2011/06/29 by Matsue

【宋慶華】北京・南鑼鼓巷のコミュニティ・クラフトショップ:参加を通して協力を学ぶ

2011年1月24日午前、東城区南鑼鼓巷内の交道口街道事務所(訳注:街道は中国都市部における最小の行政単位。街道弁事処は政府の最末端派出機構)は頗る賑やかであった。一風変わったコミュニティ茶話会が春節目前の雰囲気の中で開かれたのだ。これは同地区のクラフトショップの年末の納会であり、25人の会員が来場した。2010年4月22日のクラフトショップの試験営業開始以来、ショップでは、集団決定・民主管理の方法に則り、地域住民に手工芸の才能および技術を展示する場と、その作品を販売するルートを提供してきた。

退職年齢で公共生活に参加

ここ数年来、北京の伝統的特色を持つ胡同(訳注:フートン、路地の意)である南鑼鼓巷胡同は、道路の両側の創意工夫に満ちた個性的な店やゆったりとした雰囲気が評判になり、商売人や観光客を惹きつけている。繁盛と賑わいはビジネスチャンスをもたらしたが、昔日の静けさを失った。商売人と住民の間、即ち通りに面した商店と面していない住民との間では利益が衝突し、摩擦がしばしば起きていた。住民委員会の者が調停に呼ばれた事も有ったが、調停の効果は虚しかった。

2009年8月7日、“南鑼鼓の生活 ― コミュニティ茶館対話会”が開かれ、ついに商売人と住民、交道口街道事務所、地区住民委員会及び計画部門等関係者が集まり、矛盾や衝突を解決する持続可能な仕組みについて協議し合うことができた。そして住民の中から手工芸の才能ある人材を募集して、創作した品を集めた店を共同で運営するという方法が合意された。その後数回の討論を経て、創作品の店は現実の店舗として場所を得、そしてのちに知名度が高くなる“コミュニティ・クラフトショップ”という名前を得た。8月の対話会から2010年4月22日まで、コミュニティ・クラフトショップは試験営業を行い、民主的な協議、討論を重ね、選挙を経てショップの位置づけ、統治機構及び管理運営、利益分配システム等を確定した。

現在、クラフトショップは“レンタルボックス店”の形式を採っている。各会員は三つのボックスを持ち自分の作品を販売する。クラフトショップの公益性を具体化する為、会員の販売収入から段階的に全体計画の資金を徴収し、弱者グループの援助、技能訓練や小店舗の発展、及び光熱費等に使用している。

南鑼鼓巷という地価の高い場所にも関わらず、交道口街道事務所は無料で通りに面した店舗用地を提供している。長期にわたり、コミュニティの参加型自治を推し進めてきたNGOであるコミュニティ・アクションは、このクラフトショップに対し、全過程で指導と支援を行っている。ショップの会員は退職年齢に達した熟年の男女達、その他定職収入のない住人である。クラフトショップは彼らに、生計を改善し地域コミュニティの公共生活に参画する機会を提供している。

投票による休暇時期の決定

春節前夜の新春茶話会は理論だけの会議では無かった。気楽な雰囲気の中で皆、スイカの種や落花生を食べながらクラフトショップの現実的な問題について討論した。新しく店長となった郭文錦おばさんの司会で、皆いくつかの議題についてあれこれと話し合い、春節の閉店休暇の調整については、投票決定まで行って解決した。

茶話会では他の議題についても話し合った。クラフトショップの前期会計報告をし、当番表の名簿等も発表した。最後はお楽しみの抽選大会、皆が手作り作品を景品としてもらえた。強おばさんは大一匹と小二匹の計三匹の兎が当たり、兎年に幸先の良いスタートを切った。

改革熱心な新店長

郭文錦さんは2010年12月末、自薦と新たな選挙により店長を引き継いだ。「改革熱心な新任役人」である彼女は「当番割り当て制度」を強化した。以前は大雑把に一巡していたが、アンケートの結果、固定の当番表を作った。高齢の者は昼間の当番にする等、管理面をより一層綿密にした。
絵を描く事と旅行が好きな郭おばさんは2004年に退職。二年前に老年大学で絵の勉強をしていた時、布貼り絵に夢中になり、その絵を友人や同僚に送ったりしていた。昨年4月公益事業であるクラフトショップが開店したのを聞きつけ、応募、参加したのだった。現在は店長であり、全ての責任を一手に引き受けている。当番になる人がいない時も緊急で交替する。

“我々の利点は家賃のプレッシャーが無いことと、会員の作品は夫々個性的であること、作品の中には本当に素晴らしいものがあります。「玲瓏枕」は台湾でも販売され、ブレスレットや京劇の隈どり模様のシャツもまずまず、なんです。(コミュニティ・アクションの)宋先生は旅行の記念品を誰かに作ってもらったらどうですか?とおっしゃったのよ”

