2011/04/01 by Matsue

ブルーセーター(5)~Acumen Fund創始者Jacqueline Novogratz

辛抱強い資本家を教育する

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   「歴史の流れの中で、人類がモラルの基準を更に高め、新しいレベルの意識へシフトするよう求められる時が来ます。恐怖を捨て、お互いに希望を与える時です。今こそがその時なのです。」
Wangari Maathai

   20世紀最後の年、ドットコムブームは最高潮に達し、20歳そこらの億万長者が毎日のように新しく生まれ、慈善への関心も高まっていた。1999年の終わり、私はロックフェラー財団の新社長である、Gordon Conway卿と一緒に、マンハッタンを見渡す22階のオフィスで、従来の慈善活動への私の不満を分かち合っていた。私の意見は、従来の慈善活動は、明確な評価方法と説明責任が欠けがちであり、変化をもたらすという事より、折に触れては寄贈者をおだてる事の方へ集中しているようだということだった。

   世界には新しいタイプの機関、つまりそれまでの慈善活動の教訓を生かしているだけでなく、ビジネスの取り組みとコンセプトを利用して構築された機関こそが必要なんですと私は言った。私は、社会重視の会社が増加してきているのを目にしていたし、深い所での変化が、ビジネスと慈善の両方で進みつつあると感じていた。Conway氏は、椅子の背もたれに寄りかかりながら熱心に聞き入り、興味か懐疑、もしくはその両方を少しずつ表すかのように片方の眉を上げながら、話をする私を見ていた。

   今までとは違う種類の「基金」を設立する夢を見ながら、私は興奮で息弾ませていた。その基金は、慈善資金を集め、助成金あるいは投資を非営利と営利団体の両方に与えられる柔軟性を持ち、低所得コミュニティー自身が確実に解決策の一部となるようにするため、必要不可欠なサービスを貧困層へ提供する企業を見込んで大きな賭けをする。全てのレベルにおいて、更なる透明性とより大きな説明責任を組み入れ、貧困者を慈善事業の受け身の受取人としてではなく、意見を持った本当のお客として扱うことが出来るだろう。

   「今日の財団の取組みとどう違うのかね?」と彼は尋ねた。

   「最大の違いはこうです。」と私は言った。「単に助成金を与えるのではなく、市場性のあるアイデアとアプローチで地元の問題を解決する能力と先見の明のある起業家に投資するのです。予算書だけでなく、財務表や損益対照表を読み取れる能力のある創造的な人を雇うのです。特定の「プロジェクト」に集中するのではなく、財政的な持続性を徐々に持てるような力強い企業を設立する事に私たちの努力を注ぐのです。」
   慈善部門はすでに変化しつつあった。慈善(Philanthropy)と言う言葉でさえすでに古く感じられた。民間と慈善セクターの境界線は不明瞭になり始めていた。より多くの会社が慈善活動の任務を会社の取組みとして組み入れれば、より多くの非営利団体が更にビジネスライクになり、より多くの個人が、恩返しとしての第二のキャリアを達成しようとするだろう。かつて、ロックフェラー財団は慈善事業創出の最前線にいた。そして今こそ、その再改革に手を貸す機会がきたのだ。

原文:http://www.socialedge.org/blogs/the-blue-sweater

翻訳:丸山志野
校正:小嶋祝夫、松江直子

※ジャクリーン・ノヴォグラッツ著「ブルーセーター 引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語」は、英治出版より日本語版が出版されております。(北村陽子訳)

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