2015/06/12 by Tanada

善達ネット✖王名 なぜ清華大学公益慈善研究院を発足させるのか ?

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この程、清華大学公益慈善研究院が設立された。これは、2010年の北京師範大学の中国公益研究院、2011年の中山大学の中国公益慈善研究院に続く、公益事業を扱う全国で三番目の専門的な研究院で、清華大学公共管理学院の王名教授が初代学院長に就任した。

「清華大学公益慈善研究院の設立は、他の研究院と比較しなければならないものではありません。むしろ、中国の慈善事業研究におけるシンクタンクを作り、政治に提言する能力、国際的な発言力を強化することにあります」と王名教授は善達ネットのインタビューに答えた。慈善事業は、未だ体をなしておらず、我々研究院はゼロから制度を作り上げることになる。改革、市場経済、社会転換をいっそう推し進めるための慈善事業に関する一連の制度、体制を構築することが、我々が直面している最大の課題である、と王教授はいう。

”中国における慈善事業研究の国家レベルのシンクタンクを築く”

善達ネット: 国内にはすでに二つの研究院がありますが、なぜさらに、清華大学に公益慈善研究院を設ける必要があるのでしょうか?

王名: 民政部と清華大学と共同で設立された公益研究院は、2015年の民生部部会の企画の一つであり、また国家戦略でもあるんです。この政策の背景には2014年に国務院が発表した<慈善事業の健全な発展に関するガイドライン>と今年一月に中国共産党中央弁公庁、国務院弁公庁が発表した<中国特有の新型シンクタンク設立の強化に関するガイドライン>の二つのガイドラインがあります。

善達ネット: もしも比較をするなら、清華大学の公益慈善研究院と他の二つの研究院とでは役割にどのような違いがあるのでしょうか?

王名: 既に申しましたように、清華大学公益慈善研究院は国家戦略の一環で、私たちは民政部の呼び掛けに賛同したに過ぎません。北京師範大学等との比較はふさわしくありません。強いて比較するなら、清華大学公益慈善研究院は共同で設立されたものであって、清華大学自らが設立したものではないということです。理事会も民政部と清華大学の関連する幹部により構成されています。目的は、国家戦略としての先鞭をつけること、一流大学のカリキュラムに組み込むこと、公益慈善研究と人材育成のシステムに関する国家レベルのシンクタンクの創設に力を尽くすこと、そして我が国の公益慈善事業の発展を推し進め、積極的に貢献することです。

善達ネット: 中国の経済発展は、新たに”新常態”の段階に入り、言うまでもなく公益事業も転換を求められています。研究院がこの転換のなかで果たす役割とは、どういったものでしょうか?

王名: 清華大学の公益慈善研究院には四つの研究分野があります。慈善活動の制度と体制に関する研究、慈善活動の組織と管理に関する研究、慈善活動のリソースとプロジェクトに関する研究、慈善活動の価値と文化に関する研究です。

善達ネット: 研究院の初代学院長として、研究院の未来にどのような期待と目標をお持ちですか?

王名: 二つあります。一つは、全面的改革、政策創出、制度構築について、積極的に影響を与えられる政策を作り、慈善事業分野と国家戦略に影響を与えられるシンクタンクになることです。もう一つは、(学問として)カリキュラムの構築と人材育成です。これに関して私たちはまだ着手したばかりですので、まだまだ努力が必要です。数年以内の目標としてはシンクタンクの創設、カリキュラムの構築、人材育成の体制作りを加速させることです。

“公益慈善領域はまだ制度がなく、体制も不十分”

善達ネット: この4つの研究分野にとって、最も重要なのはもちろん公益慈善制度と体制の検討を進めることですが、あなたは現在の公益慈善制度と体制についてどのように見ておられますか?これらの制度と体制は公益事業の発展を制約するのでしょうか、それとも促進するのでしょうか?

王名: 制度にとって主要なのは立法化です。現在、公益慈善の関連法案の立法化を全面的に推進していて、その中には慈善法、ボランティア法、購買サービス関連の法規、社会団体/民営非企業部門/基金会の3つの条例があります。他にも、私がずっと主張している社会組織基本法もその中に含まれますが、これら一連の関連法の立法化を、私達は「公益慈善法律体制の建設」と呼んでいます。これも制度建設の最も重要な内容ですが、この方面は重要な理論による下支えと理論を展開する業界からの参与が不足しています。もちろん私は参加者の一人であり、私一人の力に頼るだけでは不十分で、チームとしての支持が必要です。なぜ今回、民政部がこのような研究院の設立を申し出たのか?それは、制度建設を推進し制度建設のための理論による支持を提供することこそが重要だからです。

体制の面で言うと、一昨年国務院が出した社会組織管理制度の改革について、私は公益慈善領域体制全体あるいは制度改革のひとつとして理解しており、社会組織管理制度の改革以外に、公益慈善のその他の関連するいくつかの重要な体制に関わっています。例えば、事業機関の体制改革、人民団体の関連している体制改革です。また、体制と制度の重大な改革に関わっていますが、これは今まさに行われている中国の全面的な大改革でとても重要なものの一つです。しかしただ一つの方向性であり、その基本理論の方面で、理論の側面をいじるような部分的な制度建設など、直面する問題はまだとても多いです。従って、国務院、民政部は相応する研究チームによるサポートが必要となったのです。もちろんこのチームが閉鎖するのはいけない。だから、開放型のシンクタンクを建設すると明言したしです。このシンクタンクは、清華大学だけではなく、北京、全国、更には全世界で中国公益慈善制度と体制改革に関心を寄せるイノベーション的な知識資源をも巻き込んで、共に推進していこうとしているのです。

実は正確に言うと、公益慈善の領域はまだ制度がなく、体制も不十分なため、私たちはゼロから制度建設を始め、現行の3項の条例を全て止めました。体制の面では、現行の社会団体登録管理体制は制限するためにあり、発展するためではありません。このような体制面での不十分さだけでなく、私達が直面しているのは体制の確立であり、再建ではありません。改革の深化、市場経済、社会のモデルチェンジといった公益慈善制度と体制を全体として確立すること、これも私達が直面している最大の難題です。

”純粋な公益慈善団体はあるが、大抵主流ではない”

善達ネット: 公益慈善の価値も研究院の研究方向のひとつです。あなたは今、中国経済「新常態(ニューエコノミー)」における公益慈善活動の価値をどう見ていますか?

王名: まず、公益慈善自体は中核的価値観の構成部分です。社会主義の中核的価値観といえば公益慈善活動は欠かせません。公益が実現できない状況に陥ったら、革命を通して公益を実現させるべきです。これはマルクス主義の一つの理想です。しかし、中国社会の中で、どれだけの人がその価値を受け入れ、それを行動基準として守っているのか?これは、とても難しい現実です。伝統的な公益はもう再構築されました。革命という方法を通して構築された公益は、市場経済の中で、財産が個人所有制となり、ボランティアや慈善に基づく新しい価値観が構成されました。今後、公益は一部分の人のみならず、社会全体の共通認識にならなければいけません。他にも、人人公益のように、われわれが提唱している理念を社会全体の行動基準にしなければいけません。これには、提唱、推進、教育及び浸透を図る過程を踏んでいく必要があります。

中国文化の中でも、公益慈善は中心となる事柄です。墨子は「兼愛」の理念を提唱しています。相手を愛すること、社会と弱者を愛すること、これらは伝統文化の豊かな思想です。公益慈善を考えるとき、中国伝統文化の原点から理解しなければなりません。しかし、今われわれは公益慈善といえば西洋から伝わってきて、外国人こそ公益慈善をやるものだと連想します。それは間違っています。墨子は戦国時代から慈善をやっていました。厳密に言えば、人類社会が生まれたときから、公益慈善も存在しています。しかし、その分野の研究はまだまだ足りないと思います。今後、シンクタンク及び関連団体を設立することによって、公益が抱えている現実の問題と人類社会の発展を結び付けたいと思います。これは、実用と政策の視点のみならず、公益本来の意味からも考えるものです。だからこそ、価値と文化に重きを置くのです。特に重視したいのは、公益本質に対する深い考察と研究です。

善達ネット: 推進するにあたって組織転換の面と改革の面ではどのような問題を抱えていますか?

