2015/07/01 by Tanada

山の精霊探し 子供たちを再び自然の懐へ帰す

好未来公益基金会の白頭葉猿(白頭ラングール)探索の旅を記す

「木の精霊さん、私をお許し下さい。もう二度と林の木を切ったりしませんから!」「光頭強」が地面にうずくまり、木の精霊たちに許しを求め続けると、子供たちは一斉に歓喜の声を上げる。これは、白頭葉猿探索の旅における、自然をテーマにした夜の演劇発表会での生き生きとした芝居の一幕である。好未来公益基金会のボランティアと現地の子供とで劇団を組織し、自ら考え、作った道具と気合の入った演技で、地元の人たちの拍手と笑いを得ていた。

好未来公益基金会と美境自然(広西生物多様性研究・保護協会)が提携して始めた白頭葉猿探索の旅の活動が2015年1月31日から2月4日まで、広西・扶綏県渠楠屯にて滞りなく行われた。全国から12の家庭と12名のボランティアが、この5日間の探索の旅の活動に参加し、山巡りや白頭葉猿探し、自然芸術課程、コミュニティ労働への参加などを通じて、自然を深く体験、理解した。参加者は親切な地元の方の家に宿泊し、地元の子供と劇を演じた。青々とした山や川のある渠楠屯は、すでに参加者の心のふるさととなっていた。

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山紫水明の渠楠屯

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自然をテーマにした演劇発表会『大自然の精霊』

この活動は、好未来公益基金会がコミュニティ発展型の自然教育理念に対し、初めて実践したものであり、念入りに計画した一連の活動の中で、都市の子供と自然とのつながりを新たに構築するためのものである。自然教育というと、必ず「自然欠乏症」が指摘されるが、実際の所、これは教育概念であり、医学の概念ではない。現代の子供が、大自然と切り離されたことにより生まれた孤独感、いらだち、怒りっぽさや、これが原因となった道徳や美への理解、感情や知力などの成長に関する問題は皆、「自然欠乏症」に由来しているのだ。「自然教育でより重要なのは自然の観察と、この観察や体験を通して人と自然が思いをつなぎ合わせることです。また、自然教育をすることで、知力ばかりを重要視する伝統的な知識教育を是正します」好未来公益基金会の徐莉女士は白頭葉猿自然教育プロジェクトの初志をこのように紹介した。

この基盤の上で、白頭葉猿自然教育プロジェクトは持続発展可能な道を更に探索するようになった。現地の住民とNGOとの協力を通じて、渠楠屯を特色ある白頭葉猿に関する自然教育基地にする計画である。外部団体が白頭葉猿を重視することで、現地のコミュニティの自尊心が高まった。そのため、環境や人、物など多方面での利益のバランスが良くなったのだ。今回の白頭葉猿探索の旅もコミュニティ発展型自然教育の初めての貴重な試みであった。

自然に親しむ:カルストの精霊 白頭葉猿

白頭葉猿は我が国固有の一級保護動物であり、現在、世界にわずか900匹くらいしかおらず、ジャイアントパンダの数よりも少ない。この山の精霊は、広西渠楠屯内200kmの範囲にわずかに分布するのみである。白頭葉猿はとても敏捷で、断崖絶壁に生息し、木の葉や木の実を食べて生きている。多方面の努力の下、現在、現地では白頭葉猿の捕獲はすでになくなったが、経済発展と自然保護の間でのバランスの保ち方などの新しい問題が徐々に浮かび上がってきている。渠楠屯の森林保護員である張開栄さんは「現在は毎年、白頭葉猿の個体群から新しく個体群が生まれたり、絶えず子供が誕生したりしている姿が見られる」と話した。今回の白頭葉猿探索の旅の活動中、子供たちは山の麓の近距離から白頭葉猿の「朝ごはん」を観察できた。猿たちは麓の人だかりを怖がるでもなく、のんびりと新鮮な木の葉を味わっており、羨ましいほどであった。

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(大人の白頭葉猿と金色の毛並みの赤ちゃん猿)

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(白頭葉猿の「朝ご飯」風景を興奮気味に観察する子ども達)