彼女はショップの状況を逐一点検しており、今後は、訓練を通じて会員の手工芸品の品質を高め、ショップの公共利益をコミュニティに還元するという趣旨を適宜実現するつもりだ。実際、交道口街道事務所は無料で店舗用地を提供しており、ショップに対しては収入の歩合を利用してコミュニティ内の弱者を援助し、この店の公益性を示して欲しいと希望している。この様な上から下への“期待”が会員たちの意識と行動に徐々に変化をもたらしていくのだ。

尊厳ある参画

新春茶話会に身障者の姚静安は車椅子で来場、手には袋に詰めた瓢箪の工芸品を持ち、一人ずつ配った。ごく普通の瓢箪が彼の器用な手で加工、絵付けされ、市場のニーズに合った工芸品に変身している。特殊な状況の為、皆彼を援助したく思い、彼の収入からは公益金を徴収しなかった。彼は歩合を取ってくれと主張したが、皆は受け取らないと固辞した。

“私には二重の任務がある。地域の仕事と宋先生の仕事、どちらも参加します!”七十過ぎのショップ理事会の主席、趙老人は言った。先日宋先生のNGO・コミュニティ・アクションは社会革新賞の選考評議会と質疑応答に参加した。彼は遠路はるばる会場まで駆けつけて声援を送り、賞を獲得後は、皆、感銘を受けた。
“ 金をもらってもやらない。私たちは義務を尽くすだけだ。金で気持ちは買えない”趙老人の重視するものは社会への参画がもたらす精神的な満足感である。“皆の気持ちを団結させ、以前はお互いに知らない同士が初めて協力し合い、町の住民たちをどんどん惹きつけ、徐々に規模を拡大していったのだ。”趙老人は大きな声で気力は十分であった。

コミュニティ・アクションの影響

クラフトショップの誕生は、当初南鑼鼓巷の商店と住民の衝突を解決する為であった。それに加えて会員の共同利益が話し合いと協力の仕組みを作り、その中から徐々により広範な公益の目標が形成されて行った。この過程では地区外部のNGOであるコミュニティ・アクションは理論的な指導とコーディネートを提供した。
コミュニティ・アクション顧問でショップ理事の舒可心氏は茶話会に参加できなかったのでメッセージを送り、李旭芳さんが皆に読み聞かせた。祝賀の言葉の他に、彼は街道事務所が無料で店と協力を提供していることに対して、感謝する様、皆に伝えた。更に事務所と地区のその他の公益事業に協力し、楽しく幸福な新しいコミュニティを創ろう、と呼びかけた。そして、皆これについて共通の認識を確認しあった。

春節期間中、コミュニティ・アクションの資金援助の下で、ショップは会員活動として、国家大劇場の民族博物館を見学に行き、春節後は専門家を招いて講義を受けた。ワークショップの製品はまだまだレべルアップの余地ありと郭文錦さんは確信を持った。

宋先生の動員力

茶話会上で街道事務所の李主任の開会の挨拶が終り、続いて発言した宋先生は社会的企業という外国から入ってきた新概念及び原則を簡単に紹介した。そしてクラフトショップが本年英国大使館が編纂する社会的企業事例集に加えられることを皆に伝え、彼らの視野を地球規模へと導いた。

“今日は茶話会だから、何か出し物が無くっちゃ。私が一つ歌でも歌いましょう。‘勤勉は我々の家宝’、我々は低炭素都市を推進中、低炭素コミュニティ、これが我々の伝統だ。”他の会議に行かなければならない宋先生は歌一曲で発言を終えた。
“勤勉は我々の家宝、社会主義建設には欠かせない、欠かせない。たとえ鋼一寸でも米一粒でも一尺の布でも一銭でも、合理的に使え、良いはがねは刀の刃に使え(能力は肝心なところで発揮する)千日かけて拾った薪を一日で燃やしてはならない”嘗ての年代をのりきった老人はこの1950-60年代の古い歌に共感せざるを得ず、場内の人々は思わず口ずさみ、気分は高潮した。
現代の低炭素地域社会の理念は、すぐに歌声の記憶と共に老人達の現実生活に定着し、知らず知らずの中に感化させられるだろう。
関係方面の援助と影響を受けながら、コミュニティ・クラフトショップは現在地域住民が参画しながら協力や助け合いを学ぶ組織となっている。

(コミュニティ・アクションプロジェクト責任者の李旭芳さんが本文の著述を支えて下さったことに感謝致します)

原文:http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/qikanarticleview.php?id=1168
筆者:  付 濤   中国発展簡報2011 春季刊より

翻訳:西口友紀子
編集・校正:松江直子

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