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2010/11/25 by Matsue

クリエイティブ経済、連帯経済および未来-ララさん講演会開催報告 

11月5日(金)、駒澤大学にてクリエイティブ経済についての講演会が開かれた。ブラジル・サンパウロ出身のララ・デヘインゼリン女史が、現在の経済においては有形価値よりも無形価値のほうがはるかに価値が高いという事実に基づいた上で、そういう無形の価値を重要視した経済活動の重要性を紹介した。

撮影:張巳瑛

もともとテレビドラマや映画などに出演する女優として活躍していたデヘインゼリン女史は、それからマスコミなど民間企業の世界に入り、その後行政やNPO、そしてさらには国際協力の分野にまで活動を範囲を広げてきたが、これら全ての分野において共通するのは未来学の立場であるという。20世紀においては環境生態系や生物多様性といった有形のものが重要視されてきたが、21世紀においては社会文化的生態系や文化的多様性といった無形のものも同様に重要になると彼女は述べ、無形の情報が膨大な価値を生み出している例としてグーグルや、原材料だけでは1キロ1ドルでしかない綿が、洒落たデザインの服になると1キロ80ドルになる例を挙げた。

また、ブラジルの石油産業では1人の雇用を生むのに22万ドルもの、自動車産業でも9万1000ドルもの費用がかかるが、手工芸分野であればわずか75ドルで1人の雇用が生み出せる点を指摘した上で、クリエイティブ経済分野では収入が他の分野の5割増しであるとも付け加えた。20世紀型の大量消費経済では少数の生産者が画一的な商品を販売し、その結果GDPが最大化していたが、21世紀型のニッチ経済では多数の生産者が個性的な商品を販売するようになり、その結果所得を得られる人の数が最大化するという。

このようにクリエイティブ経済の理論的枠組みを描いた後で、デヘインゼリン女史はブラジルにおける実例をいくつか紹介した。たとえばバルバセナという街は、同国最大の精神病院がある場所としてすこぶる評判の悪い場所であったが、その悪評を逆手に取って狂人フェスティバルを開催したところ、ネガティブイメージの一掃に成功した。また、若手のミュージシャンらが全国各地で「フォーラ・ド・エイショ」(レールを外れた人たちの意味)という音楽グループを作っており、全国各地でのイベント運営などにおいて互助関係を築くことにより、その評価を高めている。さらに、「楽しみの博士」と呼ばれる事業では、病院内にピエロが常駐して子どもたちを楽しめることで医療効果を高めているし、アマゾン地域から持続可能な方法で採取した原材料から作った石鹸は通常の石鹸の10倍の値段で売れているという。これら事例では、地域社会の状況を活かしたり、分野を超えて活動を行ったり(たとえば通常なら娯楽産業の枠にとどまっているピエロが、病院という全く違う場所で活動を行うことにより新たなビジネスチャンスを生み出している)することが成功につながっていると、同女史は述べている。

そして、GDPに代わる新たな富の指標(例: ブータンの「国民総幸福」)の使用を提案した上でデヘインゼリン女史は、現在私たちが利用している技術は過去においてすでに夢想されたものであることを紹介して、「われわれ人類が値するよりよい世界の構築のための人材、知識と資源が存在。そしてこれは実現可能」と締めくくっている。同女史は訪日前に中国・上海の万博に参加していたが、中国については非常に豊かな伝統文化があるものの、その文化を現代中国人自体がないがしろにしている点が非常に残念であると述べていた。

日本も中国も、主に有形資産に基づいた経済発展を模索してきた点では似ているため、経済価値の大部分が有形物ではなく無形物に由来しているという以上、その無形物を活用した経済発展を目指すべきだという指摘は非常に正鵠を得たものであるように感じるが、査定する側が有形物の価値しか認識できないようではクリエイティブ経済の本格的な導入は難しいような気がする。「星の王子さま」の最後に「大切なものは、目に見えない」という有名な台詞があるが、もしその価値を自分で評価できないのであれば、本当に評価できる人を外国から招聘してでも、このような新しい経済の発展に取り組むことが、日中両国の本当の豊かさの醸成につながるのではないだろうか。

文責:廣田裕之

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