2014/09/30 by Tanada

【完全版】中国自然学校ネットワーク電子ニュースレター 第1号 2013年10月

答え自然の中

発刊に寄せて: 本ニュースレターのねらい

現在中国では、多くの団体や個人が、自然を保護し、その大切さを伝えるために尽力し、自然教育という意義ある事業の模索と実践を進めています。2012年と2013年、成都・北京・上海等で開催された自然教育交流会を通じ、全国各地からの参加者による異なる分野間の交流が増加しつつあり、より多くの人が自然学校の設計と建設に注目し始めています。私達は、自然への敬意と温かい心をもって、様々な分野から参加を得る中国自然学校ネットワーク設立を推進し、自然学校業界内外における学習・交流・協力の場を設け、自然学校に関する交流と知識の共有を深め、共に成長していきたいと願っています。

このささやかなニュースレターは交流と伝達の手段として、業界内の交流と情報共有を促進することを目的としており、主に中国国内で自然教育活動に従事する人々、並びに自然教育に興味を持っている一般市民を対象にしています。本ニュースレターでは毎号、特集記事、業界関連ニュース(関連政策、業界内の動向、活動等)、自然学校の紹介、自然学校の活動の推薦などのセクションを設け、読者の皆さんからの投稿も募集します。

本ニュースレターの編集に携わっている私達は、中国各地で自然学校に関与している者として、このささやかなニュースレターが、自然教育に携わる人々が誠実かつ活発、平等でオープンに交流できる場となり、中国の自然学校の発展に少しでも貢献できることを願っています。

2013年自然学校ネットワーク交流会を振り返って

自然学校の定義は様々ですが、一般的には、各種の自然体験活動を通じ、人と自然、人と人(社会)、人と自己の関係の促進に努める団体・活動・場所を指しています。山水自然保護センターと日中市民社会ネットワーク(CSネット)は、日本で30年近く蓄積してきた自然学校に関する経験から学びたいと考え、2012年より、中国国内での自然学校の設立と交流ネットワークの推進活動を行ってきました。2012年に成都と北京で開催された2回の自然教育交流会を土台に、2013年9月14日から18日まで、雲南と上海でも自然学校ネットワーク交流会を開催し、成功裏に終わりました。

雲南分科会は、科学普及教育や自然体験活動の場として経験豊富なシーサンパンナ熱帯植物園で行われ、自然保護区、科学研究所やNGOから20名余りの参加者が集まりました。日本の自然学校専門家の高木晴光氏と梅崎靖志氏が、自らの自然学校に関する経験を紹介しました。また、山水自然保護センターの秦大公氏は、中国の自然学校の現状について紹介し、さらに中国自然学校マップの作成についての討論を司会しました。雲南分科会の交流は、保護区型の自然学校に焦点をあて、白馬雪山国家級自然保護区、老君山国家公園、および王朗国家級自然保護区からの代表がそれぞれ紹介を行い、また王朗保護区を事例として全員で討論を行いました。この他、自然学校ネットワークがどのように自然学校の発展を促進できるかを皆で討論し、皮切りとなる自然学校ネットワークの中核を形成しました。

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雲南分科会:各チームの討論結果発表              雲南分科会:シーサンパンナ熱帯植物園での集合写真

上海分科会は、上海市郊外の青浦区にあるエコ農場の大千庄園で開催されました。日本から来た専門家が、日本の自然学校の概況と自然学校に従事してきた経験を紹介した後、中国各地から来た30余名の参加者と交流を深めました。梅崎靖志氏が行っている家族経営の自然学校の事例は、参加者にとって大きな刺激となりました。私達は、半日の時間をかけて淀山湖畔の岑卜村を参観し、村で数多くの団体や個人が携わっているエコ農業や自然教育活動についての理解を深め、都市の近郊に位置する自然学校の設立と運営について討究しました。上海分科会は、華東地区(上海、南京、厦門、武漢等)からの参加者が比較的多く、すでに自然学校を実践している人々と知り合うきっかけとなり、交流のネットワークが広がりました。

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上海分科会: 自らの自然学校経験について紹介する日本の専門家  上海分科会: 岑卜村祥雲農場見学後の集合写真