大自然体験:自ら体験したことを努力実践し、自然が与えてくれる物全てに感謝する

一時間で一トンのサトウキビ。これは、ボランティアの先生と参加家庭すべてが協力して得た労働の成果である。労働が大変厳しかったことを除いて、美境自然の潘清先生は参加者の質問に対し、「大自然は私心なくこれほど多くの資源を与えてくれるが、我々はどのようにその恩に報いたらよいか」と尋ねた。子供と大人全員によく考えさせた。心の扉を開きさえすれば、真の世界はどのようであるか知ることができる。大自然に入り、自然を大切にすることが私たちにできることだ。竹子(自然体験活動で使う別名。以下、ニックネーム)は活動中、「大自然は私心なく、皆を助けてくれるが、我々はよく大自然を破壊している。これは公平か」という問題を皆と考えた。

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サトウキビを運んで重さを量る子ども達

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懐中電灯を持って夜間観察。ナメクジが手のひらを這っている。

このほかに、「夜間観察」も子供たちは興味津々だった。月明かりの下、懐中電灯やヘッドライトを全て消し、目を閉じて静かな自然の音を感じる。一枚の木の葉を広げ、下に隠れていた虫の穴を見つける。この小さな小さな冒険が、皆を興奮させ、今まで知らなかった自然をさらに深く知ることができた。きつね(ニックネーム)の母親は「渠楠屯は山紫水明で、家に帰ったような感覚を覚える。夜間観察やサトウキビ狩りなどの活動は我々大人も子供のころに帰ったようだった。夜、目を閉じて田野を思うと、時間の流れがゆったりと感じられ、幸福感が強まった」と感慨深く話した。

大自然の芸術:自然の美を一心に見つける

自然に帰ると、参加者の感覚器官はすぐに鋭敏になってきた。ボランティアの先生の指導の下、子供たちは花や木の形、色を注意深く観察し、パパイヤと一般の被子植物の高木との違いを知り、ユーカリの葉の刺激的なにおいを感じた。また、耳ではカワセミとキバラヤマガラの鳴き声の違いを聞き分けた。

自然の美しさを一心に見つけ、見つけた全てをペンで描き、メモにとる。子供たちはペンを持ち、周囲の風景を注意深く観察する。太くて立派な大木、水に戯れるアヒル、色鮮やかな花、全てが子供たちの画材となる。集中して大自然を観察することは、自然と一心に交流する過程である。中央美院の呉啸海先生は子供たちに、絵を描く時、どのように注意して観察するかを説明した。子供たちが絵を描くときの鮮やかに混ざった色と、思いのままに描いた線は、子供たちの感性と四季との対話なのだ。

鴨梨(ニックネーム)の母親は今回の活動に対して、多くのことを深く感じていた。「多くの細かな点から活動の理念を感じることができ、また、どの子も自分の学習方法を持っていて、皆が自分のやり方で自然と交流した。先生の指導によって、子供が自然を愛するよう導かれることが多く、自然との対話や交流を重ねて行うことで、真の成長が実現した。これこそが一番大切な目的である」と。

一生懸命に自然ノートをとる子供たち

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自然をスケッチする子ども達

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努力を続ければ、いい未来は”自然に”やってくる

人一人の人格の全面的な成長や、大自然が千百万年かけて形成されたように、自然教育は決して簡単に成果を収めるようなものではない。だが、この新鮮で美しい体験は、一粒の種を一人一人の心の中にまくようなものである。好未来教育の時俊明先生は「現地の子供たちは外からの影響を受け、都市の子供たちは自然の感触を得る。我々への影響は一時的かもしれないし、子ども達も元の環境に戻ってしまう。しかし、都市の子供、現地の子供にかかわらず、彼らがこの数日で学んだことや体験したことがより多くの人に影響を与えていくのだ。我々は力の及ぶ範囲で、より多くの子供の手助けとなる活動を続けたいと思っている。わずか数日の短い時間だが、このわずかな変化が子供たちにより深い影響を与えるかもしれないのだ」と高揚しながら伝えていた。

興味深い旅はようやく始まったばかりである。好未来公益基金会が提唱、推進している自然教育は中国の子供たちにより良い未来をもたらすだろう。

執筆者  
執筆者所属 好未来公益基金会
翻訳と校正 翻訳:藤澤美歩 校正:棚田由紀子
メディア

中国発展簡報

http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/news-17184.html

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