2011/12/01 by Fancy

屋久島コラム8:雲南「三江併流」視察3:昆明交流会

のんほ~!(上海語のニーアオ^^)10月に北京と上海へ行ってきた屋久子ですが、まだまだ中国モードです。上海蟹はたいへん美味しかった~。秋冬が旬なので、まだまだ間に合いますよ。
さて、8月雲南視察の報告もいよいよ今回で完成します。王国慧さんからの寄稿で、ぜひごゆっくりご覧になっていただきたいと思います。

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雲南屋久島自然共生型社会交流会
2011年8月23日午後
雲南林学院会議室

8月下旬、屋久島プロジェクトはその「舞台」を屋久島から中国雲南省北西部に移し、雲南視察ツアーがスタートしました。七日間のツアー中、訪問団は環境保護や地域おこし、そしてエコツアー活動などに取り組む雲南省の人たちと交流し、自然共生型社会に関する実践経験を日中で共有する民間協力ネットワークの構築について議論しました。その後、訪問団は白馬雪山自然保護区を訪ねる四日間のエコツアーに参加しました。

雲南視察ツアーのスタートは、昆明にある雲南林業科学院で行われた「雲南屋久島自然共生型社会交流会」でした。参加者は、一般社団法人代表、作家・翻訳家の星川淳さん夫妻、屋久島在住の陶芸家山下正行さん、CSネット事務局長の朱惠文さん、上海からの世界遺産研究者・フリーライターの王国慧さん、メディア代表の李攀さん、雲南Winrock農業発展センターの馬建忠さんと李静若さん、環境NGO「緑色流域」の于暁剛さんと楊雲楓さん、雲南大学旅遊学院陳飆博士、グローバル人文地理雑誌社の姜川さん、そして雲南林業科学院からも、多くの方が参加してくださいました。

プロジェクトの由来

交流会のはじめに、星川さんがプロジェクトの由来について話しました。

星川さんは初めて雲南省に来ましたが、会議室の壁にかけてある書道作品を見て安心したそうです。なぜなら、漢字に親近感を覚え、翻訳してもらわなくても、大まかな意味がわかったからです。東アジアは文化的につながっていると実感し、このプロジェクトを通じて、一緒に環境や平和について交流し、西洋と異なる「自然との共生」を一緒に議論したいと述べました。

星川さんは日本の環境保護分野で長年活動してきました。20歳前後に、文章を書くことをツールとして、環境と平和を守ることを一生の仕事にしようと決めました。「日本は戦争中に犯した罪によって、東アジア各国に重大な災難と苦痛をもたらしました。私は誠実な市民交流によって両国国民のつながりを回復するよう努力したい」と、星川さんは感情をこめて話しました。

星川さんのお連れ合いである加代子さんも、プロジェクトの由来そして彼女の希望を述べました。北朝鮮の核危機、福島原発事故、そして米軍が新しい基地を作ろうとする動きに、彼女は原発の危険性と東アジア地域の市民交流の必要性を強く感じたと言います。同時に、日本のエコツーリズムの象徴的地域とされている屋久島でも、現在一極集中的な宣伝と開発の問題が住民たちや自然環境に新しい試練を与えていると言います。このような背景の下で、彼女は、日中韓三カ国の市民連携と文化交流を通じて、エコツーリズムの分野で共通する課題について一緒に検討し解決することを、パートナーに提案しました。

屋久島プロジェクトの実施者として、CSネットの朱惠文さんはプロジェクトの宗旨、目標、アクションプランそして現段階の進展状況を紹介しました。「今回の交流会そして視察の目的は、特定のモデル事業や成功事例を広めようとするものではありません。屋久島で今まで蓄積してきた経験と教訓を皆さんに紹介し、一緒に知恵を出し合って、共通課題について検討したいのです」と強調しました。

屋久島からの学び

原生林保護運動からごみ問題まで、屋久島在住30年の星川夫妻は積極的に島内の住民運動に取り組み、そして屋久島住民が行う様々な環境保護活動を見てきました。星川さんは「屋久島からの学び:自然と伝統文化を守りながら、持続可能な地域経済を醸成するには」というテーマで報告を行いました。

星川さんによると、第一次産業の持続可能性は地域の持続可能な発展の基礎であり、自然生態系を破壊しない排水とごみ処理が自然生態系を守るための鍵。「これからの世界で評価されるのは、自然生態系とそれを基盤とする地域の第一次産業とが健在で、持続可能な共生状態にある人間社会の姿です。地域住民自身が生活の質を向上させるために行なう取り組みが大切で、たとえもとの生態系が変質してしまった場合でも、新しい共生の形を再生することは可能であり、世界的に、それを本物として評価する眼が育っている」と。観光業について、星川さんは、もっとも重要なのは観光客に現地の人と一緒にある課題について考えてもらうこと、つまり本当の持続可能性はどう実現できるか、という課題の共有です」と述べました。

屋久島に移住してから30年が経った陶芸家・山下さんは自分の経験から、観光客の急増が島にもたらした社会変化と環境問題について話しました。世界自然遺産登録に成功してから、屋久島の主要産業は漁業や農業から観光業に変わりました。この変化は社会バランスを崩し、元々島の人が持っていたまじめに農業に従事する気持ちを変えてしまいました。収入の格差が大きくなるにつれて、人が冷たくなっていくのです。一方、観光業では規範がないため、ガイドの質がばらばらで村に大きな問題をもたらしました。さらに、メディアと観光業の偏った宣伝と観光客の盲従によって、いくつかの観光スポットは過剰に開発され、大量の観光客による渋滞やごみ処理、トイレ不足などの問題が深刻化し、自然生態系に大きな負担をかけてしまいました。一部の住民と環境団体が、島の山岳信仰という伝統文化と自然生態系保護のために提出した「入山制限」条例案は、町議会に否決されました。理由は経済への影響が危惧されたからです。この問題は、いま屋久島でもっとも大きな問題で議論の争点となっています。

