2011/04/16 by Matsue

凍える被災地をペレットストーブで埋め尽くせ!―エネルギー自給型の復興を目指す日本の森バイオマスネットワーク

3月11日に発生した東日本大震災。被災者を更に苦しめたのは、春の訪れが遅い東北地方ならではの厳しい寒さだった。多くの避難所で、停電と灯油不足のために暖房がろくに使えず、体調を崩す人が続出した。そんな中、さらに支援の手が届きにくい小規模な避難所を中心に、50台の木質ペレットを燃料とするストーブを設置し、大変喜ばれているのが、NPO「日本の森バイオマスネットワーク」だ。

2008年に続き、またもや巨大地震におそわれた宮城県栗原市。そこを拠点するくりこま高原自然学校佐々木豊志さんが代表をつとめる同ネットワークには、地元の木材会社「栗駒木材」をはじめ工務店や環境関連の企業が加わっている。そのミッションは、日本の森林資源の活用を推進し、持続可能な社会づくりに寄与することだ。以下、HPから引用する。
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私たちは日本全国の森林資源の活用を進め、自然と共生する地域社会を実現するために以下の事業に取り組みます。

(1)エネルギーとしての活用推進
薪炭や木質ペレット燃料などの森林バイオマスエネルギーの活用を推進します。
(2)材木の活用推進
建築や木工など材木としての森林活用を推進します。
(3)環境教育の推進
森林の価値や魅力を広く呼びかけるために森林をテーマにした環境教育活動を行います。

日本の多くの森林は戦後に杉が植林されましたが、手入れがされずに荒廃の一途をたどってきました。山を再生するには間伐して光が入るようにする必要があります。しかし整備と同時に大量の木屑が発生します。木屑の運搬や処分には莫大な費用が必要になります。

題を解決するひとつの方法が「ペレット」です。ペレットは次のような特徴を持っています。

1、原料は再生可能な資源
ペレット・チップをはじめとした炭や薪などの木質バイオマス燃料の原料は管理された森林の育成過程で生じる製材くず、端材や間伐材等なので再生可能で尽きることがありません。
2、環境にやさしいクリーンエネルギー
間伐材などを利用することにより、森の再生を手助けすることができます。また、木質バイオマスを燃やすときに出る二酸化炭素は樹木が成長するときに大気中から吸収したものなので、カーボンニュートラルです。
3、木質バイオマスが環境に果たす役割
木質バイオマスの普及により化石燃料エネルギーからの脱却が可能となります。木質バイオマスはカーボンニュートラルなので地球温暖化の原因となる二酸化炭素を増加させません。木質バイオマスは地球環境に配慮した次世代を担うクリーンエネルギーです。
日本の森バイオマスネットワークは特にこのペレットの普及を進めることで日本の荒廃した森林を再生したいと考えています。

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今回の震災にあたって、日本の森バイオマスネットワークは自ら被災しながらも、独自のネットワークとフットワークを活かしてペレットストーブや発電機などの支援物資を各地に設置している。ペレットストーブは、その製造会社である「(株)さいかい産業」・アウトドアメーカー「(株)ユニフレーム」・新越金網(株)から計40台、他団体から10台提供されたものだ。4月からは設置した避難所を巡回し、ペレットストーブ・発電機・ランタンの点検および不要になった場所での回収・再配布をしながら、被災者の要望に応じて全国から集まる救援物資を配布した。

設置の詳細はこちらから(Google Earth)

震災後1ヶ月近くとなった4月9日、ようやく物資の不足が落ち着いてきたため各地からの支援物資受付を終了し、在庫の支援物資の配布に切り替わった。しかし4月に入ってから、大きな余震が続いており、まだまだストーブの見回りは必要な状況だ。また、WFP(国連世界食糧計画)の要請により、物資倉庫大型テントの設営も行った。

「次の段階の支援としては、心のケアやヘドロ・がれきの片付けなどが必要になってくるが、私たちはさらにその次の段階である『住む場所の提供』や『雇用の確保』に動く話が進んでいます」と語る事務局長の唐澤晋平さんは、ネットワークのメンバーと話し合い、以下の復興支援概念図(4月13日現在案)を作成した。

復興支援モデル概念図(案)
「仮設住宅」は一般的にプレハブ住宅のため断熱・防音などの住環境は悪く、今回の震災では8万戸という莫大な量が必要となるため海外から資材を輸入する話になっている。また東京の業界団体が設置するため地元へ仕事もお金も回らない。土地の不足も深刻で、被災地では土地の奪い合いや地価の高騰を見込んだ売り渋りが起きており十分な数の仮設住宅が設置されるのはいつになるか分からない状況にある。こうした問題を受け、日本の森バイオマスネットワークとしては、新しい復興支援のモデルとなる「支援センター」の設置を計画している。

支援センターは個室や食堂を備えて母子家庭や災害孤児、生活保護世帯などを受け入れ自立の支援を行い、また地元の木材と地元の大工さんで建てることで被災地での雇用を生み、施設の暖房や給湯にはペレット燃料を用いることで地域でのエネルギー自給にも取り組む。将来的にはこうしたモデルを復興住宅や復興コミュニティにも展開し、自立した循環型の地域社会の実現を目指している。

「これからは、東北全体が新エネルギー立国宣言をして森林資源を活用し、新しい産業を創り出すことで雇用も生まれる。急いで建設しなければならない事情は分かるが、これからの復興、産業の復興、雇用の創出を考えれば、地域主導で地元の森林資源、人的資源を活かした支援センター・復興住宅の建設は新しい復興モデルになるのではないだろうか」と代表の佐々木さんは語っている。

文責:松江直子
写真提供:日本の森バイオマスネットワーク/栗駒木材株式会社

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