2011/08/02 by yanyan

CSnet Mail Magazine No.7

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日中市民社会ネットワーク(CSネット)メールマガジン  20117月号(第7号)

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【目次】

  • はじめの言葉: 「人付き合いを楽しめる中国人」
  • CSネット活動報告と今月のお薦めコンテンツ
  • 連載1:屋久島プロジェクト-屋久島と雲南
  • 連載2:日中間の不理解に挑む-「中国共産党宣伝部は秘密組織?」
  • 今月のありがとう!

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【はじめの言葉:人付き合いを楽しめる中国人】

7月22日から29日まで、一年ぶりに中国に帰国してきました。まず江西省南昌市で開催された「中国社会学会年次大会」に参加し、25日からは上海でNGOを訪問したりしました。我がどでかい祖国は相変わらず熱気に包まれていました。真夏にあの熱気のまっただ中に身を置くと、意識が遠のいてしまいそうな気がしました。

南昌市は共産党の革命の聖地として知られている以外に、特に特徴のない地方都市でした。「中国三大蒸し器」の一つとされるだけあり、夜になってもうだるような蒸し暑さ。しかしそれよりも年次大会の手伝いをするボランティアの大学生や大会の参加者たちの熱烈な積極性に圧倒されました。プロのベルボーイよりも百倍親切にしてくれるボランティアの大学生、歓迎会の席ではひっきりなしにテーブルを回り酒の酌をする若手研究者たち・・・

中国社会では人脈がなによりも物を言います。こういう場は有力者の先生たちに自分を売り込む絶好のチャンス。大学院生なら就職のため、職を得ている教員なら昇進のために学術雑誌で論文を発表しなければなりません。雑誌にはそれぞれ「国家一級」「二級」などとランクがあり、一級雑誌で論文を発表するためには、有力な教授の推薦がないと難しいとされています。「人脈づくり、本当に大変ですね」と日本留学帰りで現在大連の大学に勤めている知り合いに同情の意を伝えたら、意外な反応が返ってきました。

「楽しいですよ~こんなにたくさんの同業者に会う機会なんて年に1回しかないでしょ?勉強になるし、たくさんの人と知り合えるのがとてもうれしいのよ」と、彼女は目を輝かせながら言いました。日本在住17年の私は、いつの間にか「人付き合い=面倒+大変+できれば避けたい」という周囲の空気になじんでしまったようです。人付き合いを進んで楽しんでしまうところが、今の中国の熱気を生み出す源泉の一つかもしれないなと、彼女を眺めながら思いました。

CSネット代表    り・やんやん

 

【CSネットの活動報告と今月のお薦めコンテンツ】

★今月の屋久島コラム「自然の博物館」は、中国雲南省にある白馬雪山国家自然保護区とそこで行われているエコツーリズムの取り組みを紹介しました。是非ご覧ください。

http://csnet.asia/archives/5895

★屋久島プロジェクトの一環として、CSネットは8月に中国の雲南省で、日本と中国のエコツーリズムのキーパーソンの顔合わせと視察のプログラムを実施する予定です。7月はその準備を行いました。

★昨年のLEAD中国の来日研修メンバーからの寄付金の使用は終了しました。一部はコミュニティ密着型のシニアホームを運営する(株)サンフォーレにソーラーランタンを寄付し、一部はホールアース自然学校の災害救援活動の支援金として寄付しました。LEADの皆様、ありがとうございました!今年度のLEADメンバーは9月4日から一週間、「イノベーション力とリーダーシップ」というテーマで来日研修を実施する予定です。CSネットはその準備を行っている最中です。

★ほかにも、近々北京の農民工NGOを訪問するスタディプログラムの募集を開始する予定です。詳細が決まりましたら、またお知らせします。

 

