2011/05/12 by Matsue

日本の自然学校を体験して ― 活気溢れる自然体験

(写真)
作者と自然学校の職員、竹林の手入れをした後、
間伐した竹で有機栽培用の種子保存庫を作る

深みのある色合いの底辺、下方にやや凹んだ山頂、白く積もった雪、これがかの有名な富士山である。そのふもと、水田と山林に囲まれた所に大きなログハウスが一軒、静けさの中に立っている。日本で最初の自然学校、29年の歴史あるホールアース 自然学校である。

昨年末、私は日本国際交流基金北京日本文化センターによるインターンシップ・プログラムの自然学校研修に参加し、幸運にもこの学校を訪れ、日本の自然教育を体験することができた。

富士山の裾野に位置する日本最初の自然学校

日本に於ける自然学校は、人と人、人と自然、人と社会をつなぐ組織であり、場所である。かれらが主催する多様な自然体験活動は人と自然、人と人の調和のある共存に注目したものだ。2010年の調査・統計の結果によると日本には約3700の自然学校があるという。

ホールアース自然学校は1982年に設立され、現在、日本国内の7ヶ所に分校や姉妹校があり、専任職員は40数名、この他に数多くのボランティア及び兼業の職員が学校の為に働いている。毎年約8万人が参加費を支払って、同校の様々な活動に参加している。

ホールアース自然学校の創始者であり会長である広瀬敏通氏は伝奇的な人物である。20歳の時からアジア各国を周遊し、同時にボランティアの立場でアジア各国の開発と援助活動に参加した。カンボジア内戦時は、現地の難民のために井戸を掘って水を確保し、また日本政府の委託を受け、タイ国境内に難民救助の事務所を設立する仕事を主管した経験もある。

日本に戻ってから、彼は日本の若者の生活に活気がないことに気が付いた。そこで1982年に妻と共に妻の郷里の静岡県に移って、動物農場を始めた。この時から彼は動物飼育に関する体験活動を展開し、その後自然体験及び冒険活動を加え、自然体験活動の最初の雛型を徐々に形作っていった。1987年、動物農場を閉鎖し、正式にホールアース自然学校と改めた。現在広瀬敏通氏は日本最大の環境教育の全国規模のネットワークである日本環境教育フォーラムの常務理事である。エコツーリズムの実践者であり、専門家であり、そして各地の自然学校をサポートしている為、“沖縄エコツーリズムの父”とも称賛されている。

富士山の裾野に位置するホールアース自然学校は、外観はごく普通の典型的なログハウスであり、学校の事務及び訓練を行う場所となっている。然しながら、山に沿って建てられた自然学校の敷地は非常に広い上に、農場は一万平方メートル以上もある。そして学校保有の“領地”には小川、崖、小農場及び地元の人から借りた水田等もある。

この自然学校を視察した僅か数週間に、この場所に蓄積された力、団結を大事にする力、及び向上心の力を私は身を以て感じることが出来た。同校の各メンバーは誰もが積極的に社会問題に関わり、誰もが自然体験活動の為に無条件で自己の時間を捧げ、更にメンバーの誰もが自分の得意な自然体験の授業の講師となることができるのには全く敬服してしまった。

学校を活性化させる多種多様な自然体験活動

ホールアース自然学校は年間を通じて、多種多様な自然学習活動がある。特に毎年4月から6月にかけては、ほぼ毎日活動が計画されている。同校職員によると、この先二年間は既に予約で一杯だそうだ。学校側は毎年、年間の講座や研修を前以て計画しており、政府或いは他の機関の委託で行う研修もあるが、最も多いのは自然学校グループ内部の職員研修である。研修の形式は講座、野外実習等で、内容は自然学校の歴史、背景や如何に自然ガイドの活動を展開するか、等様々である。

ホールアース自然 学校の最も重要な活動は、個人向け及び団体向けに提供する自然に親しむ体験活動である。例えば個人については、遠足、エコツアー、親子キャンプ等。団体に対応したカリキュラムとしてはクッキング、野外体験学習などである。生徒達は室内ではチーズ作り、糸紡ぎ、染色などを学ぶことができ、野外カリキュラムでは星の観察、登山、洞窟探検等の活動に参加し、野外での救急知識も学習できる。多種多様な自然体験活動は静かな山村に活気を与え、生き生きとした場となっている。

学校の後方の小さな山の斜面に、広瀬敏通氏が場所を選んで建てた展望台がある。この展望台に行く途中、樹木の隙間から微かに富士山が見える。展望台に立つと、絵葉書で良く見かける富士山の美しい景色を気軽に撮影できる。然し広瀬氏はこれだけに満足せず、四方八方探検して富士山特有の珍しい洞窟を発見し、洞窟探検という自然体験活動を開発した。日本での学習期間中、私はこの活動に2回参加した。洞窟に入る時は防水のコートに着替え、ヘルメットを被りヘッドランプを付けなければならず、自然ガイドの指導に従ってゆっくりと洞窟内を這って進むのだが、洞窟の奥に行くほど前進は難しくなっていく。私達は時折、猫のように腰を曲げたりしゃがみ込む様に歩いた。こうしないと頭を岩にぶつけ痛い目に会う。洞窟内に進むほど光は少なくなって行き、最後に私達は皆、自然ガイドの指示に従ってヘッドランプの明かりを消した。時間は止まった様になり、私は手を伸ばしても5本の指が見えない暗闇と、深海の海底の様な静寂を体験した。洞窟を離れる前にガイドはこの場所独特の神秘的な青い光の見られる場所に案内してくれた。・・・洞窟には筆舌に尽くし難い神秘さと魅力があり、それはその場に行った者だけが感じる事ができる。

ホールアース自然学校は1990年代初めにエコツーリズムの研究を始め、1992年にツーリズム研究会を設立、この研究会から数多くのエコツーリズムの研究者と実践者が誕生した。同校は環境教育の能力の有る人材育成を非常に重視し、毎年多くの研修を組織し、学習者には自然体験活動指導員の資格を与えた。これら自然体験活動の指導員は現在日本各地で活躍している。更に、同校は率先して日本の自然体験環境教育が国際化に向かうよう、2002年国際事務局を設置し、発展途上国の環境教育指導員に研修カリキュラムを提供するのみならず、海外留学生及び旅行者に対応した日本の自然文化体験活動も提供している。

ホールアース自然学校について注目すべき事として、災害発生直後の緊急救援及び長期的な支援に於いて大いにその力を発揮しているという事がある。何故なら同校の職員は確かな野外生活の技能を持ち、また、その豊富な野外生活の経験は、被災者達が災害後の厳しい環境に、より早く適応する為の助けとなるからだ。日本で、ホールアース自然学校の職員は最も早く被災後の現場に駆けつけ、救援活動を行うことができる。“3.11”東日本大地震発生後、広瀬敏通氏は速やかに各自然学校から集まったスタッフらを組織し、救援部隊を率いて 被災地に赴き、第一線で一連の救助活動を展開したのである。

作者: 張已瑛(2011/03/28 中国環境報第4版より)
http://www.cenews.com.cn/xwzx/jy/qt/201103/t20110327_700685.html

翻訳:西口友紀子
校正:松江直子

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