2015/05/29 by Tanada

日本での雪山キャンプ ~私たちの歩む道~

<事務局より>

CSネットは今年度から、中国の環境教育従事者育成の一環として、また中国の子供たちに直接日本の体験型教育を経験させるために、中国の環境教育スタッフと親子を同時に日本の自然学校に招くプロジェクトを開始しました。本記事は、2015年2月にくりこま高原自然学校にて実験的に実施した雪山キャンプのレポートです。

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20150529-21日本での雪山キャンプの11日間は、毎日とても充実していて、また一瞬にして過ぎ去っていったようだった。この11日間、私は子供達の“突破”を見てきた。例えば、コミュニティの中で、初めは周囲と距離を置きながら落ち着かない様子だった子が、ゆっくりと心を開き、身振り手振りと片言の英語で主体性を表現し、現地の人たちと交流したこと。また、元々の生活環境と全く異なる気候条件に順応し、自分で自分の面倒を見るようになったこと。それはつまり、たとえグループ内で衝突したり、調子が悪くなったり、落胆したりしても、真摯に自分と向き合い、コントロールできるようになったということだ。

私たちは中国国内での同業者であるにも関わらず、日本側は私たちの自然学校を受け入れ、エコ・フレンドリーに対する実践を子ども達と一緒に作り出してくれた。この実践は生活の至る所で進められており、また、教育に対する理解もその実践の中に溶け込んでいる。日本では、人と仲良くなったり素晴らしい出来事に出会ったりすることや異文化体験、中国国内での環境生活では好ましくなかった習慣を直す努力を通じて、私たちも子供達もしっかりと自分を振り返るようになり、常に成長するというすばらしい機会を得た。

日本を離れる前、私は絵葉書に自分への期待を書き記した。キャンプでの収穫が毎日の日常生活の中にもたらされますようにと。

雪山キャンプに参加したきっかけ

自然の友:ガイヤ自然学校の招聘を受け、私たちが日本の雪山キャンプの協力および参加のための準備をしていた時、期待と共に躊躇いもあった。2013年末、茉莉は3ヶ月間の研修で日本に入り、研修後は団体と多くの交流や情報共有を行った結果、人々に驚く程の進歩をもたらした。中国国内の仲間は、日本の自然学校での収穫も、今回の雪山キャンプを組んだ動機になったという。

ガイヤ自然学校は、中国国内では比較的早く環境/自然教育を実施し始めたが、協力機構でもある北京楽行青少年体験式学習センターと福州楽共自然工作室の2団体も、いろいろな特色がある。雲南在地は、より多次元で仲間の機関と協力し交流することをずっと望んでおり、この機会はまたとないチャンスのように見えた。

しかしその一方で、私たちは雲南の生態体験を軸に、その土地柄に即した自然教育の在り方を探し求め、外の世界でのキャンプに参加している団体である。ましてや、国外まで出るというのは、私たちが未だ踏み入れたことがない未知の領域だ。経験不足が気がかりになると同時に、作業の方向性に対して起こり得るであろう調整を慎重にやらなければならなかった。

最終的に皆で話し合って、今回の学習のチャンスを自分達のものにしようと決めた。中国国内の仲間から学び、そして長年にわたって自然教育を蓄積してきた日本の自然学校から学ぼうと。

他山の石と言うが、中国本土のさらなる美しい未来の為に、さらなる努力をしよう。感覚器官を開放して、どの側面も等しく貴重である大自然を子ども達に体験させ、日本の自然学校の教育の雰囲気を体験させよう。

私たちを信頼し、活動に対して興味を抱いてくれた昆明地区の7つの家庭と、初めてのことで経験不足によって引き起こされるであろう様々な事柄に、私たちが共に挑戦していくことに対して、心の中で感謝した。

体験と指導

20150529-22富士山はとても美しかった。遠くから見ても美しいし、近くで見ても美しい。日本で最も古くからある自然学校の一つの「ホールアース」は富士山の麓にあり、私たちを樹海洞窟に案内した指導者は、車の中で自分のお腹をさすりながら、「今日私たちは富士山の『お腹の中』に行きます」と言った。車から降りて入った樹海は、すでに富士山の雪線あたりまで達しており、樹木はその中で逞しく成長している。

雪の上には、秋に舞い落ちた楓の美しい紅葉がまだ残っていて、葉が散り果てた樹は極寒の中、平然と佇んでいる。平べったいシダレイトスギの葉が丸く積み重なっていて、その上に雪が積もっている。常緑の広葉樹の灌木は、しわくちゃの葉っぱが垂れ下がっているが、一冬は越せそうだ。

長い間の変化や蓄積を経ているにも関わらず、この地層はやはり薄すぎる。しっかりと岩石に張り付いている丈夫な根っこが分厚い雪の中から姿を現しているのを1人の子供が見つけ、感嘆した様子で「とてもすごいね!」と言った。ミッキー先生は子供達を連れてNの形をした老木を見に行った。この樹は何が原因で倒されたか分からないが、もう一回粘り強く立ち上がったのだ。