王名氏: まだたくさんの問題を抱えています。現在、多くの公益慈善団体は民間運営ではなく、裏では政府が関与しています。それとは別に、多くの慈善団体は公益のために設立されたのではなく、市場利益に応じるために作られました。純粋な公益慈善団体もありますが、大抵主流ではありません。このバランスをより多い資源と発言権を得るために改革によって変えていく必要があります。

”現在の人材養成は主にトレーニング頼みで、その場しのぎの解決しかできない”

善達ネット: 人材不足が、現在の公益分野が直面しているボトルネックですね。

王名: その通りです。公益慈善分野の人材不足が及ぼす影響力について説明していますが、大きな根本的な原因のひとつに専門性の欠如があります。専門的な人材や団体が不足しているため、プロジェクトの発展規模や社会資源を動員する能力が限られているのです。また公益活動の転換を推し進める上でも、カリキュラム構築や人材育成が大変重要になってきます。

清華大学公益慈善研究院を設立した重要な目的のひとつが、まさにカリキュラム構築や人材育成の推進です。公益慈善分野での高度な専門性を有する人材を育成するために、目下準備作業の真っ最中です。今年から公益慈善方面の専門性を持つ修士の募集を開始し、合わせて今後3年間で10名の博士を募集します。その後、将来の人材備蓄のため、国際的な協力プロジェクトを展開します。若い優秀な人材が加わってくれることで、人材育成の方面で中核的な役割を果たす教育者部隊を作り出せることを目指しています。

カリキュラム構築ですが、公益慈善はまだ学問の分野ではありません。我々は今回特別に教育部副部長の杜占元氏に創立式典に来ていただけました。教育部にも協力していただき、共通認識の構築につながればと期待しています。公益慈善は中国にとって是非とも発展させる必要のある新しい学問分野なので、カリキュラム構築には北京師範大学などの他大学も積極的に関わって力を発揮してもらいたいと思います。その価値は十分にあります。この新しい学問の開設と発展を一緒になって推し進め、効果的な専門人材の育成体制を整えることを期待しています。

中国文化の中でも、公益慈善は中心となる事柄です。墨子は「兼愛」の理念を提唱しています。相手を愛すること、社会と弱者を愛すること、これらは伝統文化の豊かな思想です。公益慈善を考えるとき、中国伝統文化の原点から理解しなければなりません。しかし、今われわれは公益慈善といえば西洋から伝わってきて、外国人こそ公益慈善をやるものだと連想します。それは間違っています。墨子は戦国時代から慈善をやっていました。厳密に言えば、人類社会が生まれたときから、公益慈善も存在しています。しかし、その分野の研究はまだまだ足りないと思います。今後、シンクタンク及び関連団体を設立することによって、公益が抱えている現実の問題と人類社会の発展を結び付けたいと思います。これは、実用と政策の視点のみならず、公益本来の意味からも考えるものです。だからこそ、価値と文化に重きを置くのです。特に重視したいのは、公益本質に対する深い考察と研究です。

善達ネット: 推進するにあたって組織転換の面と改革の面ではどのような問題を抱えていますか?

王名: まだたくさんの問題を抱えています。現在、多くの公益慈善団体は民間運営ではなく、裏では政府が関与しています。それとは別に、多くの慈善団体は公益のために設立されたのではなく、市場利益に応じるために作られました。純粋な公益慈善団体もありますが、大抵主流ではありません。このバランスをより多い資源と発言権を得るために改革によって変えていく必要があります。

善達ネット: カリキュラム構築だけで、公益分野の人材不足問題を解決できますか?

王名: すべてを解決するなど絶対に無理です。ただ、システム化する必要はあると思います。システム化というのは即ち、カリキュラム構築を通じて人材育成を推し進めることです。現在の人材育成は主にトレーニング頼みで、このような中で育った人材は中核を担うことも主流となることもできません。短期トレーニングで解決できるのは、その場しのぎで済む程度の問題だけです。

我々の教育体系は何十年にも渡って発展して形成された一種の共通認識で、専門的な人材養成はカリキュラム構築の推進が必要です。その次に必要なのは、カリキュラム構築の道を突き進むことです。それができなければ(中心ではない)周辺部分の改革しかできず、その効果は限定的でしょう。この分野において積極的な力を発揮し、皆と一緒になって国務院が公益慈善分野の専門学位(修士や本科など)を速やかに確立するよう促せることを期待しています。そうすれば、募集規模をさらに拡大できるでしょう。

もうひとつの重要な事柄として、今のところ公益慈善分野は国際的にも学問分野として確立されていない点が挙げられます。我々が人材育成とカリキュラム構築においてリードしなければ、中国に影響を与えるのみならず、相応の経験を積んだ状況下では、国際社会における公益慈善事業の発展にも影響を及ぼしかねないのです。

執筆者  
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:島崇之、山原由美子、陳セイ、棚田由紀子 校正:棚田由紀子
メディア 公益慈善周刊2015年第16期(総合第164期)

来源:善达网

地址:http://sdg.shanda960.com/article/3448

 

 

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