2010/04/26 by GLI Japan

自閉症のコンサルタント

英国の一流ソフトウェアテスティングコンサルタント会社、ElectroMindのStephen Allott氏は、Specialisterne社で無償アドバイザーとして活動している。(自閉症の人たちをコンサルタントとして抱え る)Specialisterne社は、現在、自閉症患者のうち、わずか6%しか正社員として雇用されていない英国労働市場へ参入する準備を行っている。 Allott氏は、自閉症の人々を雇用する利点を明確に把握している。「自閉症の人達は、英国やインドの労働市場から得る人材より、優れていて、仕事が早 く、質の高い仕事がこなせます。」と彼は言う。「Specialisterneの社員の1人は、例えば、本の厚さほどもある技術書を読んで、3ページ目と 37ページ目にある不一致を見極めるという様な事が出来ます。それは非常に役立つことです。私は自閉症の人達の可能性に興味を持っている英国内の顧客を既 に抱えています。一つ注意しなくてはいけないことは、彼らの職場環境です。多くの会社は、うるさくて、雑然とした、オープン・プラン式のオフィスで、まる で消防士のように働いていますが、そういった環境ではSpecialisterneの社員は働けません。彼らが必要な環境というのは、誰にとっても理想的 な職場環境とも言えるのです。」autistic_179405t

素晴らしい事に、約70%のSpecialisternの社員が、顧客の職場で勤務している。Specialisterneの設立者でありCEOで ある Thorkil Sonne氏に、自閉症の彼らにとって、他の職場環境に順応するのはたやすい事かどうか聞いてみた。「私たちは、バーチャルで Specialisterne社の環境を顧客の職場に作成します。弊社のコンサルタントと接する可能性のある方全員に、彼らが必要とする条件を要約して伝 えます。職場の方は、弊社社員に対して親切に接し、ストレスを与えるような状況は避けなければなりません。デンマークでは、皮肉や嫌味を多用しますが、自 閉症の人たちはそれを解読できません。特に疑問が生じた際には、直接、正確に業務内容を説明し、ルーチン作業を厳守することがいかに重要かということを顧 客が理解しているかを確認します。」

私はうっかりと、「それが錯乱状態を避ける方法ですね」といってしまった。Sonne氏は、「そうです。」と言った。「今まで錯乱状態になった社 員は1人もいません。実際、あなたの意向を口に出して言うこと、本気で言うこと、親切に接すること、ストレスを避けること、これらは全て一般的に会社内の 相互理解にとってはいいことです。多くの方が、弊社のコンサルタントを雇ってから、職場の雰囲気がやわらかくなったと言ってくれています。」

確かに、社内ポリティクスや、陰口、悪口が大嫌いな同僚にとっては安心感を与える存在となるに違いない。「そうです。彼らは、ハッピーで忠実な社 員です。誰1人として、他人のことを悪く言ったりしません。偏見のない、正直な人と一緒に働くことは素晴らしいことです。実際、私は、よりオープンで直接 的な職場環境での経験をもとにした、新しい経営技術に取り組んでいるのです。」

だが、時には誤解が生じることもある。「私たちのコンサルタントの1人が、社員サービスのフルーツバスケットを取り入れた職場で働いていたことが あります。彼は、まっすぐにフルーツバスケットへ行き、バナナを房ごと自分の机まで持ってきてしまったのです。職場の誰かが、1日に1つか2つだけの果物 しかとらないことを説明して、彼はやっと状況を理解したのです。」

そして、90%が男性であるSpecialisterneの社員が、なんとなくロボットのように機械的で、無感情というわけでもない。「もちろん 違いますよ。実際、2人の社員は、職場で知り合った人と現在婚約しています。社員の多くが、週末になると一緒に外出したり、コペンハーゲンへ小旅行に出か けたりしています。」

Sonne氏は社員の1人である、Thomas Jacobsenさん (27歳)を紹介してくれた。Jacobsenさんの自閉症は、彼が20代になるまで診断されなかったそうだが、彼と会ってみてその理由が分かった。ほん の少し、ソーシャルスキルに不自然さがあるものの、詮索好きの記者と対面する不快さと比べれば大差はないし、彼が長期にわたるうつ病に耐えてきたという事 実もなんら警戒心を高めることはない。

