環境 人気記事

NEW ACTIVITIES

  • 最新活動報告

PROJECT

1.環境

2.災害

3.高齢社会

4.その他

INNOVATOR

  • イノベーター記事一覧
  • NPO法人日本エコツーリズムセンター
  • 一般社団法人RQ災害教育センター
2010/12/26 by Matsue

森のようちえん

「道端探検家」-道端の石や虫や草木にいちいち興味を引かれてしゃがみ込み、なかなか立ち上がらないことに半ばあきれて、夫と私が幼い娘につけた仇名だ。幼子にとって、外の世界、特に命の溢れる自然の中は、まさしくワンダーランド。自然の中で、子どもの感性や五感をのびのびと伸ばす保育として今日本でも人気が高まっているのが、「森のようちえん」と呼ばれる活動だ。

1950年代、デンマークに住む一人の母親が「自然の中でのびのびと我が子を遊ばせたい」と願い、隣の子も誘って毎日森へ出かけた。でこぼこな地面、滑りやすい坂など一様でない森を毎日歩くことで、子どもは運動能力を向上させ、自由な広い空間で時間割に縛られることなく精神を解放し、自分で遊びやおもちゃを「発明」して、想像力を膨らませる。四季の移り変わりをじっくりと体験し、観察力や感受性が磨かれる。遊びの中で仲間意識が育ち、問題を解決する力がつき、個性の違う友達をそのまま認めるようになる。先生は、子どもたちが次に何をするかを自分達で決めるよう促すため、グループの決まりも民主的に決まっていく。この活動は、スカンジナビアやドイツを中心に自然の中での幼児教育・保育に共感する人々の間で広まり、日本でも子どもを取り巻く環境の悪化を背景に、2000年ころから関心が高まってきた。

正式な資格を持つ保育士がいて、幼稚園として認められているデンマークやドイツの「森の幼稚園」とは違い、日本では施設面などの問題で正式な幼稚園とはならないため、無認可の自主保育や、NPOなどの自然教育団体が一般向けまたは幼稚園とタイアップして各地で様々なスタイルの活動を行っている。活動形態も、自然散策・遠足・お泊まり保育・畑の活動など多種多様だ。その共通項を抽出してゆるやかにつながり、活動の質向上と普及につなげようと2005年から「全国森のようちえん交流フォーラム」が開催され、そこから2008年に設立されたのが、「森のようちえん全国ネットワーク」だ。

このネットワークで定義を試みた日本の森のようちえんは、「森」と言っても森だけではなく、海や川、里山、畑、都市公園など自然体験ができる所はすべてフィールド、「ようちえん」は、幼稚園だけでなく、保育園、自然学校、育児サークルなどに通う0歳から7歳くらいまでの子どもが集団で活動する場という意味だ。自然の中で、意図的に大人の考えを強要せず、子どもが持っている感覚や感性を信じ、それを引き出すような関わり方をすることが共通項だ。

目下会員数は約100で、指導者養成講座、巡回写真展のほか、2005年から年に一度全国交流フォーラムを開いており、2010年11月に清里のキープ協会で行われた第6回フォーラムには、北京からの自然学校研修生・張巳瑛とCSネット事務局長・朱恵雯も参加し、北京で同様の活動を行っている張にとっては、とても参考になったようだ。定員300名の所に447名がつめかけ、フィールド、運営主体、活動形態もさまざまな団体・個人が、ともに専門家から学び、情報交換を行い、大変な熱気だったという。

森のようちえん全国交流フォーラム in 山梨
http://moriyou-ymanashi.sblo.jp/

「幼児期における自然教育の必要性」について、森のようちえんブログで、NPO法人自然体験活動推進協議会太田原康志さんはその効果を4点紹介している。

  1. 五感を用いて直接体験する。⇒ 感情や思考の土壌を作る。
    五感を用いて自分の体で反応するという感覚運動的な体験をすることで、自然環境との相互作用を実感することができ、この実感の積み重ねが感情や思考の土壌を作ります。
  2. 試行錯誤する。⇒ 自発性を育てる。
    自然は、「こうすればこうなる、ということがわからない」、「どうなるか、やってみないとわからない」。だからこそ、自分のすべての力を使って、色々と試しながら自然とつきあっていくことで、自分のことは自分で決めるという自発性を育むことができます。
  3. 達成感を味わう。⇒ 自信をもつ。
    試行錯誤を繰り返し、自分の力でやり遂げることによって達成感を味わい、有能感や自尊心を育むことで、自信をもつことができるようになります。
  4. 周りとのつながりを実感する。⇒ 信頼感や安心感を生みだす。
    自然環境やいろんな人との相互作用を体験することで、自分と周りとのつながりを実感し、周りとの関係を認識して満たされることで信頼感や安心感を生みだすことになります。

「自然の中ではこのようなことが期待できます。でも逆に、自然の中で行う活動であっても、このようなことが期待できないようなものは、自然体験の良さは十分に発揮できていない、ということにもなりそうです」と太田原さん。また、気になる活動中の怪我や事故については、以下の3点が基本になるということだ。

  1. 安全管理マニュアルを作り、対応方法やフォローを文章化しておく。
  2. このマニュアルに添ったスタッフトレーニングをする。(実技・連絡/対応方法など)
  3. 保険に加入(傷害保険だけでなく損害賠償保険も)、内容をしっかり把握する。

高度経済成長期に育った私にとって、外で遊ぶことは「当たり前」だったが、今の子どもたちは、安心して遊べる場所も少ない上に、塾や習い事で忙しいし、ゲームやパソコンといった強力な誘惑も多い。まずは「森のようちえん全国ネットワーク」のウェブサイトで、自分の住む場所の近くに「森のようちえん」があるかどうかを調べて見よう。活動が広がることで、わくわくのつまった子ども時代を送る子が増えて行くことを願う。

文責:松江直子

写真提供:くりこま高原自然学校

参考:「森の幼稚園-シュテルンバルトがくれたすてきなお話」
今泉みね子・アンネッテ・マイザー著
「森のようちえん全国ネットワーク」ウエブサイト http://www.morinoyouchien.org/

This post is also available in: 簡体中国語

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY