2015/04/30 by Tanada

2014年 中国環境10大事件

20150430-1

間もなく2014年が終わろうとしている今、環境問題は全社会の極めて高い注目を集める関心事となっている。我々は1年の多くの環境保護に係る事がらの中から10件の事例を選び、専門家の評論を頂くことで、社会各界に環境保護問題への継続的関心を持ってもらえることを期待する。

1.環境保護部と中国全土の31の省・区・市が「大気汚染対策目標責任書」に調印

概要:1月7日、「大気汚染対策行動計画」を徹底して実施するため、環境保護部が中国全土の31の省・区・市と「大気汚染対策目標責任書」に調印し、各地の大気質の改善目標や重要な業務を明確にした。PM2.5の年平均濃度削減目標を明確に掲げる以外に、目標責任書には「大気汚染対策行動計画」の主要業務の措置が記載されている。北京・天津・河北省と周辺の6省・区・市について、目標責任書は石炭の削減、立ち遅れた生産能力の整理、大気汚染の総合管理、ボイラーの総合修復など各業務の数値目標を掲げ、年度単位で業務を分割した。その他の省・区・市については、業務措置の原則的な要求を示した。

論評(国務院発展研究センター 資源と環境政策研究所 常紀文副所長):これは国務院が全文を配布した「大気汚染対策行動計画」以来、我が国の大気汚染対策政策の「地に足ついた」最も肝心な一歩だ。

2.甘肃省蘭州「4.11」水道水汚染事件

概要:4月10日17時、蘭州市中心市街地の水道水給水事業者、威立雅水道事業グループ会社の処理済みの水から、国家規制値10㎍(マイクログラム)/ℓをはるかに超える118μg/ℓのベンゼンが検出された。4月11日未明2時、ベンゼン測定値は200㎍/ℓを示し、重大な基準値超過となった。その後開催された記者会見で、蘭州市は周辺の地下にある油を含む汚水が、施設内の輸送管内を流れる水のベンゼン値を基準値越えさせた直接の原因であるとして、関係する責任部門と責任者に対し調査を進め原因を明らかにするよう要請したと発表した。

論評(精華大学水道事業政策研究センター 傅涛主任):経済発展に従い、各種の工業廃棄物、農業化学物質の排出は我が国の水資源に深刻な汚染をもたらした。しかし水源地の水質低下は、浄水場の処理技術と配管設備の老朽化等が足かせとなって、たとえ浄水場から給水される水質が標準値に適合していても、住民が安全な水を飲めることを意味しているとは限らない。

3.八年越しの全国の土壌汚染状況調査 結果を発表

概要:4月17日、環境保護部と国土資源部は「全国土壌汚染状況調査公報」を発表し、8年を費やし進めてきた全国土壌汚染状況調査の結果を国民に公表した。この発表によれば、全国の土壌の約16.1%で汚染基準値の超過が確認され、その内訳は耕地が19.4%、林地が10.0%、草地が10.4%だった。南方の汚染は北方より重く、長江デルタ、珠江デルタ、東北工業地帯などの一部区域における土壌汚染が突出しており、西南、中南地区の土壌は重金属の基準値超過している範囲が比較的大きかった。

論評(中国農業大学 農民問題研究所 朱啓臻所長):未然の防止は汚染後に管理するよりもコストがずっと低くて済む。我国は土壌交換などの関連する管理技術は比較的成熟しているが、管理に必要な資金が高い上、管理過程が長く、しかも管理しながら汚染するという現象が存在しているため、有効な保護を進める為に法制度がまだ必要だ。

4.新環境保護法公布

概要:4月24日、第12期全国人民代表大会常務委員会第8回会議にて改定新環境保護法が賛成多数で可決され、環境保護法制定から25 年を経て初めて全面的に改定された。環境保護法の改定は区域汚染と流域汚染だけに留まらず、土壌汚染等の際立った環境問題がその内容に組み込まれている。一方で、史上最も厳格に法律を執行する手段と政策も立法形式によって明確にした。環境保護法改定の中で初めて、重大な環境に関する違法行為に対しては、地方政府担当責任者および環境保護部門等の監督管理部門の主要責任者の「引責辞職」が言及された。

論評(国務院発展研究センター 資源と環境政策研究所 常紀文副所長):環境に関する違法問題のツケを払うのは違法した企業だけに留まらない。立法の段階で多くの環境についての法的執行措置を取り入れたことで、実は環境に関する違法行為の最も鍵となる「抜け道」を塞いだのだ。

 5.多くの地域がスモッグに覆われる

概要:政府はスモッグに対して頻繁に策を講じているが、2014年の北京および周辺の多くの都市では、スモッグの脅威がいまだ完全に消えていない。まさにAPEC期間の青空白雲の日以外、北京市では3回の重度大気汚染が出現し(4日間の重度汚染、1日の深刻な汚染)、汚染レベルは昨年の同時期と比べ明らかにひどくなっており、スモッグの状況は楽観視できない。環境保護部は京津冀(北京市・天津市・河北省)、長江デルタ地域、珠江デルタ地域及び直轄市、省都と計画都市など74都市の2014年11月分の大気レベル状況を発表した。74都市において基準に達した日の割合は 17.2%~100.0%の間で、平均で基準に達した割合は63.6%,軽度汚染の割合は22.2%,中度汚染は8.0%,重度汚染は4.6%,深刻汚染は1.6%である。その中でも京津冀地区13都市の大気質が基準値に達した割合は平均で42.0%、平均で基準値を超えた割合は58.0%,その中でも重度汚染割合は15.7%、深刻汚染の割合は6.7%である。

