2011/08/23 by Matsue

新世代農民工――親世代より高い教育レベル、仕事への期待も高く

中国の農村から、都市に出稼ぎに来る若者たち。彼らの教育レベルは一般的に父親世代より高い。そんな「新世代の農民工」が求める生活とは。

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親世代より一般的に教育レベルが高い新世代農民工が、仕事や生活に求めるレベルは高まる一方だ。この世代にとって、都市にあっても技能レベルの低い仕事や生活条件は、すでに満足できるものではない。そういう仕事には尊厳が感じられず、そんな仕事をするくらいなら、いっそ仕事をしないことを選ぶ者もいる。この風潮は中国の労働力需給情況に影響を与え、緊張の度合いを増している。

新華社が創設した『半月談』時事評論ネットが、「新世代農民工の尊厳感覚」について調査をしたところ、新世代農民工が自らの尊厳にかかわる要素だとみなしているのは、まず職業の発展性や給料などの仕事状況、次に公民としての権利と生活状況だという結果だった。

精神と情感に対する強烈なニーズ

  一昔前の農民工と比べ、これら1980年以降に生まれた新世代農民工は、食べていけること以外に、精神的・感情的ニーズに対する期待がより強い。彼らは都市の暮らしに比較的順調に適応し、地域コミュニティ活動への参加意欲もあるが、主流社会に溶け込むのは難しく、自分の社会的地位は都市の人に及ばないと感じている。

一部の調査対象者は、自分の尊厳に影響しているものとして、収入と購買力・社会的公正・不慣れなコミュニティの中での排斥や差別・教育の不公平などのすべて、と語った。新世代農民工の数が増えるにつれ、こういった不満心理はより顕著になっている。

河南省からある衣料品工場に出稼ぎに来た呉小玲を例に取ろう。彼女は仕事が「条件に合わない」ため新たな仕事の機会を拒否した。「技術なんか全く必要なくて、毎日簡単な作業の繰り返し。将来の発展なんてありっこない」と工場での作業を語る。中新社は以前、中国の出稼ぎ農民は昨年、1.53億人に達し、見積もりによれば新世代農民工はそのうち1億人を占め、6割を超えている。

新世代農民工は約1億人 

  『半月談』の調査対象者は2278人、平均年齢も26.8歳と若い。彼らが平均してすでに6年間の出稼ぎを経験したとすると、その多くが20歳前後、中学や高校を出てすぐ、都市にやってきて仕事を探したと思われる。全国総工会による以前の調査では、農民工は平均26歳ではじめて出稼ぎに行ったとされている。人数から言えば、去年実際に出稼ぎのため故郷を離れた農民工は、2009年の1.5億人よりも多いが、仕事に対する期待値が高く(選り好みするため)、多くの地区で「農民工不足」という問題が起こった。以前の報道によれば、広州の加工製造業、現代的サービス産業(金融・保険・不動産など)、伝統的サービス産業(飲食・小売・輸送など)分野の不足がひどく、15万人にも及ぶと考えられている。このほか、広州、深圳、東莞など珠江デルタ地帯の都市や、安徽、河南、湖北など伝統的な出稼ぎ大省ですら、働き手不足になった。

しかしながら、よりよい仕事を求める農民工自身の技能も大きな制約条件である。重慶大学校長助理の夏之寧氏は、労働者不足の原因は、待遇が悪すぎる一方、企業が産業としてレベルアップしていく過程において、農民工がその(変革の)リズムについていけず、技能をレベルアップして新しい仕事の要求に適応することができないことも大きな問題だと指摘する。

全国人民代表大会代表・台湾民主自治同盟広東委員会副委員長・孔令人氏は全人代・政治協商会議の席上で以下のように語った。「多くの人が、田んぼから離れて足を洗えば、工場労働者になれると考えている。以前の労働密集型のころならいざ知らず、今は変化についていけなければ、産業チェーンの末端に囚われたまま逃れられないのだ」

調査によれば、7割以上の農民工は毎日8時間以上はたらいているが、約75%の人の月給は2000元以下だ。そこで、研修や最教育がこの社会問題を解決するための鍵となる。自分の素養を高めてこそ、農民工はよりよい就職のチャンスを手にすることができ、社会に溶け込むことができるだろう。浙江大学公共管理学院の姚先国院長も資源配置を検討するよう呼びかけている。長期に亘り都市戸籍に与えられてきた特権を根本から廃し、社会保障の範囲を広げ、農民工も市民待遇を享受できるようにすべきだと。

しかし、客観的な生活条件が解決したのち、都市の人の農民工に対する態度が変わるのかどうかは、まだ観察を要する。ある農民工は『半月胆談』の記者に、自分は都市の人に差別され、背後であれこれ噂されていると訴えた。

新世代農民工の父親世代とは違う人生の選択は、中国社会に新たな問題を増やすと同時に、中国経済の速やかな転換を促進してもいる。重慶市の黄奇帆市長は、次のように語った。「“農民工不足”には、3つの良い点がある。一つは、分配構造を調整し、労働者の賃金を引き上げ、養老医療保険などを改善すること。二番目は、収入格差を縮小し、都市と農村の二元構造問題解決の一助となること。そして三番目は東部と西部の地域格差を縮小し、(発展モデルの)転換とレベルアップを促進することだ」

中国発展簡報より翻訳して転載 (括弧内は訳者による補足)

http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/newsview.php?id=3762

出典:聯合早報

編集:黄慧理

翻訳:松江直子

 

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