ミッキー先生はさすがユーモアたっぷりに、子供達にこの丈夫な樹と握手させようと、飛び出た根っこを指差しながら、「みて、この木が握手してみんなを歓迎したがっているよ」と言った。

20150529-24洞窟はまさにこの樹海の中にあり、斜め下の方向に伸びる洞窟の入り口は、薄暗い大きな口を広げて私たちを待っていた。ミッキー先生は怖い顔で、「注意事項が守れない人は、入り口で待っていてもらいます」と言った。期待とともに、心のなかにはいくらか不安もあった。洞窟のなかに入ると、ヘッドライトの明かりだけを頼りにしてゆっくりと前を探索した。岩石の間の隙間には氷が張っていて、石もとても滑り、両手で足を支えながらゆっくりと前に進む。専門の案内人の存在と恐ろしい探索を克服することで、次第に心の不安が解かれていった。立ち止まったとき、子供たちは火山岩が固まってできた岩壁と下に垂れているつららと氷のタケノコを驚き喜びながら鑑賞していた。大自然の姿を保持することは、体験過程に対する指導者の要求なのだ。

指導者は皆に氷が固まってできた平地に座るようにいった。この美しい洞穴は見たこともない神秘的な世界で、火山が噴火した際の溶岩に含まれる大気の泡が残した、洞窟の外とは全く違う生態環境である。ミッキー先生は皆に全ての明かりを消し、貴重な完全なる静寂と完全なる闇(たとえ五本の指を目の前に持ってきても見えない)を体験するようにいった。数秒間の体験、完全なる静寂は耳を少しおかしくさせるほどだったが、一生忘れられないだろう ——このような自然の異なる側面が見せる魅力は、ちっぽけな人間が宇宙のなかに安定して存在している感覚を与えてくれた。

子供たちはこのように富士山の”お腹”のなかで、氷の上で遊び、懐中電灯の光が氷のタケノコの上に映し出す清浄さと美しさを楽しんでいた。汚染のない場所も氷のなかの気泡も、見惚れるほどの美しさだ。

指導者の富士山に対する愛と、大自然に対する理解が子供たちに伝わっているのかいないのか、私には分からなかった——伝わったなら、それは今なのか未来なのか?

子供たちを連れて自然を体験する過程では、引率者がこんなにも重要なのだ。言葉にせず行動面からの引率でも、言葉での解説でも。

Whole Earth自然学校の教室では、教師の指導の下、バードコール(鳥笛)を作る。手を動かすのはそのうちの1つのポイントに過ぎず、ユーモアのある解説こそ活動の神髄である。教師は子供が興味のある鳥に関するQ&Aから始め、鳥の生活習慣や、バードコールの起源などを話す……最も印象に残ったのは、教師のバードコールは何年も使い込んでいて、様々な模倣を繰り返すうちに音がますます美しくなってきたと話したことだ。 バードコールに習熟する過程は、黙って木の後ろで鳥の歌を聴き、バードコールで鳥の鳴き声を模倣して鳥と行動をともにすることだ。「当ててみてください、これから出す音は鳥の求婚の歌でしょうか?それとも鳥の警戒の鳴き声でしょうか?」実は、鳥の繁殖行動を撹乱しないため、バードコールは決して美しい求婚の鳴き声を模倣したりしない。夕飯の鹿肉の火鍋を前に、ミッキー先生は子供たちに鹿と森の物語、それと富士山の物語を聞かせた。なぜそうしたかというと、感謝の気持ちも話すためだ。

子供たちよ、きみたちはバードコールを使い込み始めたかな?

どのような教育観をもって活動するか?

子供たちに話させよう!

2月9日、日本の栗原市、くりこま高原自然学校にて。分厚い積雪の中、暖かい木製の小屋で、私たちの子供たちは自分の荷物をすでにまとめ、部屋と食堂(私たちの教室と同行してくださった先生たちの”寝室”でもある)の間で走り回っていた。まもなく自然学校を離れるのだが、名残惜しくて仕方がない。子供たちは依然としてキャンプ中に味わった興奮と、満足な気持ちを抱いていた。ある女の子は、机の間にたち、涙をためすすり泣きながら、「離れたくない……ここに残りたい……」と話していた。

わたしは梅跟の前まで行き、彼女に別れを告げた。梅は20歳で頭角を表した、教育専門の背景を持ち、ベビーフェイスだが落ち着いているしっかり者で、子供と遊んでいるときは可愛らしく笑う娘である。ハグをしたとき、梅の体からたくさんのエネルギーをもらうことができた。わたしは感謝と、名残惜しさと、感激と、心残りを伝えた。なぜなら初めて子供を連れて日本の自然学校を訪れて交流し、このゆったりとした観察と適応と思考の過程は、わたしに子供と同じように、味のある成長過程を体験させてくれたのだ。

20150529-23

執筆者
執筆者所属 雲南在地
翻訳と校正 翻訳:萩原千瑛、松元晴菜 校正:棚田由紀子
メディア 作者寄稿

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