2009/12/28 by GLI Japan

“跡を尋ねる”ソーシャル・イノベーション・フォーラム-商業モデルで社会問題を解決する

2009年10月25日、ソーシャル・イノベーションについてのフォーラムが復旦大学で開催された。テーマは、社会的企業の理念を大学生に普及することであった。来賓のShanghai Young BakersHands on Shanghai、“斉放ネット就学支援プラットフォーム”、“1Kg More!”の 創始者達は自分の組織を紹介し、ソーシャル・イノベーションをめぐっていろいろな問題を検討した。このフォーラムは、シンガポール国立大学、復旦大学、華 東師範大学、西安交通‐リバプール大学の学生達によって計画され、十ヶ月を掛けて準備された。筆者は幸運にもこのフォーラムに参加し、現代の大学生がソー シャル・イノベーションに対しどんなに情熱を燃やしているかを目の当たりにした。復旦フォーラム
まず、主催者として各大学の先生達がソーシャル・イノベーションについて自分の見解を述べた。復旦大学の顧東輝教授が今の中国における社会的企業の発展 の特徴を総合的に述べられ、特に印象が深かった。顧教授は、社会的企業は全く新しい視点で社会問題を再検討する存在だ、と考えている。この数年、社会的企 業を創設する人も出始めたが、それは大陸のNPO領域が近年ある程度発展したことと関係がある。社会的企業はNPOと企業の2種類の特徴を備えると同時に ビジネスの目的と公益の目的とのバランスを取るからこそ、ソーシャル・イノベーションの領域に輝かしい功績を立てる。

次に、Shanghai Young Baker(http://www.shanghaiyoungbakers.com/, 略称SYB)の創立者Celine Le Contonneさんが《企業の社会的責任を再定義する》と題する報告を行い、SYBの運営情況の紹介や(詳しいことはネットワーカーGraceの誕生日パーティーについてのGLI中国語サイトの報道をご覧下さいhttp://www.globallinksinitiative.com/news/?p=790)、 SYBが企業資源と社会資源を運用してきた経験を語った。SYBは上海に住むフランスの若い人が立ち上げ、多国籍のボランティアによって運営される公益団 体である。上海の弱い立場の若者、特に孤児を助けることを目指し、パン製造技術の育成訓練をした上で就業支援をする。この活動は2008年3月に始まり、 第一期の16人の学生はすでに順調に卒業して、今は第二期の30人の学生が育成訓練を受けている最中である。SYBの育成訓練には技術と文化の授業があ り、期間は半年、学生は卒業した後、SYBの推薦を得ることができる他、更に1枚の技術と文化に関する学位証明書を獲得できる。筆者はSYBに持続可能な 発展性があるかと質問したが、Celineはこう説明した。「SYBのメンバーは全員兼職なので、このモデルが成熟したら、SYBの理念に賛同する団体に 譲渡して管理してもらいたい」
Celineは、SYBを経営する中で一番重要なのは宣伝である、とはっきり語った。ICS,Shanghai Dailyなど上海の有名なメディアもSYBをインタビューしたことがあるが、このような宣伝により、SYBはいろいろな出資援助を得ることができ、更な る発展ができる。たとえば、フランスのベーカリーブランドであるLesaffreは、パン生地の提供及び今回のフォーラムでみんなの前でパンを作った SYBの学生に対する資金援助を行った。

続いて報告したのは“斉放ネット就学支援プラットフォーム” の理事長特別補佐、陳さんであった。斉放はネットサービスの会社である。インターネットを通して個人、会社や各種の団体をつないで就学資金を集め、中国の 貧乏な学生が夢を実現する手助けをしている。斉放はその革新的企業モデルと積極的な社会影響力により世界経済フォーラム(訳注:2009年度)でテクノロ ジー・パイオニア賞が与えられた。陳さんは語った。「斉放が社会的企業としてIT業を切り口に選んだのは、ITが着手しやすく、しかも普及しやすいこと が、社会的企業にとってとても重要な意義を持つからです」
斉放ネットが選んだのは、個人対個人の寄付モデルで、就学支援の必要がある学生一人一人に、技術サポートを与える。斉放は以下のサービスを提供する:

1.いくつかの学校と連絡を取って、ネットで情報を発表する
2.寄付者は事情を知ったのち、寄付する
3.学生は斉放を通して、受け取った就学資金を定期的に援助者に返還し最終的に全額返済する

