2011/06/30 by Matsue

深圳で大規模な公益プロジェクト交流展示会を開催

国力増強に伴い、官民の公益活動もますます盛んになる中国。2009年に行われた北京公益プロジェクト交流展示会(略称:京交会)続く、中国国内最大規模の公益プロジェクト交流イベント(略称:深交会)が2011年3月4日―6日、深圳で行われ、民間団体、企業、非公募財団など160団体あまりが参加した。
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資格審査

京交会から引き継いだ課題は、基金会(財団)などの資金提供者と、NGOなどサービス提供者の情報のミスマッチ問題だ。
今回のイベントは、深圳市の行政機関(民政局、文明辨公室、関愛辨公室、民間団体管理局)と南都公益基金会が共催し、公益組織孵化器(NPI)が実施。「京交会」が多くの公募・非公募基金会の共催であったのと比較すると、政府主導の色彩はかなり濃い。開催の数日前、「営業許可証または民政部登録証をファックスするように」という組織委員会からの急な要求を受け、各参加団体には一斉に緊張が走った。
2月26日、著名な障害者支援団体「慧林」にも参加資格を認めないという通知が届いた。提出書類に不備があった為で、代表の孟維娜氏が南都公益基金会の徐永光氏などに事情を説明し、結局なんとか参加することができたが、他にも2件、同様の騒ぎがあった。
また、組織委員会の規定では、参加団体には民政部に正式登録した他の社会団体の推薦が必要とされた他、ブースに掲げる団体名は、工商局あるいは民政局に登録した名称とするとされ、登録名称と通称が違う多くの団体で混乱が起こった。たとえば、著名な「1Kg more! (多背一公斤)」の登録名は「爱聚(北京)咨询有限公司」であり、「1Kg More!」を訪れたい人は「爱聚(北京)咨询有限公司」のブースを見つけなければならない。安全確保の観点から、サロン活動は事前の申請が必要になるなど、様々な不便が参加団体を悩ませたが、基本的には理解が示された。
「深交会」に参加した団体の活動分野は大きく八つに分けられる。貧困扶助、環境保護、文化と教育、医療衛生と心理ケア、高齢者/傷害者福祉、ソーシャルワーカーサービス、公益事業サポートと研究、総合サービスだ。ウォルマートなど一部の企業も、展示会場の舞台にブースを設けていた。

会場を一通り歩けば、労働者支援の民間団体と、法律サービスの提供団体が少ないことに気がつくだろう。深圳は、多くの有名ブランドの下請け工場が集まる移民都市であり、労働者が価値を創造すると同時に、その権益が侵害される状況も比較的多い。その独特な環境の中、法律による権利保護や心理相談などのサービスを労働者に提供する民間団体も多く生まれている。それらの団体が、政治的に「敏感」だからという理由で参加しなかったことは、現地の関係者が証言している。
この点は、先頃、康暁光教授が編集発行した『中国第三セクターの観察レポート2011』の「政府はさまざまな第三セクターに対し、個別に対応する政策を採ることで、自らが組織した第三セクターをサポートしており、自発的にできた団体や政府の権威に戦いを挑む民間団体の活動を制限している」という結論を側面から証明しているようだ。とはいえ、3日間の会期中、これらの未参加団体も会場に出向いてパンフレットを配り、積極的に他の団体と交流していた。

深交会では同時多発的にイベントやサロンを開催し、2日半の公開期間中、2万枚以上の無料チケットが配布され、3日で三千人だった京交会に差をつけた。会場には、各団体のブースのほか、討論やコンテストのための公共スペースとして舞台用、サロン用、フォーラム用の区画が設けられ、ファンドレイズ、チベットレイヨウ保護の呼びかけ、学習障害の啓発、乳腺のケアについてなど、多彩な活動が行われていた。ブレーン・ストーミングで身近な話題を討論したり、参加型の活動を地域コミュニティの発展にどう生かすかなど、テーマも様々で活気に満ちていた。舞台区では、主に体験活動が行われ、障害を持つ人と暮らす家庭のロールプレイ、紙飛行機大会、宝探しゲーム、ハンカチの絵付けなどのイベントに多くの人が自由に参加した。2階では、「非公募基金会の発展」や、「ITの公益事業への活用」など、NGOの発展に関連の深い各種の資源をテーマとしたフォーラムが行われ、多くのNGOメンバーを集めていた。