今月もサイト上では16の記事を更新しました。お薦めは以下です。

★中国の外資系企業では労使関係が悪化中。NGOの力を借りてその改善に乗り出した事例の紹介

http://csnet.asia/archives/5885#more-5885

★中国第1回社会イノベーション賞最優秀賞を受賞した事例の紹介。末期癌患者に寄り添う。

http://csnet.asia/archives/5865#more-5865

★北京在住のCSネットボランティア宮崎いずみさんが、シリーズで中国農村のリアルな現状を文章で寄せてくれることになりました!その第二弾をお届けします。

http://csnet.asia/archives/5823#more-5823

★胡桃を買って山道を舗装しよう。

http://csnet.asia/archives/5830#more-5830

★草の根NGOによるネット活用の事例

http://csnet.asia/archives/5812#more-5812

★草の根NGOによるネット活用の事例(その2)

http://csnet.asia/archives/5872#more-5872

★中国農業の課題に取り組むアサヒビール

http://csnet.asia/archives/5765

皆様、どうぞhttp://csnet.asia をよろしくお願いします。

 

【連載1:屋久島プロジェクト】屋久島と雲南

真夏なのに、扇風機さえ要らない夜が続いています。35度の上海にいる王さん(屋久島プロジェクト中国側のパートナー)に自慢したら、なんと向こうは20度の雲南から帰ってきたばかりだそうです。そういえば、昆明は一年中春と言われていますね。

屋久島視察を終え、王さんは研修の講師として雲南省白馬雪山国家自然保護区(屋久島コラム4で紹介)に行って来ました。国際NGOWinrock Internationalが助成するこの研修は、保護区職員の能力向上を目的としたものです。王さんは講義で世界遺産保護やエコツーリズムに関する海外の事例をいくつかをあげましたが、中では、屋久島視察の体験も詳しく紹介してくれました。屋久島プロジェクトのことは、研修の主催者や受講者に大変関心を持たれたそうです。

数多くの写真で参加者に屋久島エコツーリズムの現状を見せ、環境に配慮した設備や施設、表現力豊かな展示と解説の手法、さらに、エコカーなど新しいエコ技術の利用などに対して、参加者は興味津々でした。中国のエコツーリズムは美しい自然風景の観賞ばかりではなく、より環境教育の機能を発揮するために、ハード面もソフト面ももっと工夫する必要があるという意見も出てきました。

最後に、屋久島が直面している問題点に関しては、激増した観光客が環境に大きな負担をかけたことと、エコツアーガイドの能力がばらばらである現状を説明しました。

ちょうど6月屋久島視察が行う直前に、注目していた「縄文杉立入り制限案」は、地元の上議会特別委員会に否決されたニュースが入ってきました。観光業への影響を考慮した結果だそうです。島の関係者に尋ねたところ、準備不足が全員一致の否決の原因の一つだそうです。

以上のような、自然の保護と地域社会の生活の安定との両立を図る手段として、エコツーリズムが注目を浴びていますが、しかし、この両立は、決して簡単に実現できるものではありません。縄文杉のように、経済利益のために、過剰な宣伝で環境に害を与えるまで行う集客行為はエコツーリズムの理念に反するものであり、長い目で見れば、持続可能でないやり方としか思えないです。

問題解決のために、いち早く屋久島エコツーリズムの業界規範を作り、観光業者や保護団体、行政そして地域住民のそれぞれの主張を考慮し、各アクターの関係をうまく調整するような体制を整える必要があると、王さんが提言しました。

屋久島の人々はまさに、この規範を作るために、努力していると思いますが、このバランスをいかにとるかは、時間をかけて、ゆっくり検討すべきだと取材で柴鉄生さんが強調したことを思い出します。中国の場合は、世界遺産や自然保護区は、国が管理資金を出して、国が規範を作っているため、確かに効率いいように見えます。しかし、決まっているから、罰を受けたくないから、ルールに違反できないという消極的な思考で問題を済ませて、環境保護の意義や、人間と自然との共生のあり方など肝心な問題に対して、観光客や住民をはじめ、国民の1人ひとりが真剣に考え、一緒に議論し合う機会が失われている気がします。

雪山白馬国家自然保護区は、エコツーリズムに踏み出そうとしています。この地域は、国内外のNGOが数多く存在し、管理局はオープンなマインドで彼らと協力して持続可能な発展を目指しているそうです。8月下旬に、屋久島の関係者と一緒に保護区を訪ねその協力について考察し、またエコツーリズムに携わる雲南省の関係者とも交流会を行う予定です。初めての雲南へのたびは、実りある体験になることを祈っております。

皆様、雲南視察の成果は乞うご期待!再見!(屋久子こと朱惠雯でした)

 

【連載コラム2:日中間の不理解に挑む】中国共産党宣伝部は秘密組織?

