2014/10/06 by Tanada

汶川地震 ~5年後の今~ (その5)萝卜村

第5回:萝卜村

被害の現状:全村埋没、黄土チャン族村全壊

復興計画:伝統と現代が融合する「雲上の街」

復興支援都市:広東省江門

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旧萝卜村岷江第一展望台から東側を望む

萝卜(大根の意)村の名を目にしたのは、旅行雑誌でだった。世界で最古かつ最大の、黄土チャン族の村。2008年四川大地震の際、ネット上では、同村が全壊した写真が「世界最古の黄土チャン族村が廃墟に」というタイトルでアップされ、見る者の涙を誘った。

萝卜村は、四川省アバ州ブン川県雁門郷の、岷江南岸の高台の上に位置する。有名な九寨溝に至る道沿いだ。海抜は1970メートルで、「雲上の街」と呼ばれる。地震以前は、村中の建物がほぼ全て黄土を塗り固めて作られており、村の中心部の家は互いに連なって層をなし、一つの家の屋根が別の何十の家にもつながる形で、不揃いながらも趣があった。

再建後の萝卜村はどのように変わったのだろうか?これまで道沿いから見てきた経験からいうと、少なくとも外観では、地震後に再建された村は皆以前より美しくなっている。以前は建築界で有名だった萝卜村も同じだ。

期待が高すぎたかもしれないが、苦労して車をチャーターして行ってみると、旧村にはもはや住んでいる人はおらず、聞くと県政府が買い上げて観光開発をしたらしい。新村は坂の上にあり、やはり同じく整然としていた。しかし、家は黄土で塗り固めたものではなく、レンガと鉄筋コンクリートで造られた産物で、外壁には黄色いペンキが塗られ、ニセモノっぽくなっていた。萝卜村の村人も、特色ある文化が無いと観光客を引き付けられないのだと身にしみてわかっているようだ。道すがら見た中で最もぱっとしない、最も小さい家屋だったのが残念であった。再建の際は各家庭の母屋に52平米しか与えられず、間取りは4DK、後部には40平米の空き地があり、キッチンや庭にできる。大多数の村人はこの52平米の部分に建て増し、二階も乗せて、庭付き二階建てのチベット・チャン族折衷式家屋にし、外壁にはチャン族の「羊」をかたどったデザインを描いている。これが、村人が新村を旧村と同じように美しくしようとした最大の努力だ。村人は先人の建築の伝統も守っている。それは、各家屋の屋根を、以前と同じように家々連なるようにしていることだ。こちらの家からあちらの家へ移ることができ、もし外敵が侵入してきても、村全体がすぐに集まって応戦することができる。

このころ、萝卜村の旧村はほぼ修復が終わり、雰囲気も以前と同じように仕上がった。一部の趣ある古い家屋は、「チャン族民族体験家屋」として開発され、3つの客間は24時間お湯供給、自動マージャン卓、ケーブルテレビ、カフェがあり、一泊360元、一週間泊だと1800元、一か月泊だと6000元。観光ディベロッパーは旧家屋の改造に細部までこだわった。取り壊す空き家にはそれぞれ番号をふり、門の前に家主の紹介を貼った。「住晤利阿觉节(チャン族語)の家にようこそ、10号王氏の家」。「晤」とはチャン族語で鳥王の神族であり、漢族の姓で言うと「王」に当たる。庭には、人も家畜も一緒、生活と生産の場が一体となり、遊牧と農耕の文明と新しい物語とを形成している。

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旧村のはずれは崖になっている。崖っぷちに立ち、周囲の山々に向かい合いながら、ふもとの大河を眺めると、大いに心が揺さぶられた。壮観な風景は言葉で言い表すことはできない。私は、畏敬の念で声も出ず、感動で涙し、神が作った一連の不可思議な作品に何度も何度も拝礼した。ここはまた、岷江で初めてできた展望台という名声も有している。

山深く、道が不便であっても、その名を慕ってやってくる旅行者は絶えず、週末ともなればさらに異常な賑わいを見せる。萝卜村民の8割は、自宅で民泊を営んでいる。ちょうどこの数日、四川省委員会の幹部が視察に訪れており、新村の家々は鮮やかな黄色のトウモロコシを軒下に下げ、黄色の家屋に黄色のトウモロコシが合わさり、青い空と白い雲の下にたなびく赤い旗もあいまって、村のカラフルな色合いはくらべものが無いほど鮮やかだ。この美しさは、突き詰めて言うと残酷なものだ。口の悪い現地の人に言わせると、これらのトウモロコシは幹部の視察に合わせて外から持ってきたもので、この数日間ずっしりとしたトウモロコシをつるすために、彼らは3日がかりで屋根の上に並べたとのことだ。

総じてここの人々の精神状態は良好で、歌や踊りも盛んである。映秀の人々の焦りに比べると、萝卜村の人々は足るを知っており、淡々としている。これは民族性によるものなのか、それとも原因が別にあるのか。「チャン族民泊 樹平」の女主人によると、「お客が来ない時は、畑仕事に専念してる。果樹園も畑も家から近いし、畑仕事と観光業を両立してるよ。」この言葉には多くの学びがある。千年以上にわたって、農民は持続的な発展を「土地」に頼ってきた。映秀の人々の焦りは、「土地」がなくなったからなのだ。単一的な観光発展モデルでは、短期的な利益を得るにはいいだろうが、長期的な視点から見れば、農民が土地をなくしてしまうことは、魚が水をなくしてしまうのと同じで、最後は滅亡の道しかない。

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執筆者 譚斯穎
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:三津間由佳 校正:棚田由紀子
メディア

http://www.cdb.org.cn/newsview.php?id=7445

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