2007/02/26 by GLI Japan

【沈東曙】北京富平学校―社会的起業の試み

(この投稿記事は2007.2.26に作成されたものである。なお、この記事の関連記事として、北京富平学校 沈東曙(後編)(前編)もご覧ください)

北京富平学校は中国民政部で正式に登録した民間非営利法人。創設者は、著名な経済学者である茅于軾とアジア開発銀行の専門家、湯敏。理事会メンバーの半数以上を成功した実業家が占める。

茅氏は、1993年、中国山西省呂梁の村で、初の民営マイクロクレジットプロジェクトを発足させた。富平学校の名前は、「富平」が中国語で「扶貧」 と同じ発音をするところからきており、「貧困救済と社会の持続可能な発展」が団体のミッションである。学校設立当初、マイクロクレジットを展開した実績の ある山西省、甘粛省など5つの省の行政部門と協力関係を結び、政府の貧困救済基金で生活している貧しい女性たちを北京に呼び集め、家政、料理を中心とする 職業訓練を実施した。学校は卒業生の就職斡旋をするだけでなく、卒業生の権利擁護や都会の生活に馴染むための「マナー」の伝授もする。2002年から 2005年の3年間で、富平学校の訓練を受けた人は7000名を超えている。

2006年、富平学校は大きな一歩を踏み出した。まず1994年に設立された「老舗NPO」、「環境と発展研究所」と合併する運びとなった。「環境 と発展研究所」は環境を重点とする持続可能な発展(分野)の研究調査と人材育成の専門機関。富平学校の校長沈東曙はこの合併について、“中国の草の根団体 は本当に弱小で、勢力を形成するに至っていない。同じ志を持つ団体同士が資源を合わせれば、もっとインパクトのある仕事ができるはず”と語った。沈氏は投 資銀行出身の若きビジネスマン。富平学校の話を雑誌で読んで自己推薦し、2002年の年末、校長に就任した。

もう一つの大きな動きは、理事などを中心にしたファンドレーズの結果、2千万元の資金集めに成功し、「非公募型基金会」創設を検討中。
このように資金的、人的な蓄積を元に、以下の三つの分野で新たなプロジェクトを展開することとなった。

・コミュニティのレベルでサービスを提供する団体の支援と育成。
・社会投資と社会資本の促進。
・上の二つの実践を通して、制度改革を目標とする新たなモデルの創出。

具体的なプロジェクトとして、富平学校の卒業生を中心とする「起業基金」を立ち上げ、地方のコミュニティで新たなイニシアティブを立ち上げるための 3年間の起動資金を提供する。その額は約20万元から30万元。また、既にスタートしたクリエーティブなプロジェクトに対しては、「イノベーション・ファ ンド」を設立し、年間20万元の資金を提供する。その他、草の根団体のキャパシティビルディングのための小額助成金も提供する。また、環境、教育とコニュ ニティサービスを対象とする「投資ファンド」も設立した。

一方、「新富平学校」の前身の一つである「環境と発展研究所」は、持続可能な発展の分野で活躍する青年リーダーを育成することを目的とする 「LEADプロジェクト」を10年間運営した経験を持っている。このプロジェクトを元に、「社会的起業学校」を新たに作ることを計画している。
さらに、外資および本土の大手企業40社と連携し、CSR活動を促進するパートナーシップイニシアティブを立ち上げた。

富平学校の規模に匹敵するイニシアティブは、中国全国範囲で見てもまだまだ少ないが、富平学校の成功は、草の根団体のファンドレージングに新たな示唆を与えることになるであろう。

(文責:李凡)

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