2009/06/30 by GLI Japan

イチゴ畑よ永遠に

GLIネットワーカーにも登録したアレックス・マコースランドは、オリジナル性に富んで斬新なプロジェクトをエチオピアで立ち上げるために、ここ2年間力を注いで来た。エチオピア南部コンソ地区にあるイチゴ畑エコ・ロッジは、 地元の住民と観光客や旅行者が共に生活し学ぶことにより、食料供給の安定を促進することを目的としている。以下、アレックスの寄稿によるエッセーでは、こ のプロジェクトが相互に有益であること、そして、アフリカで最も貧しいが魅力的な国の一つであるエチオピアについて、非常に興味深く紹介している。
2 Konso People

開発国の人々にとって、エチオピアとは、砂ぼこりの舞う荒地に飢餓状態の子供達がみすぼらしい泥小屋に住んでいるという印象しかなく、この高原の国 が豊かな文化や生態系を有していることを意識している人は少ないと思います。しかし、この国の北部には、キリスト教正教会のアビシニア王国としての古き伝 統があり、南部を中心に70以上の民族と言語グループが存在するのです。
エチオピアの民族は、驚くべき多様な文化を有しています。アムハラやティグライの高原には、農業を営み色白のセム族が住んでいるのに対し、ケニアとの国境 沿いのオモ渓谷の低地に住む典型的なアフリカの遊牧民らは、その異教思想と部族的な生活習慣のため、 北部のアベシャ(訳注:エチオピア人特有の皮膚や顔立ちを持った人)達からは、原始的で野蛮と忌み嫌われています。

アビシニアの大平原は、二つの巨大な高原台地上に位置し、コーヒー豆のように 真ん中が大地溝帯によって分割されています。東はソマリアはオガデンの灼熱の砂漠、西はスーダン、そして北はアフリカ大陸プレートがアラビア・プレートに ぶつかるダナキル地方となっています。そこから標高は次第に上がり、半乾燥性の低地や所々に分散する熱帯林を経て、山地の森林、そして標高4000メート ル以上のセミエン、バレ、グッギ山脈の斜面に位置する草原にいたります。そして、これら全ての地域に多くの固有動植物が分布しているのです。エチオピアの 生態系の多様性は、その文化の多様性に劣らず、アフリカ大陸では横に出る国はありません。生態系多様性と自然の宝庫と言えます。
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私たちの多くは、エチオピアにはびこる貧困を減らす手助けをしたいと願っています。しかし残念なことに、観光による収入が草の根レベルでの利益として地元 の人々には見えにくいため、訪れる人々は、地元の人々の敵意を感じたり、絶え間なく金銭を要求されるため、貧困そのものによってこの素晴らしい国での体験 が損なわれてしまうことがあります。観光が、雇用、職業訓練やマイクロ・ビジネスの推進等を通じて地元コミュニティーに利益をもたらす可能性を持っている ことは明らかですが、利益の公平な分配を確保するためには、地元コミュニティーの参加を奨励するべく、適切に管理しなければなりません。

この方面で、エチオピアは他のアフリカ諸国に比べ遅れを取っています。ツアー運営業者らは、観光ビジネスを個人の利益獲得の手段のみととらえる傾向 があり、一部の地域では、地元文化の搾取につながってしまっています。その結果、地元コミュニティーが疎外されてしまい、訪問者の体験が損なわれ、業界に 悪影響を与えているのです。更にはコミュニティーが利益を受けるチャンスは失われ、観光は有益な効力ではなく、破壊的な影響を与えるものと化してしまいま す。このような現象は、特にエチオピア南部において見られます。
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エチオピア南部コンソ特別区に位置するイチゴ畑エコロッジ(Strawberry Fields Eco Lodge, SFEL)は、このような悪い風潮に立ち向かおうとしているプロジェクトです。SFELのねらいは、観光とコミュニティー発展活動を融合させ、コミュニ ティーが観光の利益を実感できるようにすること。エコ・ロッジは、地元の様式に従って地元の人々により建てられ、コンソ特有の趣のある快適な宿泊施設と なっています。また、コミュニティーに根ざした文化体験プログラムにより、訪問者がより深く現地社会と交流することを促進しています。

