2014/07/08 by Tanada

≪ソーシャル・イノベーションの星≫ 陳旭

無料の葬儀 命は愛で支えよう

推薦文:

調査によると、我が国の不治の病を患う患者がいる家庭の多くが、人づてで信頼できる医療機関を見つけることができていない。その結果、遂には医療機関が策定する治療方針に依らない、勘に頼るような方法で治療するというケースも出てきている。これはある種極端な事態――命の軽視や、消極的な治療――を引き起こす。終末医療プロジェクトは患者の心身を全方面からケアするだけでなく、患者とその家族と、医療機関との間の橋渡しや、医師と患者の意思疎通の手助け等も行う。陳氏と彼のチームがこのプロジェクトの中で演じる役は「見送り人」だ。ところが彼らは「命は愛で支えよう」というテーマにおいては、推進者でもある。――いかに生死に対峙するか?いかに理性的に死に対峙するか?いかに心清らかに生きるか?いかにもっと良い生活を送り、人生を愛あるものにするか?陳氏の理性と温情はこれらの問題を馴染みあるものにし、そして皆に、命の価値をじっくりと見直すように促している。

 20140708-1 新浪微博@光の子供

2005年4月のある日、仕事を探していた陳氏に親戚から電話が入った。「君の父親がショックを起こして昏睡状態で病院に運ばれた!」もともと彼の父親は数年前、検査で癌が見つかっていた。だが彼の父親は陳氏らに、そのことを一切隠していたのだ。医師は、残された時間は少ないと言った……。

父親の死は陳氏にとって大きなプレッシャーとなった。ひとつは、金銭面のプレッシャー。父の病により家族は借金を重ねていた上、陳氏はまだ就職していなかった。またもうひとつは、心理的プレッシャー。父親の死があまりにも突然過ぎて、陳氏は何もすることができなかった。「父は死ぬ前、心残りは無かったのだろうか?」彼は気になった。20歳そこそこの彼にとって、それは初めて直面した死であった。彼は気持ちを晴らすことができずに軽いうつ病になってしまった。

ある日、聖書の中の一節が彼の心を晴らしてくれた。「それゆえ、いつまでも残るものは、信仰と、希望と、愛。この3つである。その中で最も大いなるものは、愛である。」彼はたちまち理解した。我々の定めである死は悲しみだが、信仰・希望・愛をもつことで、慰みを得ることができる。

2009年、友人数名と共同で事業を立ち上げた。友人の中には、ブライダルコーディネートをしようと提案した者もいたが、陳氏は「結婚の際に式を挙げる人は沢山いる。であれば、死の際の儀式があってもいいのではないか」と提案する。皆笑った。しかし思いがけないことに、陳氏は既に、終末医療と葬儀を行う、命に関わる公益組織を創立しようと熟考を重ねていたのだった。

2010 年、陳氏はソフトウェア開発できる友人数名を引き込み、「命は愛で支えよう」というウェブサイトを立ち上げた。2011年末には陳氏は退職し、「命は愛で支えよう」の計画に全身全霊を投じた。

20140708-2 追想会

現在、国は主に医療機関と高齢者向け施設で終末医療サービスを実施している。だが、全国で終末医療を実施する医療機関や高齢者向け施設は150箇所のみで、受け入れ数は極めて少ない。陳氏の終末医療プロジェクトは以下を基本として進歩していくと言う。親戚友人は最後の一刻に、苦痛を緩和し穏やかな気持ちでいることだけではなく、体・心・魂の3つ全ての安息への配慮を求める。この概念はスピードを求めないので、患者の痛みを増大させたり、意味のない治療となったりする可能性がある。熟練された医療と奉仕の心で、患者の症状をコントロールすることが必要だ。

陳氏は言う。「終末医療から追想会という葬儀を執り行うまで、我々は見送り人の役に徹します。そして我々は終始、信仰・希望・愛の姿勢を貫きます。信仰・希望・愛のおかげで、我々は皆、自分の存在意義を見出し、より積極的に生活と向き合うことができるのです」。

この考えは素晴らしいのだが、推進していく過程を考えれば、あまり理想的だとは言い切れない。国内の環境が成熟していないのだ。「命は愛で支えよう」プロジェクトが展開して数年、収入は一切無く、皆、各種基金会が賛助する他の公益事業を携わることで、やっと運営を維持している。2012年、基金会賛助による公益事業が次々と終わった後、陳氏は思い切って決心した。全ての公益事業から手を引き、「命は愛で支えよう」の活動に全力を注ぐことにしたのだ。2013年、「命は愛で支えよう」と台湾のある団体が手を組み、ある有料事業を試みている。「我々は2013年、終末医療従事者を育成し、労働力を輸出することで収益をあげます。」 現在の中国で、終末医療の組織を運営していくことは非常に難しい。しかし陳氏は終末医療を守り抜いていきたいと考えている。

執筆者
執筆者所属 社会創業家
翻訳と校正 翻訳:市橋美穂 校正:棚田由紀子
メディア http://csnet.asia/wp-content/uploads/6ce108d384e3efef49169dfdb28c3542.pdf

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