専門家の視点から

私は20年前の日本で、森林の見学や登山の引率をしていましたが、当時はまだ市場が形成されておらず、すべて無料で行っていました。最初はやはり不安もあり、この事業で生計を立てることができるのかどうか分かりませんでした。しかし、次第により多くの人が子供連れで登山に行くようになり、嬉しいことにお金を払ってでも自然体験活動に参加したい人が多くいることが分かってきました。今の皆さんと同じように、私も最初は一緒に自然学校をやってくれる人がいるかどうか分かりませんでした。近くにいる有志と共に行動を起こし、私と同年代の人々の間でネットワークが形成されたのです。今日ここに集まっていらっしゃる皆さんを見ると、20年前の私の姿を見るようで、とても嬉しく思います。  ——NPO法人ねおす理事長 高木晴光

私は初めは自然解説員の仕事をしており、多くの知識を得ることができましたが、何かが違うと感じていました。その後、自然学校で最も大切なことは、どんな知識や情報を説明するかではなく、人が生きていく態度を伝えることだと気づきました。生きていく態度が相手と一致してはじめてしっかり伝えることができるのです。情熱や理想も大事ですが、それだけでは不十分で、更に知識と情報を加えてもまだ不十分で、最も大切なのは自分の生活様式だと思います。  ——風と土の自然学校 梅崎靖志

【業界ニュース

2013年度訪日自然学校研修生が確定

日本の自然学校技術支援プロジェクト初の研修生3名が確定しました。確定したのはそれぞれ「自然の友」の黄海瓊(ホァン・ハイチォン)さん、「雲南在地自然教育工作室」の宋文莉(ソン・ウェンリー)さん、「山水自然保護センター」の鄒滔(ゾウ・タオ)さん。3名は11月に日本で自然学校の交流学習を行い、2か月の間学習計画に則り、総体的な日本の自然学校のプログラム設計から活動の展開や運営等を体験・理解します。帰国後は各団体が協働して、自然学校の設立・運営と持続的な活動の展開や、同業者との成果の共有を実施します。また、報告会や交流会などを開いて、他の組織の指導のため教材資料を共有し、更に主体的な中国全土の自然学校ネットワークの運営にあたることになります。

自然教育関連のウェブサイト ―余海瓊(ユィ・ハイチォン)上海緑洲生態保護交流センター

中国国内では自然教育関連の教科があまり多くなく、直接的な学習と訓練への参加を希望している多くの人にとってやや困難な環境です。大体にして自然教育に触れるきっかけは常にこのようなウェブサイトであり、自分が必要な情報を検索していく中で徐々に蓄積されていきます。個人的な好みも異なるので、自分に合ったサイトを収集しているだけですが、他の人にも将来シェアができれば良いと思います。

参考・学習と同時にイノベーションも必要であり、これらのウェブサイトの整理は、ただより多くの方に他の人々の活動を知ってもらうと共に見習ってもらい、関連情報の検索に役立ててほしいためなのですが、完全にそれをコピーするのではなく、参考程度に留めてほしいと思います。というのも、あらゆる奇跡はすべてイノベーションから来ているのですから。

詳しくはこちら http://blog.sina.com.cn/s/blog_61caa5a60101mtn1.html

中国科学院シーサンバンナ熱帯植物園科学普及解説賞受賞 ―王西敏中国科学院シーサンバンナ熱帯植物園

パック旅行の影響により、現在国内におけるガイドの解説内容は、往々にして中身のない単純知識型の傾向があり、解説の理念と技術訓練の環境に乏しいものとなっています。私はアメリカで環境教育の修士の学位を取り、帰国後は環境解説の推進と国内の普及活動を行ってきました。植物園で意識的にガイド分野の訓練を強化してきたので、今回、中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園の科学普及解説員はシーサンパンナ州開催の景勝地と旅行会社ガイド大会において、受賞の半数を占め、訓練成果の検討材料となりました。私達ガイドの解説内容と技術の使い方は今回の大会で特に突出し、審査委員からも称賛の声を頂きました。この事をきっかけにシーサンパンナの観光業界に環境解説の重要性が認識されることを願っています。

詳しくはこちら http://www.xtbg.cas.cn/xwzx/kpbd/201310/t20131024_3961936.html

【自然学校 おすすめ】 成都観鳥会

成都観鳥会は2004年に民政部門の基準を満たして成立した、独立法人資格を持つ非営利民間社団組織で、活動範囲は四川省全域、また中国西部その他地域に及び、中国で最も活躍する西部地区最大のバードウオッチング団体です。

団体ウエブサイト:www.scbirds.org.cn

成都観鳥会が現在行っている自然学校関連の活動:

