2012/01/21 by Matsue

【孫恒】新労働者芸術団の天津巡回公演

“新労働者芸術団”は都市で働く出稼ぎ労働者が2002年に立ち上げた、労働者のために歌う民間の文芸団体である。 メンバーは主に文芸を得意とする労働者で、皆、仕事の合間の時間を利用して創作し公演する。芸術団の目的は“労働者のために歌う――歌声で応援し、文芸で権利を擁護する”ことだ。設立以来、芸術団はずっと工事現場、工場、コミュニティ、学校などの場所で、多くの労働者のために歌を歌ってきた。今までに、彼らは5枚のオリジナルアルバムを出し、公演は500回以上にのぼる。

2011年、芸術団は全国各地へ出かけ、巡回公演を行った。一つの巡回場所ごとに、芸術団の中心的人物である孫恒さんは“労働と尊厳”と題した“歌とおしゃべり”活動を行っている。
11月12日、新労働者芸術団全国巡回公演が天津にやって来た。
これは主催者側、天津出稼ぎ労働者の家が公演のために準備した簡単な宣伝ポスターである。上には“無料チャリティ公演―労働者のために歌を歌う”と書いてある。公演で披露される歌はみな団員の自作であり、現代の出稼ぎ労働者の生活と心の声を反映している。

夜7時半、天津西青工業区で、野外公演が始まった。オープニングは≪出稼ぎの唄≫。巡回公演で、芸術団はいつもこの歌をオープニングの曲にする:
俺たちは街に来て働く 胸をはって働く 誰も誰が高尚かを比べない 俺たちは自分の歌を歌う;俺たちはこの生活を心から愛し だから故郷を離れた 見知らぬ街に来て せっせと真面目に働くのさ;良心だけに従って 正々堂々と身を処して 欺むけるとは思うなよ 俺たちには俺たちの尊厳がある ヘイヨッヘイヨッ!ヘイヨッヘイヨッ!

公演場所が天津の一つの工業区であったため、芸術団は≪工業区≫と題する歌を歌った。
毎朝俺は操られて起きる 俺の生活はひと筋のベルトコンベアー 現場には昼も夜もない 青白い電灯と疲れた顔があるだけ。俺は親方の欲望をはっきりと見た 俺は仲間たちの涙で郷愁を描き 希望や失望や絶望をまぜこぜにして 一つの硬いこぶしをつくり上げる

ほかにも公演の定番として、ユーモアあふれる恋の歌≪可愛いあの子が会いに来る≫がある。
 可愛いあの子が会いに来る でも汽車で来てはいけないよ 汽車にはスリが多いのさ 痛い目みたら可哀相;可愛いあの子が会いに来る でも船で来てはいけないよ 海の波風激しくて 落ちやしないかと心配だ;可愛いあの子が会いに来る でも飛行機で来てはいけないよ 飛行機には外人が多いから たぶらかされたら大変だ;可愛いあの子が会いに来る でもロケットで来てはいけないよ あんまりスピード速すぎて 降りられないと困るから

公演の終わりの曲は≪労働者讃歌≫、これも芸術団が巡回公演中いつも最後に歌う曲である:
 身内と友人に別れを告げ 戦への道に踏み出した 生活のために駆け回って苦労する 理想のために奮闘する。俺たちは素寒貧ではない 知恵と二本の腕がある それで大通りの橋やビルを作るのさ。風の中を来て 雨の中を帰る 片時も止まらない。汗をかき 涙も流れ 頭をもたげて前に歩む。俺たちの幸福と権利は 俺たち自身で勝ち取ろう 労働者がこの世界を作ったのだ 労働者に栄光あれ!

天津西青工業区での公演の翌日、孫恒さんは天津師範大学、天津国仁労働者の家などで“労働と尊厳--歌とおしゃべり”活動を行い、労働者の歌を歌うとともに、労働と労働者に対する見方を語った。

孫恒
私たちは歌声で労働者の物語を伝え、多くの人に労働者の声を届けたい。目的は――労働者及び労働の価値を尊重し認めてほしいと人々に訴えること。何故なら労働者が社会の富をつくったから。だから労働者は社会全体から尊重されるべきだ。
中国はすでに世界の工業大国となったが、将来の中国の世界における競争力は中国の労働者の質の引き上げ如何にかかっている。それは主に知識・技能と精神文化という二つの面における質の向上だ。これには一方で外的条件のサポートつまり政府が法律・政策及び社会保障制度を整備すること、また企業が社会的責任を重視することを必要とするが、もう一方では労働者自身が知識技能及び精神文化の素質を絶えまなく引き上げることを必要とする。
一人ひとりの労働者がすべて尊厳を持って生きられることを望む。つまり、働いた分だけ収入を得、病は治療するところがあり、老いては養生するところがあり、住むところがあるということだ。

 背景の紹介:
孫恒さんが中心となって創設した北京出稼ぎ労働者の家文化発展センター、略称“工友の家”は、2002年11月に正式に成立した。北京市工商行政管理部門が審査を経て正式に登録した非営利の社会公益サービス団体である。主な事業は以下のとおり:
1、 新労働者芸術団 2002年5月設立
1、 同心実験学校(北京で働く出稼ぎ労働者の子女入学の受け入れ)2005年8月設立
1、 同心互恵商店(中古資源を回収し、出稼ぎ労働者など低収入の人たちに安売りする社会的企業)2006年設立
1、 出稼ぎ労働者文化芸術博物館 2008年5月開放(参観無料)

このほか、出稼ぎ労働者の子女に対して展開する流動児童発展教育プロジェクト、80年代・90年代生まれの若い世代の出稼ぎ労働者に対する生活技能と起業支援訓練プロジェクト、社会の各界の人たちを動員して出稼ぎ労働者コミュニティのためにボランティアサービスを提供するプロジェクト、及び新労働者コミュニティと関係する調査、研究プロジェクトがある。

資料:新労働者芸術団ネットサイト www.dashengchang.org.cn

主に以下の二編の文章の内容に基づいて編集:
新労働者芸術団全国巡回公演――天津ドキュメンタリー

労働と尊厳 孫恒歌とおしゃべり――天津師範大へ

編集 李君暉
翻訳:岡田由一
校正:松江直子

 

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