2012/01/23 by Matsue

【堀井利修】㈱サンフォーレ―堀井利修社長との交流記録

2011年9月6日、第2回富平LEAD and Beyond 来日研修は神奈川県鎌倉市にあるシニアホーム―サンフォーレを訪問し、堀井利修社長からお話を伺った。
サンフォーレは1988年神奈川県に設立されたシニアホームで、設立のきっかけとなったのは、堀井社長自身の26年に及ぶ祖母の介護経験だった。シニアのニーズとその介護に伴う苦労を知る堀井社長は、子どもには自分の介護をさせたくないと感じ、サンフォーレを立ち上げた。その経営理念は「コミュニティの協力の中で、高いレベルの新しいサービスを創造し、自由で活力にみちたシニア社会を実現すること」だという。
サンフォーレには一般のシニア介護団体とは違う特色がある。

体の介護だけでなく、心のケアを大切にする
日本の高齢者介護制度では、45歳以上の人は認定を受ければ誰でも介護保険を使うことができる。しかし、介護保険の経済的な補助だけでは不完全である上、どの制度や措置においても、体の介護には力を入れているが、心のケアは見過ごされており、多くのシニアが孤独で絶望的な状態におかれていると堀井社長は考えている。政府のやりかたは官僚的で、公式のようなものを作り、下の部門に執行させている。たとえば、シニアのオムツ交換を介護者の成績としてとらえ、成績に応じて収入を得るシステム。一方、たとえばシニアを喜ばせることができても、それは収入にならないため、心のケアはないがしろにされている。サンフォーレが目指すのは、体と心を同時にケアできるシステムの構築だ。
心のケアとは、たとえばシニアが人生で大切にしている価値を理解すること。年齢が上がるにつれ、記憶は曖昧になるが、サンフォーレではシニアの家族や友人から本人に関する重要な情報を集めて以前の情景を再現し、シニアに自分の人生の軌跡を思い出してもらう。このようにシニアの記憶を再現することは、シニアの心の迅速な回復につながる。同様に、現在しばしば話題に上る認知症患者の場合でも、優れた心のケアを受けていれば、自分の意思を上手に伝えることができるのだ。

小規模ホーム
30年前、政府は21世紀の社会を想定して高齢者政策を作ってきたが、現実は予測を超えることが多い。サンフォーレが現在活躍できているのは、事業のやり方が市民の支持を得ているからだと堀井社長を考えている。21世紀のビジネスモデルの一つはイノベーションであり、シニアホーム事業におけるイノベーションとは、たとえば多くの人が介護保険を支払っているが、サンフォーレでは介護保険を使ったケアのほかにも、さまざまなサービスを選べるということだ。
小規模ホームは、サンフォーレの事業展開においては重要なこだわりの一つだと言える。多くのシニアは家族とずっと暮らしたいと願っているが、現実的には子どもはシニアをケアする余裕がない。そこで、サンフォーレが取り組む「家庭的ケア」が小規模ホームだ。たとえば、サンフォーレのほとんどの入居者は3キロ以内のご近所に住むシニアで、ケアスタッフも同じ地域に住む人だ。ほかの介護施設と違い、サンフォーレの入居者はプログラムに従って時を過ごすよう求められない。このため、入居者数は最大でも30-40人以内になる。もし100-200人になれば、スタッフは覚えきれず、プログラムに従って管理せざるを得ないのだ。今、中国ではおそらく大規模ホームを建設していると思われるが、(日本では)近年小規模ホームがますます多くなっており、主に二つのタイプがある。もともと住んでいる地域内でケアを受けるコミュニティ・シニアホームと、たとえば釣りなど同じ趣味を持つ友人や信仰を同じくする友人と一緒に住むシニアホームだ。

角カフェ
サンフォーレは中レベルの介護を提供できるが、その最終目標は、将来シニアに介護が必要なくなることだ。そのため、サンフォーレでは現在食事療法として栄養スープカフェ・プロジェクトを行っている。コミュニティの一角に店を開き、シニアが外食に出かけるよう呼びかけている。これは一般的な日本人男性が仕事と家庭の往復のみで、地域に友達が少ないという現実に即して考え出されたもので、地域での友達作りと同時に体質を増強してもらおうという試みだ。またここでは、シニアに働く場所を提供することもできる。
堀井社長は、中国の印象について以下のように語った。中国は大変活力のある国で、日本は中国にくらべるとシニアが多すぎ、全体的に若さと活力がない。しかし中国も高齢化が進みつつあるので、この分野で両国がもっと深い交流を行い、良好な関係を継続していくよう望む。

 

質疑応答
Q:心のケアとしてシニアに記憶を取り戻してもらうというアイディアはとても良いと思うが、高いコストがかかるのではないか。どのように解決しているのか。
A:すべての記憶を取り戻してもらうのではなく、代表的ないくつかを思い出してもらえればいい。その他の行動は他の人と同じで構わない。日本の法律では、ケアスタッフは1人で3名のシニアをケアできることになっているが、サンフォーレでは2名としている。シニアが病気になった場合は、基本的に1対1でケアを行う。
Q:財政方面で、サンフォーレは行政から30%の補助を得るとのことだが、残りの70%は自主的な収入なのか。
A:現在、日本のシニアは1400兆円を持っているといわれており、彼らが消費するよう刺激する必要がある。私たちが良いサービスを提供できるなら、彼らは進んでお金を使うはずだ。
Q:日本では一般的に国の介護保険だけで老後は安心して暮らせるのか。
A:介護保険では、体のケアは基本的に最後まで受けられる。一般的に行政が90%負担し、自己負担は10%だ。サンフォーレでは1ヶ月の費用は20万円で、シニアの退職金は一般的に月24万円、夫婦二人なら月に8万円の余裕があり、基本的に経済的には問題ない。
Q:ケアスタッフの募集は問題ないのか。
A:日本の教育制度には、介護スタッフを専門的に育成するコースがあるが、卒業したばかりの人はすぐに現場に配置できず、研修を受けてもらわなくてはならない。研修制度のレベルは、給料と関係しており、経験のある人は給料が多く、若い人は相対的に少ない。また知的レベルの高いシニアにより良いサービスを提供するために、大学にもサンフォーレを作りたいと考えているが、まだ文部科学省から許可が下りていない。

文責:季新

翻訳:松江直子

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