2011/01/24 by Matsue

ブルーセーター(3)~Acumen Fund創始者Jacqueline Novogratz

投資家と呼ばれる寄贈者

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語彙の意味を変える事が次のハードルだった。一般的な慈善活動では、寄贈者と被寄贈者と呼ばれるが、この受身的な言葉では、与える人と受け取る人という2つのグループを作るようなもので、権力の流れを生み出してしまう。被寄贈者が、取組みの困難さを正直に話せば資金を失いかねるという恐れから、寄付をしてくれそうな、あるいは既に寄付をしてくれている寄贈者に対して、誤解を与えたり語弊のある曖昧な回答をする。そんな全く機能しない会話風景を幾度となく目にしている。また、その組織の任務に全く関係ないとしても、寄贈者がするべきと思った事に、被寄贈者が同意してしまうという事もある。自分の夢を叶える、より端的に言えば、自分の給料を払う財力のある人に対して、「NO」というのは困難なのである。

更に私は、寄贈者が通常は団体そのものではなく、プログラムにしか寄付をしないという慣習にも反対した。「私は、確実に寄付金全てが一番必要としている人の元に直接渡るようにしたい。」と寄付をしてくれそうな人は言うだろう。これは、施しか直接寄付かのきわどい 戦略である。同時に、誰も企業には投資はしないだろうし、まさか有能な人を雇ったり、家賃を払ったり、光熱費を払うためにその投資金が使われるとは思っていないのである。私たちには、社会的セクターにおける、強力な団体を設立する為の慈善家も必要だったのである。

一般的な寄贈者と被寄贈者の関係を変えるため出来る限りの事をした。私たちの寄贈者は、投資家と呼ばれる事になる。投資家は、もちろん慈善の為の寄付をするが、変化に投資しているのだと、そして、彼らのお金がどの様に使われているかを真剣に考えて欲しかった。より誠実な会話のための刺激策を講じたかった。実際、本当に企業を設立する為に巨額の寄付を募るのであれば、成功と同様、失敗もきちんと伝えると約束するだろう。結局のところ投資家として、ちょうど他の一般企業同様、長期間の結果にかけ、私たちと一緒に浮き沈みを経験するオーナーのような気持ちになるべきなのである。私は投資家にこう言うだろう。「あなたはこの投資から配当金を受け取る事はありません。変化を得るのです」

私たちが、巨額の組織資金と共にAcumen基金を余裕を持って立ち上げることが出来た際に、私たちは、お金だけでなく、時間とコネクションを私たちの取組みに捧げてくれる人のコミュニティーを当初より構築する事が最重要だと感じていた。もちろん、初めの20組の資金援助パートナーを見つけ出す事は、想像以上に大変な事だった。ウォール街で働く多くの人々が、お金をもうける方法と寄付する方法に厳密な線引きをしていると説明してくれた。

「あなたは慈善とビジネスの両方を一緒にやろうとしているんです。そして、それは絶対うまくいきません。ビジネスの運営とは利潤目的のみであり、だからこそよい決定を下せるのです。」とある投資銀行家はある夏の午後、私に言った。「あなたのビジネスと慈善を組み合わせるというアイデアは、うまくいかないばかりでなく、見当違いというものです。」言うまでもなく、彼は貢献してくれなかったが・・。

経験を重ね、メッセージが明確になるにつれ、私はどの人が援助してくれるか、どの人が解決に取り組むより言い訳を見つける事に集中しているかを素早く見定められるようになった。また、数え切れないほど連日にわたる「ごめんなさい。でも頑張って。」の返答しか得られない日々でさえ、私のよき友人たちは、私を元気付け、全体像を念頭に置き続けるよう導いてくれた。

