2011/07/30 by Matsue

NGOと協力し工場従業員のストレスと悩みを軽減

都市部の物価高騰を背景に、昨年は賃上げを求めるストライキが頻発した中国の外資系工場だが、NGOと連係した従業員支援プログラムによって、従業員の職場満足度を高めて注目されているのが、富士ゼロックスシンセンフレクトロニクス(シンガポールの精密機器メーカー)だという。中国発展簡報が報じた。
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昨年、アップル向けなどの電子製品生産工場である富士康(台湾系)で、従業員の自殺が続いたこともあり、今中国の外資系工場では従業員の幸福感を高めることに関心が集まっている。富士ゼロックスシンセンでは、2006年にCSR活動の一環として、従業員に対する支援プログラムを開始した。その責任者は、管理職ではなく女性従業員の一人から選ばれた劉美華さんだ。劉さんは、生産チームの人が「今時の若い労働者は、基本的な人とのコミュニケーションすら難しい」と愚痴るのを聞き、このプログラムの立ち上げにつなげた。最初の授業のテーマは、「どのように自分を表現するか」だった。会社が従業員500人に対しておこなった調査でわかったのは、多くの問題が、仕事ではなく、従業員の若さや故郷を離れた寂しさに起因しているということだった。

心理カウンセラーの孫雨さんは、華南地区のいくつかの企業に協力し、若い従業員の仕事のストレス軽減や成長に伴う悩みの相談などを行っており、富士ゼロックスシンセンでも「心の健康」等の授業を受け持っている。従業員の平均年齢は20歳、受講者の多くは、まだ幼さの残る顔つきで、学校の勉強から逃げてきたのではと思われる人もいる。孫さんは、「1990年以降の生まれの人は、とても創造力が豊かだが、私たちの指導が必要だ。さもなければ、後の事を顧みず、辞めてしまうだろう」と語る。

孫さんは、貯金についての学習や新しい環境での交際の仕方から、同僚とのつきあい方にいたるまで、同僚とともに広範囲に及ぶプログラムを設計している。富士ゼロックスシンセンの岡野俊彦総裁は、このCSRプログラムについて、「母親のようなものです。問題が起こったとき、寄り添って聞いてくれる」と言う。会社の人事部はこのような場合、逆に「教え導く」態度をとるが、「母親と人事部の性質は全く違います。若者は問題が起こったとき、人事部には行きません」と岡野氏は語る。

授業の終わりに、孫さんは自分の携帯番号を受講者に教え、個人的に交流したい人は電話をかけてもいいと言った。何人かの若い女性は彼女を取り囲み、様々な悩みを語りだした。包装作業に従事する22歳の宋さんは、いつかは日本語を教える職業につきたいが、自分のキャリアはここで行き止まりなのではないかと涙ながらに不安を訴えた。「私はまだ若いし、未来のことはわからない。社会は初めから不公平で、与えられる機会は人によって違う」

こうした若い従業員たちには女性の救い手が必要なようだ。非常に忍耐強い孫さんは、この大変な役どころをうまくこなしている。「何年も前、シンセンに越してきた時は、私も人に顧みられていないと感じました。だれもが最下層から始めなければならないのです。故郷を離れ、誰もが孤独やよりどころのなさを感じるはずです。でも、自分が本当に好きなことを続け、将来巡ってくるかもしれないチャンスを掴む準備をしておくことですよ」
このアドバイスで、彼女を取り囲んでいた女の子たちも落ち着いたようだ。授業終了から一時間近くたって、女性同士の和やかな気分の中、やっとお開きになった。

華南地区で働く出稼ぎ労働者は、往々にして、いくつも工場を渡り歩いたり、内陸の故郷に近い仕事を見つけて辞めたりするが、富士ゼロックスシンセンの従業員流動率は年3.5%まで下がった。これは華南地区の最低記録だとのことだ。

他の外資系企業もこれまでとは全く違う手法で、若い従業員をつなぎとめようとしている。ゲームソフトなどの電子機器を製造するフレクトロニクス珠海科技園は、5.2万人の労働者を擁し「兄さん、姉さん」指導計画というプログラムを立ち上げ、家族を離れ、新しい仕事や生活にうまく適応できない若者をサポートしている。

同社工場の食堂も以前は外部委託をしていたが、今はホテルの飲食部門の経験者を採用し、食堂のレベルを大幅にアップさせたため、多くの従業員が食べにくるようになった。また、同社は書道やファッションデザインといった趣味のコンテストにも力を入れており、従業員が自分の得意分野で才能を発揮する場を作っている。2010年、華南地区の賃金レベルは大幅に上がったが、同社の流動率は20%も下がった。人事担当者によれば、その理由は同社が一般の労働市場ではなく、職業学校に求人を出しているからだ。

同社が今春あきらかにした所によると、同社は中国のあるNGOと連携して、出稼ぎ農民が工場労働者となったあとの生活をサポートする計画だ。また、もう一つのNGOと「珠海協作者中心(珠海パートナーズ)」を共同で立ち上げ、出稼ぎ労働者の心理サポートを提供している。今年はじめまでに4万人が同センターのサポートを受け、そのうちの80%がフレクストロニクスの従業員で、主な問題は「ホームシック」と「恋愛」とのことだ。

原文:中国発展簡報ウェブサイト
http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/newsview.php?id=3650

編集・翻訳:松江直子

富士ゼロックスシンセンの従業員支援プログラムの詳細はこちら
http://www.fujixerox.co.jp/company/public/sr2010/highlight/03.html

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