2010/03/01 by GLI Japan

一人も欠けてはならない(べトナムKOTO見習いレストラン)

ハノイの街を歩いていると、巨大なモーターバイクの行列の中にいるような感じがする。狭い歩道の大部分は、店舗や停められた車に占領されている ため、歩行者は、色とりどりのヘルメットや様々な「防毒マスク」をつけたバイカー達と肩を並べ、車道を注意深く歩くしかない。このような喧噪に満ちた街の 中で、ハノイ市中心に位置する観光スポットである文廟(孔子廟)は、青々とした緑が豊かに茂る静かで厳かな場所だ。

孔子廟の周辺は、多くのブティックがあり、その中で最も大規模な2軒は、クラフト・リンク(Craft Link)というNGOが運営するフェアトレード商店だ。店内で販売されている手工芸品の多くは、べトナム山地の少数民族由来のテーブルマット、リュッ ク、アクセサリーやタペストリー等で、様々な逸品が揃っている。

Craft Link

クラフト・リンクの隣は、KOTOという名のレストランだ。入ると、表構えはそれほど大きくないが、レストランの規模はかなり大きく、1階から4階まで合わせると、100名余りの客を収容可能だ。

KOTOは、Know One Teach One(一人を知ったら、その人を教える、つまり知り合ったすべての人を教える)の略で、創始者はオーストラリア国籍のべトナム人、ジミー・ファム(Jimmy Pham)さんだ。

1990年代の末、ジミーさんは、ハノイの街を彷徨う十数歳のストリートチルドレンのグループに出会った。貧困のために早々と学校に行くのを諦めざ るを得ず、生計をたてるため農村から大都市に来た少年達だ。浮浪青少年は、べトナムにとって大きな社会問題の一つとなっている。

ジミーさんが、若者達に、これからいったい何がしたいのかと聞いたところ、彼らは、「何か手に職をつけ、良い暮らしを送りたい」と答えた。KOTO見習いレストランは、このようにして誕生した。

KOTO

始めた当時のKOTOは、9名の浮浪青年が経営するサンドイッチ店だったが、今では、ハノイの繁華街に2軒のレストランを持ち、さらにはケータリング業や料理教室なども経営している。

KOTOは、6ヶ月毎に平均30名の実習生を募集し、年齢層は、16歳から22歳までだ。実習カリキュラムは2年間で、技術訓練を受けるほか、英語 や対人関係のコツ等も学習する。 KOTOは、全ての実習生に食事と住まいを提供している。創業以来、300名を超える貧しい若者に研修を提供しており、カリキュラムを修了し、KOTOで の実習を経た後の就業率は、ほぼ100%だ。多くの卒業生は、高級レストランやホテルのサービス部門にて活躍している。

KOTO brochure

もっと多くの逆境にある若者達を助けるため、KOTOは、オーストラリアにて非営利法人の資格を得、べトナムでの活動のために資金を募った。レスト ランの全てのテーブルには、寄付活動に参加する「メニュー」を紹介する広報紙を貼った。例えば、KOTOの実習生の一人の生活や教育・研修費用への援助、 或はKOTOの組織自体に対する寄付を選択することができる。このほか、企業に特化した援助プログラムある。レストランの1階から4階までの階段の壁は、 ベージュのレンガでうめられており、一つ一つのレンガには賛助人の名前が書かれている。

KOTO terrace

午後2時を過ぎてもレストランには人が絶えなかった。私の見たところ、9割以上の顧客は外国人だ。レストランの各階は、シンプルながらも流行を意識 したデザインがほどこされ、最上階にあるテラス・バーからは、孔子廟の景色を見渡すことができる。昼食のメニューは、20品目ほどから成り、伝統的なべト ナム料理を改良した品もあれば、洋風のサラダ、サンドイッチやステーキ等もある。サラダにしてもメインコースにしても、どの品も、手の凝った盛りつけで、 新鮮で優しい味だ。レストランのスタッフは、KOTOという文字がプリントされたユニフォームを身につけ、オーダー時の顧客からの質問に対し流暢な英語で 詳しく説明しており、彼らの目には、街を彷徨っている少年にはない自信と安らぎが溢れている。

KOTO cake

シンプルな昼食に8米ドルという値段は、地元の人にとっては少し高いが、ほとんどの観光客には受け入れられるレベルだ。

2009年の冬、KOTOは、ホーチミン市にて3軒目のレストランをオープンした。将来的には、KOTOの研修プログラムをべトナム全国に普及させる計画だ。KOTOの名前どおり、一人知ったらその人を教える。一人でも欠けてはならないのだ。

文責: 李凡

翻訳: A.K

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