最終的に、少なくとも初めの数年間に必要なくらいの資金は集まった。やっと今、私は、この革新的事業の初期に援助を申し出てくれた人、少なくともある人達にとっては、叶いそうもない夢、しかし、もし実現すれば、慈善事業の側面を変えることに実際に貢献できるという大きな賭けをしてくれた、ロックフェラー、シスコ、W.K. ケロッグ各財団をはじめ、最初の20組の資金援助パートナーの一人一人に真の恩義を感じている。

おばあちゃんの慈善事業じゃない

私は、貧しい人々の為のベンチャー投資資金会社を設立するんだと思い始めるようになった。寄付金を募り、低所得者層のコミュニティーに安全な水や、ヘルスケア、住居、または代替エネルギー資源を提供しようとする先見の明のある起業家が率いる企業に、エクイティや、ローン、助成金、必要なものは何でも投資する。更に、基礎のビジネスプランから、マネージャーの雇用、市場と結びつける手助け等全ての面において、幅広い支援を提供する。そして、投資に対するリターンの面からだけでなく、その投資の社会的影響から投資の結果を測る事に、より重点をおくのである。還元された資金は、また貧困層へサービスを提供する他の企業へ再投資されるのである。

当初、多くの人は、私たちが小規模金融のような事をすると思っていたようだが、私たちの会社は全く違うものだった。女性に対して小額のローンをするのではなく、最低でも100万人以上へ手を差し伸べる意思のある企業に、何十万ドル、或いは何百万ドルを投資するつもりだった。私の情熱は、政府や慈善団体が貧困層の救出に失敗した地域で、ビジネスモデルを使い、効果的で維持可能なシステムを作り上げる事だった。民間の革新的事業に投資することで、必要不可欠なサービスを全ての人が利用できるようになる事、公共問題の解決に向けてよりよい方法へ導く助けになる事がどれだけ素晴らしい事かを感じたいと願っていた。

2001年初頭までには、ビジネスプランを作成し、800万ドル以上の資金を手に入れた。しかし、まだ団体の名前が決まっていなかった。本の中の私の大好きな一節は、ティリー・オレソン著書の「Better immersion than to live untouched… Yet how will you sustain?」(感動しない人生より、熱中した人生のほうがいい。しかし、どうやって持ちこたえよう?)だった。そこで、私は、団体をImmersion(熱中・没頭)とすることを考えた。結局のところ、こういった仕事をするには、頭から心まで、ありとあらゆる部分を使う事が要求されるからだ。そして、他人と自分を置き換えるというモラルの想像力を必要とするだろう。転び、起き上がり、もう一度初めから発展させる努力をしなければならない勇気を持つ事も意味していているのだ。

大抵の女性は、Immersionという名前に違和感はなかったが、ソフトで曖昧なイメージがあるからか、男性は概して拒否の反応を示した。そこで私は、ロックフェラー財団で「名づけ晩餐会」を開き、友人たちや同僚を招いて、違う世界の橋架けとなるスマートで戦略的で、標的を絞る事に焦点を当てた慈善活動の新事業体の名前リストを作成する事にした。

私の弟のマイケルはウォール街で働いていて、小さい頃からどうやって世界を変えるかについて私とよく話していた。きわどいユーモアと私の持つ誠実さを兼ね備えたマイケルは、「おばあちゃんの慈善活動じゃない」といった感じの名前にするべきだと提案した。ワインが進むにつれ、出てくる名前もくだらなくなってきた。夜の終わりには、最も怪しくも、創造的で、生き生きとした400個以上の名前を寄せ集めた。この新しいアイデアの何かが、人々の想像力を捕らえたのである。ついに、駆け出しのインターネット会社で働いていた私の友人、アントニアの助けにより、思いやりと洞察力のある、スマートで変化に焦点を当てる事を表現する願いを込めて、Acumen(洞察力)基金と決めた。そして、後に私たちは全くその通りになったのだ。

原文:http://www.socialedge.org/blogs/the-blue-sweater

翻訳:丸山志野

校正:小嶋祝夫、松江直子、廖芳芳


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