2011/07/27 by Matsue

【宮崎いずみエッセー】固始県から見る中国(2)「末代農民」―過疎化の進む農村

北京在住の情報ボランティア・宮崎いずみさんによる、中国農村シリーズの第二回です。第一回はこちら
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 最近話題になっている言葉が「末代農民」――映画「ラストエンペラー」の中国語名「末代皇帝」にかけたものですが、今の中国の現実をよく表していると思います。
 前回、河南省固始県は出稼ぎが多いという話をしましたが、「農村部の若者が出稼ぎに出る→農村過疎化」は当然避けられない現象となります。

 夫の実家の村も同様、今実家に帰ると、高齢者ばかり。ここ2~3年では子どもの姿も見られなくなってしまいました。2000年以前は村には200人以上の人口があったそうですが、今は20人にも満たず、一番若い人で40歳すぎ、ほかは60歳以上の高齢者だそう。働き盛りの世代は、半数ほどが大都市に出稼ぎに出かけ、あとは公道に近いところや近くの小さな町、固始県城(注1)の郊外に移り住んでいるとのこと。近隣へ住まいを移しただけの人たちはまだ農地(注2)を耕しつつ(5年ほど前までは農業税として農地1ムー(0.067ha)につき200~300元を納めていたのですが、今は20元程度の補助金を国からもらえるのだそうです)、現金収入のためにさまざまな仕事をしているのだとか。

 我が家も、夫には姉2人と弟が1人おりますが、みな農業を離れていきました。3人とも学歴は中学程度で、「就職先」というものはなく、農村戸籍で、自分用の農地があります。上の姉は寧夏に労働移住していた遠縁の男性と結婚して向こうへ移り住みました。下の姉は農地は一応耕しているそうですが、県城郊外で数年前まで夫婦で肉まん屋を営んでおりました。一応跡取りとなる弟ですが、農地はあるものの、大半は義父・義母が代わりに耕しているとか。以前は北京などでさまざまな出稼ぎをしていましたが、全く稼げず、今はタクシーを購入し(出資は私たちですが…)、県城でタクシー運転手をし、時々農村へ戻ってきては、義父・義母の面倒を見たり、農作業の手伝いをしたりしています。

 このように、農村戸籍で自分用の農地をもち、一時は農事に従事しながらも、農業を離れ、都市部などで農業以外の労働に従事する人を「末代農民」と呼んだりするそうです。さらに若い世代ともなれば、農業をする気もなければ、農業も知らない。この先誰がこの土地を耕すのか?中国の「三農(農業、農村、農民)問題」はこれからもまだまだ取り組みが必要なようです。

注1:県城とは県の行政機関の所在地のこと。
注2:農村戸籍一人当たりの農地は自然村内で平均して分けるため、地域による相違が大きいが、義父・義母の村の場合は一人1ムーに満たず、収穫量は自給できる程度。

 (写真:麻の皮むき作業を1人でしている義父。麻の皮は紙や布の原料として売れます。近くの仲買に売ったり、工場が直接購入に来たりします。芯の部分は家で薪として用います。)

文責:宮崎いずみ   

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