先月のコラムで、中国の高速鉄道開業について書いたばかりですが(数名の方々からご感想やご意見をいただき、ありがとうございました!)、一部の人が予言したとおりの大事故が早速本当に起きてしまうとは、思いませんでした。

ちょうど中国出張中の出来事だったので、事故直後の日本のメディアの反応が分からなかったのですが、例によってキャスターたちは「ほ~らみろ、やっぱり」という顔で、「技術が未熟」「管理がずさん」「共産党による報道統制」「人命軽視」などいくつかのパターンで語られているのだろうなあと、推測しておりました。現地の新聞はというと、鉄道部の説明と専門家の分析をそれぞれ掲載していたのと、それと同じぐらいの紙幅を「危険を顧みず救助活動に参加した“英雄的”村民たち」の描写に費やしていました。まあ、これもパターンだなあと思いました。

東京に戻ってくると、中国よりもメディアの報道量が多いことに気づきました。「ネット上での多くの書き込み」から人々の怒りと不満を読み取り、これをきっかけに一党独裁に反対する声がもっと出てくるのではないか、民主化が進められるのではないかという期待的論調も見られました。思わず笑ってしまったのは、「中国には言論統制を行う秘密組織があった!」という人騒がせのタイトルを出して、「メディアの人事権まで握る謎の組織」である共産党宣伝部のことを報じたものです。

共産党宣伝部は党のイメージ戦略、そして新中国成立後は政府のイメージ戦略、中国という国家のイメージ戦略を一手に担う共産党の中枢機関の一つで、その存在と機能は何も今に始まったことではありません。世論を党にとって、政府にとって有利なように誘導し、宣伝活動を展開するのがその本来の仕事で、なにも秘密警察のような「裏」の存在ではありません。中国は共産党によって治められている国で、政治、外交、経済、社会、文化、国民生活などすべての面において、統一されたビジョンが掲げられており、そのビジョンを実現するために共産党は政策を作り、政府の行政力を駆使して、多様な立場や側面がその方向に向かうように誘導したりプレッシャーをかけたり規制したりしているのです。人々の不満や怒りは、できるだけ吸収し、どこかに発散させ、そして全体のビジョンの実現にとって邪魔にならないような措置を取るのです。中国は、「ビジョンありき国家」であり、そのビジョンは、共産党のエリートたちが試行錯誤しながら、多くの修正を重ねながら示し続けているもので、中国の民は、そのビジョンの下に置かれた民なのです。

日本のメディアが期待するような一党独裁打倒もしくは中国の民主化は、本当に中国の民に幸せをもたらすのか、私には分かりません。「民主主義」を標榜する日本の政治と社会の現状を見ていて、一つだけ言えるのは、「民主主義じゃないという理由だけで、中国を無邪気に見下すのは、もうやめるべきなんじゃないかな」ということです。「中国は日本と全く異なる体制を取っており、その体制の下で、現在驚異的な成長を遂げている。そしてたくさんの問題も抱えている。」まずは「批判する・評価する」という安易な価値判断から離れて、その事実をより深く認識しようというところから、中国を見ていくべきなんじゃないかなと思います。

第一、共産党宣伝部は秘密組織でも何でもありません。中国人なら誰でもその存在を知っています。ほんとうですよ。

以上やんやんでした。

 

【今月の“ありがとう!”】

今月もサイトの更新は翻訳ボランティアの皆様のご協力によって無事進められました。日頃の感謝をいっぱいいっぱい込めて、ここで「ありがとう!」をお伝えしたいと思います。今月ご協力いただいた皆様は、朱月媚様、任晨静様、黄淑珺様、陸依柳様、毛淑華様、姜晋如様、A.K様、岡田由一様、ダラックマふいめい様、宮崎いずみ様。

ありがとうございました!!

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※このメールマガジンの転載を歓迎します。ご転載、ご引用の際は、日中市民社会ネットワーク(CSネット)からの転載であることをご明示ください。

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