2014/08/12 by Tanada

香港の環境保護運動の過去と未来を考察する

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環境保護団体で働く人たちは、情熱を持ちつづけているだろうか。それとも、あの大先輩の言葉のように、組織の生き残りのために労働する「ゾンビ」になってしまってはいないだろうか。

年度初めに当たり、香港の環境保護運動のこれまでを振り返り、敬意を表する。

香港の環境保護団体は近年、大量のエネルギーを放出している。1997年以前まで遡って、その始まりを見てみよう。当時、環境保護についての報道は、珍しいというほどでも無かったが、決して毎日あるというわけではなかった。しかし今では、去年を例にみても、香港の新聞や雑誌で「環境保護」の4文字を含む記事は、33,430本にのぼり、平均で1日91本にもなる。数字の上では、一般市民が名前をあげることができる環境団体は両手で数えられる範囲内にとどまり、社会福祉系の団体に比べればはるかに少ないのだが、メディアでの露出量では決して負けていない。街中に出てみても、八百屋のおばさんまでもが「ビニールのレジ袋を使わなくてエコだね」と語るし、子供たちも「ムダを減らそう」(香港政府が最近積極的に推進している食べ物の浪費を削減するキャンペーンのスローガン)と声を張り上げている。今では環境保護を否定するような虚言を吐く人はいなくなったが、「有言」から「実行」に至るまでにはまだ大きな隔たりがある。良識と実力ある環境保護団体は、この移行プロセスを推進する動力になる必要がある。

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時間を遡ってみれば、1968年に設立された「長春社」が、香港の環境保護運動を推進する初めての組織だった。その後、「香港地球の友」と「世界自然保護基金会(香港支部)」がそれぞれ1983年と1984年に相次いで登場した。両団体が、香港の環境運動の先駆者として大きく貢献したことは、疑う余地がない。しかし当時の環境団体は、主に香港の西洋人と中国人エリートを対象にした活動を行っていたため、香港の一般市民を動員する力では、いずれも不合格と評価せざるをえない。その後1988年に「緑色力量」が設立され、地元に根ざした環境運動の幕開けと期待された。

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その後、香港の環境団体は、まるでサッカー選手のポジションを決めるかのように、役割設定や地域ごとの位置づけを行い、それぞれ市場の異なる部分に対して活動を行った。地域に根ざした活動を行う団体としては、「緑色大嶼山」(1989年設立)、「坪洲緑衡者」(1991年)、「大埔環保会」(1997年、現「環保協進会」)がある。特定のテーマや保護対象を持って活動している団体としては、「争気行動」(1997年)、「香港イルカ保育学会」(2003年)、「健康空気行動」(2009年)、「緑色学生聨会」(1993年、現「緑領行動」)がある。「環保触覚」(2004年)や「世界緑色組織」(2013年)については、まだ転換期にあるため今は分類が難しい。言及に値するのは、1996年に香港に到来した国際環境NGOの「グリーンピース」で、国際的な経験と戦略や手法を現地の環境運動に導入し、多くの優秀なスタッフを育成した。しかし、グリーンピースは中国本土を最終的な戦場とみなしており、香港でのプロジェクトの運営において長期的視野に欠ける場合がある。

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異なる年代において、環境団体は概して段階的に機能を発揮してきた。しかし、専門性を追及する過程において、まだ成果を挙げることができず、組織上の管理プロセスや戦略が欠落しており、汚染の根源の探究において十分な考察に乏しい団体も少なくない。数年前にエコ読書会を開催した際、ある人は次のように問いかけた。「文思慧氏の著書『香港エコ運動の難産』の後、私たちはなぜ環境運動を振り返り反省することをしなくなってしまったのでしょうか。(2013年12月に逝去された文先生は、香港の環境運動の先駆者とされ、するどい批評力によって人々から賞賛された。)先日、環境運動のある大先輩から電話をいただきましたが、環境団体は自立した思考に乏しく、ゾンビ同様だ、と厳しく批判していらっしゃいました」。

20140812-5反省を具体的な思考の命題とすると・・・

現在の団体の運営方法と戦略設定は、(少なくとも)10年後の環境問題に対応することができるだろうか?たとえば、広東省と香港の人や物の動きが急速に合流することで、この地域の環境汚染への圧力は今後ますます高まるばかりだ。それにも関わらず、香港政府や立法会に働きかけるという従来の手法を続けていては、一人よがりなのではないだろうか。

「ごみ問題」や「自動車排気ガス」等の従来の分類方法による環境汚染問題への対応は、問題の後を追いかける応急処置でしかない。根本的な問題を解決し、「木を見て森を見ない」窮地から脱却し、汚染の背後にある構造的な問題を解決するにはどうすれば良いのだろうか。

「土地正義」(訳注:「土地正義連盟」は香港のNGOで、土地開発に関する環境・社会問題をテーマとして活動している)、「グリーン購入」、「グリーン金融」、「地域の環境保護」等のテーマは、将来の戦略的な方向と成り得るのだろうか。

環境団体のビジョンとミッションは何か。これまでにどれだけ実現化してきたのか。理事会やマネジメントは老化してはいないだろうか。既得権益者じみてきているのではないだろうか。

環境保護団体で働く人たちは、情熱を持ちつづけているだろうか。それとも、あの大先輩の言葉のように、組織の生き残りのために労働する「ゾンビ」になってしまってはいないだろうか。

20140812-6これらの問題は、すでに環境運動にとって危惧すべき脅威であり、我々皆が考える必要がある。環境団体の組織的な問題について言えば、業界内でもあまり知られていないかもしれないが、過去数十年の環境運動の過程で、多くの団体が、大地震に遭ったかのような人事の変化や組織の揺さぶりを経験してきている。中でも特に、組織のトップによる独断的な管理方法や、個人崇拝の風潮、機能不全な理事会などが、環境保護団体の健全な発展を妨げている。

本稿の始めには、環境団体の活力は日に日に増していると書いたにも関わらず、どんどん否定的な書き方になっていると思われるかも知れない。だが、誤解しないでいただきたい。難癖をつけているわけではなく、私が皆さんに敬意と大きな期待を持っていることの表れだ。特に今政治的局面が混乱している中で、常に冷静な心を保ち、反省を忘れない心を持たなければ、長い道のりを歩んでいくことはできない。私たちは市民からの寄付によって維持され、発展していく組織であるからには、真摯に仕事に取り組む責任がある。それは、他人にも自分にも厳しく、ということでもある。

歩き疲れた今、団体と同僚に心から感謝の意を表し、暫しの別れの時が来た。それではまた会う時まで!

執筆者 朱漢強
執筆者所属 青年環境評論
翻訳と校正 翻訳:川口晶子 校正:山原由美子
メディア

http://www.greenyouther.org/page/?id=1259

 

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