まれているが中の汁は熱いように、聾者には
コミュニケーションの薄い壁があるが、その中にある熱さを応援したいという
思いで名前をつけた、と説明してくれました。
そして、聾の若者はデザインを勉強し、能力を発揮することも多いが、社会に
出て仕事をしようとすると、就職できても、コミュニケーションの課題にぶつ
かり、すぐに辞めてしまう。そこを乗り越えて、仕事をやっていける力や
環境づくりをしようという事業を展開しています。

それを始めたのは、デザイナーとディレクターの若者の二人組で、四川大地震
で寄付をしたことをきっかけに、社会的事業の必要性に気付いたということ。
彼らから僕への質問が「企業とのパートナーシップを、もっと効果的に進める
ためのポイントは何か?」ということでした。

これらの感性、問題意識、ストーリーは、本当に日本や韓国、英米で出会う
若い社会起業家と同じで、このような事例が急速に増えていることに嬉しさも
感じました。

そして、小龍包はデザイン事業だからということもありますが、若い団体は
みなデザインや映像を、とても積極的に活用していること、そして、とても
楽しそうに活動していることが印象的でした。

常々、デザインや映像の活用について、韓国や中国は、日本よりも積極的だと
感じます。もちろん、日本の社会起業家たちもパワーポイントや資料などで
デザイン性の高いものを使っています。しかし、韓国や中国の若者たちは、
もっと楽観的に、デザインのパワーを信じているように感じます。
より強いエネルギーを感じるのです。

色々と考えている中で、そこには、コミュニケーションへの欲求の強さが
反映しているのではないかと考えました。

なかなかうまく表現できないのですが、例えば、
「自分たちの団体の内容をわかってもらいたい」とプレゼンをするのか
「なんとかして関心を持ってもらいたい、わからせたい」という欲求がある
のか、ということかもしれません。

「聞いてくれる人」に話すのか、「聞いてない人も、ふりむかせよう!」と
いうことの違いかもしれません。

そして、この前提には、社会における「人と人の距離の近さ」のようなものが
あるかもしれません。
韓国や中国では、大人数で食事をすることを大切にする文化が残っています。
仲間と熱く主張しあい、本気で喧嘩して、共に涙を流す、みたいな雰囲気も
残っています。
日本は、どこか、そういうことを、ちょっと避けて、一人ひとりで~という
感じで、人と人の距離をとって踏み込み合わないという雰囲気があります。

もちろん、全員が全員そうではないのですが、相対的な傾向として、
個々の自己主張が強く、かつ何かにつけ人と人の距離が近く、今の日本人的
には暑苦しいような環境でのコミュニケーションやデザインと、
人と人の距離、間合いを見ながら進めるコミュニケーションやデザインでは、
そこに自然と違いが生まれるのかもしれないと思うのです。

人と人が近い環境では、コミュニケーションに対する楽観的な感覚が強く、
それがデザインにも反映されるのではないかということです。

どっちが良い、悪いではなく、この違いは、日本において「ソーシャル・
キャピタル」を考えるうえで大切な論点ではないかと思います。

ソーシャル・ビジネスには、社会の各主体との関係性の豊かさが金銭的資本
以上の資源として重要だというのがソーシャル・キャピタル論です。

日頃の生活での人と人の関係が薄い中でソーシャル・キャピタルを作るのと
濃い人と人のつきあいの中でソーシャル・キャピタルを作るのは違います。

人と人の関係が薄まっていく日本で、ホームパーティやBBQの文化が弱い
ことで、ますます場づくりの経験値が弱くなってしまう中で、
つながり、コミュニティ、ソーシャル・キャピタルを、どのように作るのか。

日本の現状を、中国や韓国、英米との多面的な切り口からの比較も行いながら、
戦略とスキルとツールをつくることが不可欠だと改めて強く感じています。

(empublicのメルマガ第32号より、広石拓司代表の巻頭コラムを転載)

GLIサイトより転載:http://www.glijapan.eu/news/?p=1037

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