2014/08/14 by Tanada

汶川地震 ~5年後の今~ (その3)汶川

第三回 川県(威州鎮)

20140814-1汶川県の新たな街並み

被害の現状:当初予測した結果より軽いようだ。具体的な損失は不明。

復興計画:復興資金28億元(約459億円)、プロジェクト件数77件。大禹の故郷をブランドとして展開。

復興支援都市:広東省広州市

映秀から汶川までの42キロの行程には1時間程を要した。この行程は地震による山体崩壊の深刻さを視察するのに最も適していた。楊貴妃が入浴中に少年にのぞき見され、砂を投げつけたことで名付けられたと言われる「飛沙堰」に車が差し掛かった。山頂からの砂石流が岷江を直撃し、すっかり景観が損なわれてしまったその様子には驚いた。有名な「草坡断橋遺跡」は修復されていたが、1、2か月もすれば近接する高速道路がこの古い道路に取って代わり、成都から汶川まで3時間かかる道のりが1時間半に短縮されるという。

汶川県は四川盆地の西北の縁に位置し、龍門山脈と邛崍(キョウライ)山脈で県域の東北部と西南部に分かれる。岷江及びその支流である雑谷脳河、草坡河、寿江河が主な河流である。汶川は県西の汶水(現在の岷江)から名付けられ、西漢時代は綿虒県、西晋時代には汶山県と改められ汶山郡の配下に置かれた。北周時代に初めて汶川県となり、現在に至るまで1400年余りの歴史がある。その名はあの震災で新たに自然災害の「歴史書」に記載されることとなった。

私のこの街の第一印象は、なんといっても駅と市街地が随分離れていることだった。汽車が七盤溝駅に到着した時、「街」の匂いが感じられなかった。聞いた所、この駅は新しく建てられたもので、市街地から更に8、9キロも離れているということがわかった。

威州鎮は県政府所在地で、そこまで行くのに一体の塑像の前と一つの橋を通る。褐色の泥土で作られた巨人は治水の英雄大禹であり、鋤の刃を担いで立っている。高さ16メートル、震災後の作品で、制作には40トン余りの泥土が使用されたという。橋は威州橋であり、汶川の交通の要だけでなく重要な軍事防衛の価値も備えている。

20140814-2汶川城にある16メートルの大禹の彫刻

 ようやく市街地に入った。近くで見ると、この小さな街の外観は道中の映秀、綿池(大禹の故郷と言われている)にはかなわない。2008年の震災で汶川は震源地のため通信が2日間余計に途絶えたため、威州鎮はこれまでにない災害に見舞われたと思われていた。その後、新華社通信の記者が取材に入った際、威州鎮の家屋の倒壊は深刻ではないということが分かった。県政府所在地の復興地に関して、元の場所にするか、別の場所にするかの論争が数か月続き、最終的には元の場所が選ばれた。「傷が深いこと」は、中国式の復興モデルでは「徹底して死ぬこと」に及ばないようだ。道中にあった街は復興により一新して見違えるほどになり、この「徹底的には傷ついていない」県政府所在地はかえって幾分荒れ果てているように見えるかもしれない。人気はほとんど「較場路」と呼ばれる道に集中し、チャン族の伝統衣装を身にまとった女性達が往来し、この「廃墟」が民族の特色を濃くしているように感じる。紅軍橋を北に行ったエリアは新市街で、政府はそこにオフィスを集中させ、数万人が収容できる避難場所を修築してメディアからは「ノアの方舟」として持ち上げられている。しかしそこはほとんど人気がなく、公務員も数人いるだけでオフィスの数の方が多いように見える。ここでの移動方法は主に人力三輪車で初乗り料金は3元だが、運転手の口ぶりからするとよそから来た者は往々にして5元が必要なようだ。

20140814-3汶川博物館

20140814-4 商業貿易ビル

20140814-5新しく建てられた建物

 映秀地震博物館で「リニューアルでの新しい顔」となった分館には一枚の印象深い写真がある。通りすがりの学生にこの写真の綺麗な夜景はどこなのかと尋ねると、紅軍橋の横にある紅軍塔で撮影されたものだと教えてくれた。紅軍橋は威州鎮北部にあり、岷江を横に跨いでいる。橋はT字形で、威州鎮の旧市街と桑坪区、堡子関を繋ぎ、全長222.5メートル、幅3.8メートル、路面、欄干と門は木製である。1935年に紅軍が長征で汶川、於雁門、威州、克枯等の郷鎮を通った時、相次いで十数回余り大小の戦闘が行われた。汶川の民衆は砲火を恐れずに、紅軍のため破壊された威州のつり橋を二度修復し、軍の主力は全て無事に岷江を渡ることができた。これを記念し紅軍橋と名付けられた。

20140814-6紅軍橋

 紅軍橋に姜維城と、威州鎮の名所は周辺の羌寨(チャン族の村)と比べて魅力が足りないように見える。しかし、西はアバチベット族チャン族自治州の首都バルカムを繋ぎ、北はこの世の天国である九寨溝に通じる地理に位置し、重要な中継地点となっている。

執筆者 譚斯穎
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:白石美津子 校正:越川祐子
メディア http://www.cdb.org.cn/newsview.php?id=7431

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