2011/10/12 by Matsue

任衛中:非建築技師の生態建築への道

「私は確かに変人ですよ。いつも空き地で土を掘って、あまり使い道のない米ぬかやちまきの葉などを集めているし、家づくりの現場にも通常準備する鉄筋やセメントなどの材料はない。半年後、銀色のアシと緑色の竹が引き立て会うなか、一棟二層の黄土色の小さな建物がひっそりと地面から“生”じます。家のひさしの下に立って、青空を仰ぎ見、私はこの家に命があると感じる。というのも、まるで植物のように呼吸しているんです。まるで一株の植物のように……」

10年余り根気良く追及した夢
今年47歳の任衛中さんは、1995年から黄埔江の源の探索を始めた。水源の生態環境保護を進め、現在までエコヴィレッジと生態建築の建設に力を注ぎ、すでに10余年になる。浙江省湖州市安吉県港航管理所の職員だった任さんは、非建築技師でありながら、生態建築の道へ大きく踏み出した!
「私は小さいころから安吉の大きな山の中で成長し、この清らかな渓谷の水を飲んで大きくなりました。かって美しい記憶を残した母なる河が、黒くなり、汚れていくのに心を痛め、私は終身の環境保護ボランティアとなることを選びました。更に多くの人と共に故郷を守ることにしたのです」
1996年、任さんは太湖の水質汚染に対する社会の注目を喚起するために、実地に太湖の水系を視察し、黄埔江の源が安吉龍王山にあるとの見方を提出した。彼の見方は専門家の考証を経て確認され、現地の民衆に水資源と生態系を保護しようという意識を呼び起した。また、これにより政府による環境保護の具体的な行動が促進されたため、現在、安吉県は全国に知られた生態県と国家生態文明のモデル区となった。
任さんは一篇の文章の中でこう記している。「私がずっと持ち続けてきた最大の願いは、人と人、人と自然が平和的に存在するエコヴィレッジを作ることです。大量のセメントと鉄筋は使わず、中国風でも洋風でもない建築に大切な土地を占拠させない。この考えこそ、私が10余年来根気よく追及してきた夢です」

家は地中から“生”ず
任さんが生態建築の開発を志したのは、環境保護の理念に基づく以外に、農民生活の実状に対する関心からだ。彼は、現代の郷や鎮の随所に、煉瓦とセメントで壁を造り、アルミ合金が単層のガラスを包んだ窓を多用した新しい民家があることに気付いた。多くは120平方㍍、建てるのに30万から40万元かかり、「都市の分譲住宅に比べ安いとは言えない」。しかしながら、農民にとって自分の小さな家を建てることは、すべての家庭の理想だ。この理想を全うするために、多くの人は食費を切り詰め、物を節約し、故郷を後にして出稼ぎするが、往々にして新居が落成するや、また赤貧洗うがごとくの貧しい生活の困難な環境に陥る。

設計と実験を繰り返し行って、2005年、任さんが設計・施工した“エコハウス第1号”は出来上がった。工事期間はたった4カ月、費用はわずか6万―7万元。その後、いろいろな調整を通じて改良を施し、彼は自分の子供にも等しい三棟のエコハウスを“植”えた。それらは学術界に認められたため、多くのボランティアが農村の環境保護建築の実践に参加するきっかけとなった。2007年、任さんが設計した“エコ農家”プロジェクトは2007年SEE・TNC生態奨を得たばかりでなく、彼を2007年建築中国の今年度の焦点人物におけるただ一人の非建築界出身の受賞者とした。
任さんは彼のエコハウスをこう描写する。「家の正面は黄土色の土壁で、木製の門と二つの窓がある。玄関に入ると石灰石の中庭で、中間には浅い小さな池があり、池の上に低い木の橋がかかっている。隅にはすらりとした竹が天井に突き抜けており、蒼い空に映えている」。彼は情熱的に一人ひとりの来訪者に一つ一つの材料――たとえば門前の玉石、足元の土、成長の早い杉の木、現地の石板から、屋根の間の断熱材料としてのちまきの葉、モミ殻とアシの花にいたるまで――がどのように地から“生”じてくるかを細かく教えてくれる。
彼は「この家の主な材料はみな、私たちの足元の土からできています。必要がなくなった時、家をつぶせば、そのまま土になる。農作物と同様で、貴方が収穫後その一枝一葉が土に帰る」と 強調する。
2008年の汶川地震後、任さんは安吉黄埔源生態民家推進センターを創立した。フランス籍の建築家張沁と協力設計した四川農家建築プランは、建設部に採用され、彼らが設計した新しい農家は、復興では被災地の生態破壊を新たに起こさないという国家の要求に合致した上、大部分の被災民の新築住居に対する要求――安全・快適で経済的・実用的、早く建設・入居できるという要求に合致し、普及応用に値する。
現在、浙江省安吉県の霊峰寺へ車を走らせ、川に面して進むと、“安吉エコハウス”の道路標識が見え、遠くかすかに土でできた低い家の白壁を見ることができる。周辺の民家と比べ、これらの家は更に情緒がある。煉瓦を使わずに8㍍の高さに積み上げた壁、鉄筋を入れなくても二階建てが建ち、空調設備をつけなくても冬暖かく夏涼しい。庭内には数か所の石、杉、竹、まがきを配し、家の前の階段の下の石はゆっくりと小道となる。二つのリングが重なった形の井戸、丸い石で整然と積み上げられた石壁。陽光の下、任さんが植えた野菜が、旺盛に育っている。
出所:<社会創業家>2011.06
http://www.npi.org.cn/uploads/magazines/npo/2_1011_103812.pdf
編集・華婉伶(摘編自≪淅江日報≫、卓越知識コミュニティ)
写真は訪問対象者より提供
翻訳:岡田由一
校正:松江直子

 

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