2014/08/07 by Tanada

日本の自然学校 研修日記(5)――洞窟体験

富士山を愛す

初冬の富士山は、山頂は雪で真っ白だ。雪山は森林に栄養を与え、森林は河川を育み、人々は山麓のまちで生活し、厚い火山灰の上で耕作し植え付けをする。富士山の山体は宏大だが険しくなく、身近にあって親しみを感じる、まるで一人の温和な慈しみ溢れる母親のようだ。

富士山中腹の“青木ヶ原樹海の洞窟”。1200年前、付近の小火山口が溶岩を噴出し、赤色の高温のマグマで付近のあらゆる生物が溶けた。数十年の静寂を経て、この何もない黒色の大地で地衣類の苔が土壌を育て、ひらひらと飛んできた種がここで根を張り、百年経って現在の針葉樹林を形成した。生存の努力のために根を土層の希薄な岩石上に張り、木の枝は高く高く大空へ向かう。しかしこれは決して最終の状態ではない。クヌギとカエデはすでにまばらに成長し、将来はこれらの落葉広葉樹がこの地区の主になるだろう。ゆったりとした時空の中で、自然は生物たちの言葉でひっそりと変化している。

時間が造った地下世界

この青木ヶ原樹海の下に多くの洞窟があり、地底では1200年前の秘密を訴えている。Whole earth自然学校(WENS)の丁丁先生は私たちを連れて“富士風穴”という洞窟に入った。詳細な安全事項を説明されたにもかかわらず、私はやはりいささか緊張した。暗い未知の地下に入ろうとしている、何に会うことが出来るのか?恐怖と重苦しさか?

かすかな緊張の中で、列についてしゃがみながら洞穴を進んだ。暗闇の中、きらめく懐中電灯の灯りと足元の黒岩だけを見る。洞穴の奥深くに入って暗闇に慣れてくると、この“時間”で磨き上げた地下世界の鑑賞を始める。そこは、キラキラと光って透き通るような大ホールであり、頭のてっぺんの黒い岩壁には氷柱がぶらさがっていた。聞くところでは岩壁は水に浸食されないので、これで1200年前に形作った時の姿を保っているという。地面はすでに10センチの厚さの氷の層であり、地表の森林の水は岩層を透して浸み込み、地面で一つ一つ小さな氷柱を形成する。自然が一つの完全無傷の芸術品を造るように、十分な結氷時間のおかげで氷柱はひび割れや空気を含まない。時は無声だが、永久の力を持っている。

魂を呼び起こす瞬間

あらゆる人が懐中電灯を消し、息を潜めた10秒間、手を伸ばしても5本の指が見えない暗闇の中で、狭くて小さい洞穴がこの瞬間、一つの無限大の空間となった。水の滴る音が何倍にも大きくなって響き渡り、心に滴るようだった。私は、世上で最も“清浄”な音がこの水滴の音だと思った。丁丁先生は、自然の中ではたった二つの場所だけで完全な暗闇体験を持つことが出来る、という。一つは深海で、一つは洞穴。私たちは頭をのけぞらせて洞穴の壁の水の味を味わい、凍結した氷上を滑り、今このときだからこそ経験できることを一緒に経験したのである。

もうすぐ洞窟の出口という時、青色の光が上空から漏れて来た。まるで深海のような神秘と安らかさがあり、あらゆる人が洞窟の入り口でこれらの光のスポットを仰ぎ見ながら静かに立っていた。数百年前に、洞窟の中で蚕の繭を保存する人が見たのも、このような光でしょう。人類は自然の前での情感は共通であるはず。たとえ時空は違えども、たとえ目の前の世界は遠慮なく日々変わっていこうとも。

体験の魅力

 洞窟の愉快な体験は非常に楽しいものであり、洞窟にはいる時の緊張をすべて忘れさせた。ここで再び富士山を望み、遠くから眺めながら博愛の感覚を覚えただけでなく、なお真実の体験が増えた。樹林の深いところで、このような一つの洞穴があり、人類に向かって自然の神秘を明らかに示してくれたので、私たちは生まれながらにして持つ感情を再び拾い上げた。

丁丁先生は分かち合いの中で、解説員として大切なことはどのような感情を伝えたいかにあり、もし解説対象に対し感情がないなら、参加者も感じることはできず、素晴らしい体験を持つことは難しい、と話した。参加者にとって、真実の体験は非常に重要で、人はある瞬間に感動させられ、あるいは解説の魅力に引きこまれる。人に自然を理解させ、自然に対する感情をさらに多くの人に次から次と伝えるようになる、これらのふれあいの瞬間が自然の体験活動の魅力である。

洞窟で、私は深く身に染みてよくわかった。ある種の美は、身を持って体験して初めて、深く心にとどめることが出来るということを。

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初冬の富士山

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写真左:青木ヶ原樹海、写真右:洞窟の中の滑り台(橙子 撮影)

執筆者 茉莉
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:岡田由一 校正:棚田由紀子
メディア

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