「非公募基金会発展フォーラム」は、深交会フォーラム組織委員会の主催で行われ、南都、万通、西部陽光、騰訊、華夏、千和などの非公募基金会の担当者たちが、その設立と初期の運営経験について発表し、基金会の設立を検討している企業や個人に参考にしてもらおうというものだ。発言者と会場の参加団体は、助成を獲得するためのポイントなどについて突っ込んだ交流を行った。

隣の会場で同時に行われたNPIとマイクロソフトによる「NPO IT DAYフォーラム」には120人あまりが参加し、マイクロソフトの職員ボランティアとともに、民間団体の三大テーマであるファンドレイズ、物的資源、人的資源についてグループ討論を行い、ITを公益活動に更に生かすための管理方法について、話し合った。各グループの発表の後、専門家がその場で「IT診断」を行い、マイクロソフト、淘宝ネット、Vjoinの代表がそれぞれの事例を報告し、好評を博していた。また、参加者が感想などを随時発信するマイクロブログ(中国版ツイッター)は、そのまま会場の大画面に映し出された。現在、公益団体はこのツールが果たす役割を非常に重視しており、今回の深交会で行われたサロンや討論の内容は参加者によりネット中継され、参加できなかった人に伝えられた。
にぎやかな会場の外にも、別の熱気があった。設立間もない「壱基金公募基金会」や大陸に進出してきた「台湾慈済基金会」は、さかんに参加団体に声をかけ、合作の機会を模索していた。

 徐々に企業資源に傾斜、NGO登録は依然として難しい

京交会に比べ、今回の深交会では企業の参加意欲が高かったといえるが、これは企業が公益分野への注目を高めてきたことと関係している。海外の資金が次第に縮小・制限されていく中、中国のNGOは企業資源の重要性をより認識し、協力関係を結ぶべき新しい領域として重視するようになったため、企業の資源情報、合作機会の捉え方などの情報が求められている。最終日にNPIが発表した『2011中国公益資源マッチング報告』はこうした状況をまとめたものだ。今回のフォーラムの開始前にも、いくつかのサロンやフォーラムが行われ、企業の声はNGOにとって、もはや馴染みのあるものであり、CSR資源の投入も次第に多くなっている。同報告によれば、公益団体が企業と基金会から獲得した助成金は、総資金のそれぞれ32.7%と15.1%にのぼっており、同時に政府からの助成額も次第に増加している。これらの資金は主に環境保護と貧困扶助の領域に投入されており、ソーシャル・イノベーションと災害救援がこれに続く。キャパシティ・ビルディング、医療衛生、心理分野への投入は比較的少ない。ただ、報告では「民間団体の登録方式は依然として助成を受ける際のネックになっている」と結論づけ、ほとんどの援助側は被援助側に対し、合法的に登録した公益団体であることを要求している。6割の援助側は、民政部系列の登録公益団体に助成を出す傾向があり、工商登録あるいは未登録の団体が獲得できる資源は大変少ない。

今回、いくつかの団体は政府と接触するチャンスを掴んだ。深交会終了後、(慧林の)孟維娜氏はこう語った。「今回自分たちのブースの前で、深圳市民政局の劉潤華局長と40分間話すチャンスがあり、お互いに認識を深めることができた。民政局は慧林が深圳で業務を始めることを歓迎すると言われた」 劉局長は去年の11月に行われた中華慈善百人フォーラムにおいて、「慈善活動をするなら深圳へ」というサインを発していた。政策上も、深圳は経済特別区であり、その独自の立場を利用して、社会団体管理体制を改革しようとしている。そうした事情の元、壱基金は中国紅十字と最終的に所属関係を脱し、深圳に移って公募基金会への転身を遂げたのだ。

深圳のこうした改革は、現地ソーシャル・ワーク・サービス団体にも大きく支えられている。現在、深圳には40のこうした団体があり、すべて政府によるサービス購入を得ている。深圳市政府の発した信号は、多くのNGOをひきつけており、NPI、映緑、倍能といった実績のある団体も次々とオフィスを構えている。深圳市政府は社会団体に対し、積極的に発展の空間を提供すると公言しており、大型の公益展示会を開く意向もあるようだ。かつて、改革開放の狼煙を上げた深圳で、小さな試みと模索が行われていることは、注目と期待に値する。深交会はNGO、政府、企業がお互いの関わりを深めるための絶好の契機となったようだ。

作者:王輝

中国発展簡報サイトより抜粋して翻訳
http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/qikanarticleview.php?id=1174

編集・翻訳:松江直子

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