三江併流地域の実践

雲南大学旅行研究所の陳飆博士は、「雲南エコツアーの現状と問題点」について報告しました。「雲南省のエコツーリムはまだ初期段階で、発展が遅く、問題は多い。しかし希望はある」と一言で評価してから、業界の現状と地域の特徴を紹介し、いま直面している5つの問題を指摘しました。その5つとは、旅行業の無計画な発展が現地の生態系と文化に悪影響を与えていること、地域社会があまり参画していないこと、観光業からの利益が地域に落ちていないこと、環境汚染、そして社会的衝突です。

雲南林業科学院教授の馬建忠さんは、ご自身が関わった梅里雪山国家公園プロジェクトの準備作業と雲南省チベット族地域の自然と文化の多様性保護事業の経験から、この地域が直面している主要な問題、例えば薪の利用と過剰な放牧、薬草採集の自然資源への影響、社会経済の構造変化と伝統文化の消失について紹介しました。陳博士が推奨した梅里雪山雨崩村のエコツアーに対して、馬さんは違う意見を述べました。村民は観光業に従事することによって急速に豊かになったが、同時に、ごみの急増や、伝統文化の退化、貧富格差の拡大、そして人間関係の変化などの問題はまだ効果的に解決或いはコントロールされていないので、決して成功とは言えないと。「しかし、幸い私たちは教訓を学びました。保護事業にとっても、発展にとっても、地域社会の自覚と多様な社会アクターが力を合わせることが必要だと、皆さんはすでに認識し始めたのです」

NGO「緑色流域」の創設者于暁剛さんは、麗江拉市海湿地の上流にある洋芋厰という名の彝族村落で行っているコミュニティエコツアーの実践について紹介しました。流域の総合管理を推進するNGOとして、「緑色流域」は麗江拉市海湿地で10年間流域の各コミュニティが共同で管理する総合プロジェクトを運営してきました。メンバーは、流域管理委員会、漁業共同組合、果樹生産共同組合、灌漑共同組合と洋芋厰にあるエコツーリズム共同組合です。洋芋厰でエコツーリズムを推進する理由は、美しい自然の風景に加え、観光業で貧しい現状を変えたいという村民の熱い想いがあるからです。辺鄙な寒冷地帯の高原にある洋芋厰には、今でも公共の自動車道路が通っていません。森林伐採と過剰な放牧により、かつて深刻な土壌の流失問題を起こしました。原生林伐採禁止令と狩猟禁止令が実施されてからは、生態系がある程度回復しましたが、ジャガイモの栽培が唯一の収入源であるため、村民の生活状態は更に悪化しました。希望が見えない働き盛りの人は出稼ぎ労働を選ばざるを得ず、老人や女性、そして子どもだけが山奥に残されています。

自分たちの力で故郷の環境を改善できることを証明するために、村民たちは外来資本による「村全体の移住」を迫る圧力と利益の誘惑に勝ち抜きました。彼らはエコツアーを通じた積極的な自己救助の道を選んだのです。洋芋厰のエコツアーのメニューは非常に原始的かつ単純なもので、マーケティングやプラン設計などは一切ありません。しかし、観光客はこの山奥の村に来た途端、村全体のお客さんとなり、村民の家に宿泊し、一緒に食べたり飲んだりします。村民たちはお客さんを桃源郷のような美しい場所に案内するだけではなく、純朴で暖かい人情と風土の魅力により、村の人とこの土地とのつながりをお客さんに体感させるのです。研修を受けることによって、村民たちは積極的に標準語や算数・会計を学び、料理の腕をも上げました。出稼ぎで留守にしていた若者も、故郷に帰って起業しようと考え始めました。メディアの宣伝もマーケティングもないのに、すでにたくさんの海外からの学生グループやバックパッカーが洋芋厰を訪れ、「麗江最後の浄土」、「桃源郷」とネットで好評を博しています。

このようなうれしい収穫がある一方、洋芋厰のコミュニティエコツアーはたくさんの危機に直面しています。宿泊環境を改善するための資金の欠如や、市場開発と管理の人材の欠如、また村民たちの観光業に対する過剰な期待と依存、村全体を他の地域に移住させるという行政からの圧力が依然として存在していること等々。「これらの問題が私たちに教えてくれたのは、コミュニティの権利や地域住民の発展の権利は、往々にして地方政府や外部の投資者に無視されるということです。エコツーリズムを地域おこしの方法として選んだことで、すでにたくさんの問題と困惑に遭遇しました。より専門性が高い、実務的な議論と交流が必要なのですと于暁剛さんが最後に強調しました。

終わりに

自由討論の時間には、エコツーリズムと地域経済の持続可能な発展、特に地域権利の保障、ごみ処理と文化の保護など、最も関心が高い問題について、参加者たちは熱く議論し合いました。多くの話題を語りつくさぬまま、4時間の交流会は幕を閉じました。

このような交流と議論の目的は、直接に問題を解決するというより、人々の考えと関心を引き出し、更なる交流と議論につなげることだと思います。明日から、視察団はたくさんの課題を抱えて白馬雪山自然保護区に入り、保護区の職員が実践している地域共同管理型のエコツアーを体験します。さらに、10月に開催される予定の屋久島フォーラムでは、雲南省の人たちが日本に赴き、現地の専門家たちと一緒にこれらの問題についてさらに突っ込んだ議論を行う予定です。

読者の皆さん、ご興味がありましたら、ぜひCSネットのホームページを通じて私たちの議論にご参加ください。そして、屋久島プロジェクトの進展にもご注目ください。

文:王国慧
訳:朱惠文

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