訪問者は、コンソの魅惑的な歴史や、言語、農業、民族植物学、習慣や文化について、 地元コミュニティーのメンバーによるセミナーや解説を通じて学び、陶芸、織物、段々畑の石垣造り等の伝統技能のワークショップに参加します。また、現地の 村落を訪問し、ダンス、音楽や工芸を含む活動に参加し、文化的に重要な場所や聖地を訪れ、地元の建築、農業や息をのむほど素晴らしい大地溝帯の景色を見る ことができます。
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コンソの人々は、勤勉な農民として知られ、 険しく露出した玄武岩が大地溝帯を東西に横断する地域に住んでいます。戦闘的な遊牧民に三方を囲まれているこの古風な趣のあるささやかな文明は、ボレナと オモ渓谷の乾いた荒地に降りて行く前の最後の定住農業地域となっています。丘陵上にある村落は、ローマ領ブリタニアに似ており、天然の材料のみを利用して 作られた荒削りの石壁に囲まれ、地面は周囲の土地から採った黒い岩で敷き詰められています。コンソの土地は養分が乏しく、深く浸食された峡谷に切り込まれ た急な斜面が特徴です。

更に、降雨量は不安定です。このような厳しい条件が、アフリカで最もタフな農民と言われる人々を生み出しました。コンソは、何世紀にもわたりコミュ ニティーの労働力により作られた乾式工法による石造りの段々畑で有名です。地域一帯に広がる段々畑は、痩せた土壌でモロコシやモリンガ(Moringa) の栽培を可能にしています。その他、ハト豆等の豆類やキャッサバ等を間作し、降雨量が十分であれば、人々が必要なだけの食物をまかなえるのです。
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訪問者らが段々畑を登り、高地にあるコンソの村落にたどり着くと、現地の人々に、地元の言葉で挨拶し、地元の礼儀作法に従ってふるまいます。コミュニティーに根ざした活動に参加することで、訪問者らは草の根レベルの社会に収入をもたらすのです。

SFELのねらいはそれだけではなく、持続可能な生活のための総合的な資源管理システムであるパーマカルチャーの研修も提供しています。パーマカル チャーには、栄養農園や苗床の設置、コミュニティーのニーズに沿った生産性ある農林業を含む再植林活動、種子バンクの運営、生態系保全と食料生産のための 土壌改良等が含まれます。
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パーマカルチャーは、貧しい農村地区にとって、食料供給の不安定性と環境破壊という背中合わせの二つの災難に対応し、アフリカの女性にとって特に重要な不必要な労働という問題も解決してくれるのです。

パーマカルチャーは、生命と生活を維持することを目的としており、干ばつと食料不足と闘争するコンソにとって、膨大な潜在能力を持っています。 SFELは、エチオピアで最初のパーマカルチャー試験農場を提供しています。農場は、エコ・ロッジのレストランに新鮮で美味な食材を提供するだけでなく、 地元のコミュニティーや団体、そして外国からの訪問者が参加できるパーマカルチャー研修プログラムの場でもあります。外国からの参加者が支払う研修費は、 地元の人々が研修に参加するための資金となります。
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全ての参加者は、研修の過程で、自分のアイディアや経験を他の参加者らと共有するチャンスを持てます。SFELの専属講師であるティチャファ・マコ ベレ氏(Mr Tichafa Makovere)は、ジンバブエから来たパーマカルチャーの専門家であり、アフリカ南部のパーマカルチャー運動のリーダー的存在です。今は、エチオピア におけるパーマカルチャー促進運動の先頭に立ち、2009年11月マラウィで行われる世界パーマカルチャー集会には、SFELとともに、エチオピア代表団 を率いて参加する予定です。

SFELは、毎月、72時間のパーマカルチャー・デザイン講座(有資格)を開催しています。外国人の参加費用は、13日分の食事・宿泊費込みで750ドルで、講座内容には、理論、実地研修、現地見学、参加型のデザイン実習が含まれます。

SFELは、皆さんの参加を歓迎します。コンソのコミュニティーを訪れ、ユニークでいつも明るく、その素晴らしい文化を非常に誇りに思い、毎日の素 朴な作業を達成することに労を惜しまない人々を知ってください。コンソは、驚異的な美しさと厳しい現実が背中合わせの土地です。SFELでは、開発活動家 から少し地元に貢献したいと思っている観光客まで、どんな訪問者にでもコンソを楽しむチャンスを提供しています。「Ogado! 魅惑の地コンソへようこそ!」

翻訳:A.K

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