三番目の報告はRichard Brubaker さんであった。Richardは2004年にHands on ShanghaiHands on Chengduを創立した。彼は中国にボランティア精神を広めると共に、Collective Responsibility(共通の責任)という団体の創立にも参加し、中国の社会問題解決の処方箋を提供することに力を尽くしている。近頃彼らはCleaner Greener China(もっ と中国をきれいに、緑に)の活動を始めた。Richardは《どのように社会的企業を創立するか》と言う報告で、社会的企業を成功させるために鍵となる4 つの要素についてご紹介した。Richardは、「公益団体を創立するには、長期計画を立てなければならない。たとえば、5年の計画だ。まず考えなければ ならないのは人事と資金調達の問題である。それは関心(awareness)、組織(engagement)、能力(capacity)と規模 (scale)の4つの要因によって決められる。この四つは段階的に関わっていく。つまり、関心とは主に社会的企業の創立者が注目し興味を持つ社会問題を 見つけること。組織とは創立者がその問題に対して何をすることができか考えること。能力とは能力建設、問題解決および資金調達。規模とは計画の発展、パー トナー開拓、宣伝拡大の3つのこと。上海でコンサルティング会社を経営しているRichardの社会的企業についての分析は、どれも納得できるものだっ た。

最後に報告したのは“1Kg More!”の創始者である余志海さん。彼は《ソーシャル・イノベーションとあなた——一般市民をソーシャル・イノベーションに参加させよう》という報告を行った。(“1Kg More!”についてはGLI日本語サイト《中国の社会起業家事例集》を参照)。余さんは自分の創業経験についてあまり述べなかったが、ソーシャル・イノベーターとして大切な特質を指摘した。それは思い付いたらやること(Just do it!)と、一つの小さな事を心を込めて根気よく続けること。それこそが成功の秘訣なのである。
来賓による報告の終了後、袁岳さん(訳注:中国の著名なコメンテーター)の司会による、興味深い討論セッションが始まった。袁さんはうまい文句を連発し て、会場の雰囲気を盛り上げた。袁さんは、今は社会的企業とソーシャル・イノベーションにとってとても良い時期だと思っているそうだが、袁さんの目から見 たソーシャル・イノベーションとは至ってシンプルだ。それは小さいところで小さな事をして、恵みを受ける者は“小人”(つまり普通の人)、ということであ る。

袁さんは2つの質問をした:

1.NPOはどのように資金を集めるのか。、ビジネスの資金集めとどのような違いがあるのか。
2.公益活動はキャリアになりえるのか。

一番目の問題について、会議参加者の答えはプロジェクトの制定と宣伝を重視すべきというものだった。すばらしいプロジェクトは資金を得やすいわけである。 多くの大企業は自分の財団を持っているため、企業からの資金調達の鍵は、それがすばらしいプロジェクトであるかどうかにかかっている。一方、顧教授は重要 なのは次の三点であると述べた。
1.良い構想があり、それを行うにふさわしい人が見つかり、そして構想と使命をはっきり見極めること
2.自分の団体の生存に協力すること
3.実行しやすいプロジェクトであること。レベルの高いプロジェクトはすべて簡単で広めやすいものである。たとえば、“1Kg More!”のように。
Celineは企業からの資金調達の実際について、“あなたは私達にお金をください、私達はあなたにメンツをさしあげます”ということだとユーモアたっぷ りに語り、すかさず会場から納得の笑い声が起こった。それから、袁岳さんは資金調達についての三要点を以下のようにまとめた。
1.相応しいターゲットを探すこと
2.良いプロジェクトであること
3.専門的であること

二番目の問題に対し、ゲストも次から次へと自分の意見を述べた。Richardはアメリカ人で、アメリカでは人口の10%がNPOに勤めている と紹介した。NPOでは達成感を得ることができるし、すばらしい収入も獲得できると。しかし、今、中国のNPO職員は、やりがいでも収入でもアメリカに及 ばない。しかし、余志海さんの答えはたいへん心を奮い立たせるものだった。彼はNPOをやるのは仕事を替えるというより、経営のやり方を変えることだと 思っている。チームの指導者として、彼はもっと多くのことをやらなければならず、それによって彼は更に多くの達成感を得ているという。

最後に、袁岳さんは今の中国の公益活動の特徴を次のようにまとめた。
1.専門技術を持つ人材が不足
2.創始者になりやすい
3.公益とビジネスは異なっており、公益は社会に対して思いも掛けない巨大な影響力があって、それにはプラス面も、マイナス面もある
4.政府は財団やNPOに対し法人登録を受け付けている。今は公益産業が形成されている最中で、もっと多くの人が参加してこそ、系統的な産業チェーンが形成される

文責:丁一帆

翻訳:朱月媚

 

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