2009/04/20 by GLI Japan

【謝麗華】起業は身近なニーズから 農家女文化発展センター・謝麗華訪日感

以前は金融危機の話をしていても、自分とはかけ離れた事のように感じていたが、今ではすっかり身近な出来事になった。昨年勃発したこの危機によ り、中国では2000万人の出稼ぎ労働者が職を失い、600万人の大学卒業生の就職に支障を来たしている。この重い課題に対し、私たちには何ができるのだ ろうか。1月13日-18日、GLIの招きにより、NGOの仲間10人とともに私は日本を訪問し、社会的企業を中心に視察交流を行った。日程の関係で急ぎ 足になったものの、少なからぬ収穫や感動をもたらしてくれる旅であった。最大の収穫は、社会的企業に対する新しい認識を得たことだ。ここでは印象の深かっ た3つの社会的企業を簡単に紹介し、みなさんに発想の転換を促したい。起業するのは経済効果のためばかりでなく、身近なニーズこそが起業のチャンスとなり 得るのだ。

K2インターナショナル」 の創始者は1組の中年夫婦だ。その創業の志はとても単純で、「仕事をする気になれない、知らない人と会いたくないといった、親もどうしていいかわからない 青年たちの、社会への自立を助けたい」というものだった。そのような青年たちを、世間は「親のすねかじり」と言ったり、「自閉症」と看做したりし、少なか らぬ人が、彼らの事を「問題のある青年」と称していた。しかし、この夫婦はそうは考えず、これらの青年たちにはちょっとした社交上の障害があるだけだと考 えた。そして、色々な方法で彼らをまとめ、彼らの気にいる生活スタイルを共に作り出した。20年の不断の努力は、K2インターナショナルを成功に導いた。 私たちは青年たちが切り盛りするお好み焼き店で食事をしたが、働く彼らの顔はみな輝いていた。

スワンベーカリー」と K2は同工異曲(見かけは違うように見えるが内容は同じ)とも言えるが、スワンのサービス対象は障がい者だ。創始者の小倉昌男氏はすでに故人だが、後継者 の海津歩さんはスマートな働き盛りで、彼は小倉氏の創業理念を滔々と語ってくれた。「障がい者も健常者も同じだと考えています。彼ら障がい者の生理的特徴 に適い、彼らが安全と感じることができる職場環境を私たちが提供することができれば、彼らも健常者同様に無限の潜在能力を発揮できるのです」
具体的な経営管理において、彼らは障がい者の特徴を考慮した作業工程を設計している。まず作業工程を簡単な作業ごとに細分化し、一人がいくつかの工程を担 当するようにする。こうすれば、覚えるのも熟練するのも容易なため、効率が上がる。彼は誇らしげに言った。「障がい者と健常者の給料は全く同じですし、彼 らが作るパンの品質は、市場でも強い競争力を持っています」。彼らの成功の秘訣は、「私たちは、自分たちが世話してもらうだけの存在だと思ったことはな い」と言うことに尽きる。

サンフォーレ」は訪日 団一行の心を強く揺さぶった。創始者の堀井さんはかつて不動産開発会社で働いていたが、祖父母や父母が晩年経験した種々の生活の不便を目の当たりにし、 20年前からコミュニティーにおける高齢者介護生活のモデルを模索し始めた。そのモデルの最大の特徴は、高齢者が住みなれた家や地域を離れることなく、人 生の終わりを幸せに過ごせるようにすることだ。家庭の感覚に近づけるためには、施設は10数人規模が最も望ましい。インテリアも普通の家のようにし、オー プンキッチン、暖かい雰囲気の食堂、幼稚園のような活動室。子どもに返った入居者たちは、そこで歌を歌ったり、絵を描いたり、ジグゾーパズルを楽しんだり し、スタッフたちは家族と同じように彼らの世話をする。堀井さんは言う。「日本には現在100歳以上の高齢者が3万人あまりいますが、30-50年もする と、その数は70-80万人になると言われており、これは人類がかつて経験したことのない挑戦です」。堀井さんは、彼の高齢者本位のコミュニティ介護モデ ルを中国にも普及させたいと思っている。なぜなら、近い将来、中国も高齢化社会の問題に直面することを知っているからだ。

ここまで読んできて、みなさんは社会的企業について、ある程度感覚的にとらえることができたであろうか。起業と就職の機会を探す上で、いつも新製品 の研究開発ばかりに気を取られていてはならないのだ。実際の所、経済が高度に発達した日本では、個人事業者が新製品を開発するのはとても難しいことである が、人間相手のサービスの可能性は無限である。K2の御夫婦にしても、小倉さんや堀井さんにしても、彼らは純粋な慈善行為として弱者支援を行っているので はなく、そのサービスと利益を有機的に結合している。比較して見ると、我が中国、為すべきことはあまりにも多い。高齢者、こども、障がい者のニーズはまだ まだ満たされることはなく、起業しようと思ったら、至る所にその機会を見つけることができるだろう。

人類は今日まで進歩してきたが、経済の急激な発展は、一体何のためなのか、私たちはしっかり反省すべきではないだろうか。私たちより一歩先んじてい る日本は、人類社会の究極の目標を探し始めており、理想に燃えた社会起業家や責任感溢れる社会的企業が次々と現れている。もちろん、国際的な大企業と比べ れば、彼らの存在はまだ非常に小さい。しかし文化的な社会とは、人の幸福と尊厳を何よりも尊いものとして見なす社会であると、我々は確信している。

文:謝麗華(北京農家女文化発展センター)

翻訳:松江直子

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