2015/07/23 by Tanada

≪ソーシャル・イノベーションの星≫ 黄柯

黄柯:”空中菜園”を作り出す

20150723-08推薦の言葉:

社会に対する効果を考えると、黄柯の空中菜園プロジェクトは都市の生態環境を改善できるだけでなく、学生により多くの自然教育、農耕栽培の実践の場を提供できるし、他所から来た求職者により多くの就職のチャンスを与えることもできる。経済面でみると、社会的企業が直面する重要な問題の一つはどのようにして組織の潜在能力を掘り起こす機能を備えるかということであるが、空中菜園の現在の成績は、この団体の挑戦が支援される価値のあるものだということを物語っている。

これはただの組織の潜在能力を掘り起こす団体ではなく、“エコロジカルな夢”(緑色夢想)を持ったイノベーション型の社会的企業である。豊富なイノベーションの理念を軸にV-LIFEの理念と商業モデルを打ち出し、エコ生活を提案して都市に住む人々の田園生活への夢を実現するために努力している団体だ。

黄柯と彼女の仲間たちは長年の景観デザイン業の経験をもち、上海万博園区の景観デザイン総合コンサルタント機関に勤めている。2010年の上海万博期間中は、低炭素やエコロジー、持続可能の理念と技術を応用した案が数多く打ち出された。黄柯と仲間たちはどのようにして上海万博後もこれらの技術を現実に即した形で運用して広めていき、“Green city, Better Life”(エコ・シティで生活をより素敵なものに)の理念を引き継いでいくのかを考え始めた。

「屋上の空間を利用して野菜や果実を育てることで、太陽光の輻射を低減し、気温を調節し、屋根の下の部屋を冬は暖かく、夏は涼しく保つことができます。さらに、都市の人々の仕事に対するストレスはますます大きくなってきており、新鮮な空気を吸い、星空を眺める空間を必要としています。空中菜園で都市の人々は郊外に出ずとも農夫になったかのような感覚を体験でき、栽培と収穫といった田舎の楽しみを味わえるのです」。黄柯と仲間たちは、屋上栽培は都市の田園生活と都市および農村の資源を相互に活性化し、都心の遊休資源の開発利用を実現できるだけでなく、食品安全や土地不足、大気汚染や生活ストレス、交通渋滞等の大都市共通の問題点の軽減につながると考えた。

そこで、この東連設計グループの景観デザイナーたちは2011年に围围農業発展というエコロジカルな夢をもったイノベーション型の社会的企業を設立した。その名もV-roof(空中菜園)という団体は、浦東のとある住宅の屋上を選び、エコロジカルな夢の実現に着手した。しばらくした後、周囲の住民は隣の屋根の屋上にジーマオツァイ(鶏毛菜)や空芯菜、春菊などの緑黄色野菜と、壁をつたうヘチマやきゅうりが元気に育っているのを発見して驚いた。

試験期間は順調だったが、プロジェクトを応用させようとした途端、黄柯と仲間たちは多くの困難に直面した。「まずは技術上の問題です。すべての空き屋根で空中菜園が作り出せるわけではありません。問題は積載量です。だいたい20センチメートル程度の盛り土が必要で、湿重量を考えると、屋上の積載量は1㎡につき150キロ以内にしなければなりません。私たちは屋上建築の技術書を頼りに、構造設計図から屋上の積載能力を計算するなどして、天空菜園の積載要求を満たすか否か確かめなければなりませんでした」。

黄柯は農業の専門技術方面の困難にも直面している。「私たちの団体のメンバーは比較的若いので、農業関係の専門度を疑われることも多々あります。屋上農業と伝統的な大地で営む農業には大きな違いがあり、国内にも前例はなく、栽培の基盤となる土壌の配合、追肥問題、害虫予防、誰が手入れをするか等すべて解決する必要があるのです」。このため、彼らは豊富な実践経験のある農業技術の顧問を招聘して専門指導を仰いだ。また、団体としても自己学習や観察を行い、都市農業に関するサプライヤー開拓にも力を注いでいる。

この他にも、すべての新規プロジェクトと同じように、V-roofは資金問題にも直面している。「前期の建設コストは比較的高かったので、私たちはブリティッシュ・カウンシルの実施している『グリーンライフ行動』プロジェクトで勝ち取った3万元のシード基金(新規事業を支援する基金)だけでなく、改良した計画を提示して上海市科学技術委員会の80万円の補助資金も手に入れました」。

2012年12月までで、V-roof空中菜園はオフィスビルや工場、個人住宅などに屋上菜園を建設し、売上額は約100万元に達している。

未来の上海の屋上は、50%で栽培、30%は景観、20%はレジャーサービスを提供する複合体になり、雨水を収集する仕組みと太陽エネルギーを利用した設備などと結合して、より多くの人に低炭素生活を享受して欲しいと黄柯は願っている。

(《新京報》より)

20150723-09

執筆者  
執筆者所属 社会創業家
翻訳と校正 翻訳:松元晴菜 校正:棚田由紀子
メディア http://csnet.asia/wp-content/uploads/6ce108d384e3efef49169dfdb28c3542.pdf

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