1.自然学校連盟(ネイチャー・スクール・ユニオン)の設立を計画

成都の現地又は四川省周辺エリアで、小規模な自然学校ネットワークの建設に取り組んでいます。ネイチャー・スクール・ユニオンはこのネットワークのブランド名で、それに合わせて商事会社を設立し、ブランド運営を行っています。現在までに、会社には最初の株主が登録され、自然学校についての商談が交わされました。そのうち主な活動の一つに自然学校の活動項目の設計が含まれており、活動レシピの初稿も完成して、第一段階として120程の活動項目が挙げられています。最終的には100項目程を確定し、宣伝資料を制作する事としています。

ネイチャー・スクール・ユニオンはコミュニティ型自然学校の設立と発展に取り組み、私たち自身で3つの自然学校を設立し、成都市内の1校を除いてその他の2校はすべて一般的な農村に建設する予定です。成都市内の学校は成都市青少年活動センターと協力し、265ムー(約17万6755平方メートル)の土地には優れたスタジアムと機能的な設備のセットが揃い、その他の広大な土地にも設計空間がまだまだあります。彭州竜門山塘壩(せき)村は国家地質公園の奥地にありますが、管理が行き渡っていないことや未開発状態であるため、私たちは現地のコミュニティと協力して洞窟や山地資源を十分に利用し、関連教育と体験活動を展開させました。都江堰の旗松村はU字型の浅い丘陵と谷にあり、中国科学院の研究基地です。私たちは更に200~500ムー(約13万3400~33万3500平方メートル)の土地を借りて農場型の自然学校を建設し、科学研究や農村文化、水文化やパンダ文化を合わせた比較的総合的な自然学校を作る予定です。この学校もネイチャー・スクール・ユニオンの母体となるでしょう。土地の賃貸及びコミュニティ参加という方法で、これまでに何度か協議を重ね、第1段階までが確定しています。現在は、重要な時機をうかがい全力を挙げて実質的な実施段階へと推し進めています。

本団体のスローガン:自然にはストーリーがあり、大地は知識の宝庫である

目的:人と自然人と社会のつながり作り 博物啓蒙の推進 本土型の自然観と文化的価値観への回帰

2.4.20雅安地震の被災地区における自然学校建設の協力

現在、成都と綿陽の2つのNGOが雅安地震の被災地区にそれぞれ自然学校を建設する意志があります。成都観鳥会も技術支援組織として参加し、雅安市林業局と地方政府及び四川農業大学の参加と協力の調整を行いました。現在、それぞれ協力している2つの組織は建設地点の選定や計画策定の作業を行い、今後も深く推し進めていきます。

3.貴州に赴き自然学校の概念を広める

貴州省では比較的適切とされる候補者がいるため、沈尤氏(訳注:同会理事長)は先日貴州省に赴き自然学校の概念を広める活動を行いました。相次いで、貴州省政府協商会議、民主党派、貴州省環境庁、貴州師範大学、貴陽市教育局等の一部関係者を訪れました。併せて交流を深め、貴州省内で自然学校を実験的に建設するという願いがひとまずのところ達成されました。今後の活動としては、貴州現地のスタッフに建設地点の選定や初期の設計作業を担ってもらい、成都観鳥会も参加と促進を継続していく事としています。

【自然学校 おすすめ活動】

日本の自然学校が短期視察の募集を開始

12月下旬に、日中市民社会ネットワーク(CSネット)と山水自然保護センターが共同で日本の自然学校の短期視察を行う事となり、正式に募集を開始しました。それぞれ異なる代表的な4つの日本の自然学校を訪問します。自然学校分野の代表者が講座や総括を主催し、自然学校に従事する人と交流を深め、自然学校の発展と現状を学びます。期間は12月23日~28日の6泊7日。行政機関や自然保護区、教育、芸術、NGO等各分野に携わる人々の参加をお待ちしております。

視察の詳細や行程、費用及びその他の情報を知りたい方はこちらまでご連絡ください。

takong@pku.edu.cn (山水自然保護センター 秦大公先生)

執筆者
執筆者所属 山水自然保護センター  http://www.hinature.cn/
翻訳と校正 翻訳:川口晶子、白石美津子 校正:棚田由紀子
メディア http://csnet.asia/wp-content/uploads/ce76a1e8d2a74083c2ebb1bae593b6c0.pdf
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