「診断されて安心したとは言わないけれど、僕の問題に、ちゃんとした名前があるって分かっただけでもいいことだと思います。」と彼は自分の症状につ いて語った。「でも、僕は問題だと思っていません。僕は、ツイスト(ねじれ)って呼んでます。以前は、自分は社交的じゃないし、一人でいるのが好きで、人 と違う興味を沢山もってたから、自分は何か違うなと感じていました。僕の興味のあることは、例えば、地震や津波、地理、GNPとか。」GNP?「そう、ほ ら、いろいろな国の国民総生産(Gross National Product)のことです。ここで働き始めてから、人と上手に交流することを学びました。ここ2年半の間、一度もうつ病になっていないんですよ。会社に 新しいアイデアを持ち込むことに関与するようになったし、Specialisterne財団(他国へ当社のコンセプトを広める役割を果たす)にも参加して います。アスペルガー症候群の人が機能的に働くためには、きちんとした環境がなくてはなりません。人と少し違って特別で、通常勤務時間には勤務できないか もしれないし、休養期間が必要かもしれないという様な事を容認してくれれば、僕たちはどんな仕事だって出来るんです。」

ほとんどのSpecialisterneの社員は、週20時間から25時間勤務だが、Jacobsenさんは週35時間まで勤務時間を引き上げた。 「ここでは本当に能力を開花させることが出来るんです。沢山のアスペルガー症候群の人達がこの会社に来て、適切な訓練を受けているのを見て実感していま す。今では、僕も会社に沢山の友達がいて、週末には街へ一緒に出かけたりしてます。僕らは皆ツイストがあるって理解し合っていますよ。」

数字本位能力が少ない約30%の高度のアスペルガー症候群患者(「患者」という言葉を使うのにひるんでしまうが)はどうなんだろうとふと思い始め た。水平思考をちょっと働かせて考えて見る。彼らにとって社会で充実した生産的な役割を果たせる場所はあるのだろうか?「そうですね、自閉症の人が、航空 交通管制塔で勤務していることを知って、非常に高い自信になっています。」とSonne氏は言う。「どの会社でも、最低1%から5%の仕事は自閉症の人に 適しているのです。医療業界での認識パターンや、経理、銀行にも当てはまります。」

ある専門家は、モーツアルトや、ダビンチ、ニュートン、アインシュタインといったような著名人に自閉症の兆候があったことを、明らかにしている。 もし彼らが今日生きているなら、恐らくアスペルガー症候群と見なされ、彼らの業績はそのような目で見られるだろう。残念ながら、チームプレーヤーになるこ とや、社交性スキルを強調する職場においては、自閉症の人を雇用する事にまだ抵抗もある。しかし、なぜ私たち全員がそうでなければならないのだろう?他と 違った行動を認める余地があるべきではないか。

「私たちの会社は1つのショーケースです。しかし、最終目標は、自閉症の人たちが理解、支援されるよう、大企業を特別な支援が必要な人たちにとって 魅力あるものにするための経営モデルを提供し、100万人の自閉症の人たちに意味のある仕事を与えることです。ご存知のように、英国では、50万人の自閉 症の人たちに年間120億ポンドも費やしているのです。それなら、その経済予算の代わりに、彼らに稼いでもらえばいいのでは?」

Sonne氏の息子に対する希望は、9年前に息子が初めて自閉症と診断されてから根本的に変わったに違いない。「そうですね、彼自身がやりたいと 思うなら、ここで働くことも出来る。彼は10代の難しい時期に突入しつつありますが、想像できる中で最も親切で、優しく、気遣いの出来る子供です。彼が彼 であるために、社会でいじめられるかもしれないと考えることは、残念なことです。」

humans.org.nzより翻訳して転載
http://humans.org.nz/2009/06/19/thorkil-sonne-and-his-employment-model-for-people-with-autism/

翻訳:丸山志野

校正:小嶋祝夫

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