論評(公衆環境研究センター主任 馬軍):面目ない話だが、スモッグはここ2年間悪化し続けており、今日に至るまでスモッグの原因はいまだに定論がない。スモッグを解決するにはとても長い過程が必要で、いくつかの緊急手段以外、エネルギー構造の転換、経済構造の調整こそが根本的な解決への道のりである、ということを私たちはしっかりと認識すべきである。

6.湘江流域の重度汚染区域のヒ素量、基準値の715倍

概要:11月15日、環境保護公益組織の長沙曙光環境保護公益センターは、湘江流域の重金属污染調査結果を公表した。郴州三十六湾鉱山区甘溪の河底の泥から、基準値の715.73 倍のヒ素が検出され、甘溪村の田んぼからは、基準値の206.67倍のカドミウムが検出された。岳陽市桃林の鉛・亜鉛鉱山区汀畈村の田んぼでは、鉛の含有量が最高で1kgあたり1527.8mg(1000gあたり1.5g)に達した。これは、基準値の5.093倍である。

論評(中華環境保護連合会 訴訟部部長 馬勇):湖南は非鉄金属の重点省で、このような重金属汚染のデータは我が国の環境が深刻である現実を如実に表わしている。同時に、環境公益組織は環境保護事業の推進に対して努力していることに着目すべきである。

7.桃源のアルミニウム工場汚染、がん発症した住民多数

概要:2014年11月、湖南省桃源の村民がメディアに応じたところによると、創元アルミニウム工業が2003年4月に生産を開始してから排出された廃水、排ガス、廃棄物は周辺環境に深刻な汚染を招いた。村民が汚染された水で灌漑してからは、「水稲の産量は激減し、野菜など農作物も育たなくなった」。下流では、「十数人が相次いでがんを発症し死亡、さらに多くの人が虚弱体質となり、全身痛と無気力状態になったが、病名は特定できなかった」。

論評(中華環境保護連合会 監督検査訴訟部部長 馬勇):工業排出物が現在の我が国における環境汚染の重要点であることは間違いない。安直な地方経済の発展のために、地方政府が往々にして後ろ盾となって、悪辣な環境事件が発生しても黙認しているのを、見過ごしてはならない。

8.APECブルー

概要:11月に北京で行われたAPEC会議期間中は、久々の晴天に恵まれ、大気の質も連続して良好で、交通も順調であった。環境保護部の統計によると、11月1日から12日まで、北京の大気中の各項目の汚染物平均濃度は、過去5年間の同時期の最低レベルであった。メディアとネットユーザーはこのような得がたい好天気を“APECブルー”と称した。

評論(中国環境科学研究院 副院長 柴発合):一時的なコントロールとはいえ、少なくともスモッグは完全に解決することができることを証明した。さらに踏み込んで産業構造を調整し、さらに大きな範囲での連携した防止管理体制を敷き、さらに強力で効果のある汚染解決措置を採用してこそはじめて“APECブルー”を長く持続させることができる。

9.天價公益訴訟の損害賠償請求案件

概要:12月16日、江蘇泰州環境保護連合会が不当に有害廃棄物を処理したとして6社の化学工業企業を訴え、一審の裁判で1億6000万元の賠償を言い渡され、注目を浴びた訴訟の二審が開廷した。この案件は日を選んで判決が言い渡される。これは国内で過去最高賠償額の環境公益訴訟である。

論評(中華環境連合会警察訴訟部 部長長 馬勇):今後は、環境公益訴訟を通して環境保護に対する企業の破壊行為と破損行為を抑制することが平常となるだろう。法制化の方法を用いて環境保護を推進していくことも、非常に重要な発展目標となるだろう。

10.<大気汚染防止法>の大規模改定

概要:12月22日に開幕した全国人民代表大会常務委員会第十二回会議において、国務院が提出した大気汚染防止法の修正草案について審議した。これは27年前に同法が制定されてから三回目の修正であり、かつはじめての大規模な修正である。現行の大気汚染防止法と比べて、修正案は標準のガイドライン制定、地域で連携した防止管理体制、重度汚染について3つの章節からなり、さらに企業と政府の法的責任を強化した。特に、重点区域の大気汚染防止については、汚染の処罰を強め、さらに厳しい制限措置を採用した。草案は現行法上の50万元の処罰上限を撤廃し、それにかわって掛け算式の懲罰基準を設けた。

論評(中国環境科学研究院 副院長 柴発合):厳しい法律でスモッグに対処することで、政府の環境問題解決に対する決意を示した。しかし草案の背後に潜む難題は、排気ガスの削減や、遅れをとった生産能力の淘汰、産業のレベルアップや構造転換および伝統的なエネルギー消費モデルの転換と、経済発展の間でいかにバランスをとっていくかである。

執筆者
執筆者所属 環境生態網 www.eedu.org.cn
翻訳と校正 翻訳:市橋美穂、佐藤祐子 校正:棚田由紀子
メディア

http://www.chinadevelopmentbrief.org.cn/news-17032.html

This post is also available in: 簡体中国語

Facebook Twitter 微博

CATEGOLY