2011/07/15 by Matsue

中国農業の課題解決に取り組む日系企業-山東朝日緑源農業高新技術有限公司

中国でビール・飲料事業を展開するアサヒビール(株)に対して、山東省政府から中国の農業問題解決に対する協力依頼があったのは2003年のことだった。それを受けてアサヒビール(株)、住友化学(株)、伊藤忠商事(株)の3社共同で2006年に設立されたのが、山東省煙台市の県級市・莱陽市の日系企業「山東朝日緑源農業高新技術有限公司」だ。

日本の先端的な農業技術を導入し、「循環型農法」「省エネルギー設備」「IT」を活用する約100haの農場を拠点として、農作物の栽培から物流・販売まで一貫したフードシステムを構築するとともに、徹底した品質管理を実践し、安全・安心でおいしい高付加価値の農作物を中国国内に供給。中国の食生活向上に貢献する新たな農業モデルの提案と、次世代の農業指導者・技術者の育成に取り組み、中国農業の課題解決の一助となることをめざしている。2011年には中国農業部より『乳牛標準化モデル牧場』にも指定された。(同社ホームページより)

ところが、人民ネットの報道によれば、同社の土地の収穫量は現地の慣行栽培の半分ほどで、同社は設立以来赤字が続いており、農薬や化学肥料を極力使わない同社のやり方への理解はあまり得られていない模様だ。日本企業による土地借用の動機についても憶測が飛び交い、鉱物資源探査のためではないかとか、日本への穀物輸出を目論んでいるのではといった話も聞かれるという。

とは言え、結論から言えば、人民ネットの報道は同社を否定していない。農薬と化学肥料に頼って土地を疲弊させた中国の慣行栽培の問題点を指摘して、同社の実施する循環型農業モデルを解説するとともに、同社の理念のうちに、中国古代の質朴で持続可能な発展の哲学思想を見出している。短期的に見れば赤字になっても、長期的には同社のやり方に理があると認めているのだ。

生活レベルの向上に伴い、安全で高品質な食品を求める中国都市部の消費者が増加していることを背景に、朝日緑源の製品を購入する人は急速に増えているとのことだ。ホームページには、青島日本人学校がこの7月に行った3日間の農業体験実習の楽しそうな様子が掲載されているが、数日後には、同じく青島の嘉峪関小学校の三年生親子総勢40名以上も課外プログラムとして同社の農場と乳業工場を見学に訪れている。農業の重要性や環境保護の大切さを学ぶ子供たちが増えていくことで、中国農業のあり方にも変化が起こることを期待したい。

文責:松江直子

【参考資料】

山東朝日緑源農業高新技術有限公司
http://www.asahigreensource.com/japan/

「人民ネット日本語版」2011年7月12日
5年間赤字続くも循環型農業に挑む日系企業 山東
http://j.people.com.cn/94476/7437441.html

「人民ネット日本語版」2011年7月13日
中国の伝統備えた日系企業を前に中国は冷や汗
http://j.people.com.cn/94476/7438875.html

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