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漫画本に生きる農業
現代の日本人は漫画本で育っている。
これを受けて、岐阜県多治見市に生を受け名古屋芸術大学美術学部を卒業した河地貢士は、2011年に“まんが農業”を世に出した。作品を発表した当初は、数多くの注目と称賛を浴びたが、同時に非難も浴びた。
河地貢士はある月刊漫画雑誌の自分の一番お気に入りのページに野菜の種を撒き、水やりをし、温度や湿度や日当たりに気を配り、大切に育てた。
彼は、自分の大好きな漫画の1ページを野菜が育つ苗床に仕立て上げたのだ。
彼がこの様な事をしたのは、心の糧を生活の糧に変えたかっただけではない。
大好きな漫画のこの薄っぺらな1ページも多くの環境汚染によって得られた1枚だということを忘れてはならないと伝えたかったのだ。
日本人が漫画を読む時は、新聞のように“読んだら捨てる”が当たり前だ。
原生林の伐採によって得られた上に読んだらすぐゴミとして捨てられる漫画本が、もし苗床として生まれ変わり私達の生活に不可欠な食料を育てることが出来たら、農業や土壌が徐々に失われつつある危機に人々が気づく要因になるかもしれない。彼はこのように考えた。
歴史や地理に詳しい河地は、土地や農業に関する作品ばかりを作ってきたが、特に重んじたのは、仕掛けや現代アート的表現法を用いて自分の考えを示すことだった。
中でも彼は、人と物あるいは人と自然環境、人と食物との関係に関心を抱いており、例えば2007年に写真寿司という作品を発表している。
これは、日本の高級寿司店でお寿司を載せるような寿司下駄の上に実に生き生きと写った写真を載せた作品だが、この作品の意図するところは、「普段私たちが愛して止まない寿司ネタが、もし自分たちの親友や家族だったら?」と考えさせることだ。
もちろん人間だけでなく、絶滅の危機にある動物や、美しい空や白い雲青い空でもいい、忘れられないほどの夕焼けに染まった山や海、更には我々の生きているこの地球と置き換えてもいいだろう。
彼は大自然や工業革命が人間の生活環境にもたらした害のみならず、衰退しつつある伝統工芸にも目を向けており、逆説的に風刺する様々な方法で哀悼の意を表している。
例えば、金継ぎという伝統工芸によって、私たちが普段おやつとして食べているポテトチップスの破片をつなぎ合わせた作品がある。この金継ぎは本来、汝窯や龍泉窯などの最高級青磁器を修復する技術である。
この他、彼が2008年に発表した作品に”うまい仏”がある。これは私たちがよく食べる「うまい棒」を使って日本の仏像を模造した物だが、食べることも出来るし今にも壊れそうでもあるこの作品を、彼は誰もがよく知っている場所、例えば富士山や仏龕(仏像を安置する厨子)に置くのだ。
彼の作品は人々の生活と密接に関わっていることから、しょっちゅう侃々諤々の議論を巻き起こす。
漫画本を台無しにすべきではない、ましてやお釈迦様を汚すような行為はもっての他、というわけだ。しかし彼はこうした芸術作品を通して現代人や今の生活方式に疑問を投げかけているのだ。
彼の思想や疑問は、常に美学や詩情といった芸術性を呈している。
私たちは彼の作品を通して、前の世代が快適さを求めて発展させてきた文明生活とそれに伴って起きている問題に目を向けなくてはならない。
そして、私たちの代が次の世代の為に負うべき責任についても考える時が来ている。
執筆者 | |
執筆者所属 | 転転会 |
翻訳と校正 | 翻訳:野地りえ 校正:棚田由紀子 |
メディア | http://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MzA5Nzk1MjcyNg==&mid=209897115&idx=3&sn=809b100e3613e0eb620ab0b424e3a4aa&scene=1&from=groupmessage&isappinstalled=0#rd |
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