2014/04/21 by Tanada

『2014 地球市民村 in 上海』に参加して

すばらしい空間を醸造し、すばらしい明日を醸造する -『2014地球市民村 in 上海』に参加した、私の感想だ。

人は、池の中の金魚のようなものだ

あちらこちらと泳ぎ回る

好きと嫌いが心の中で入り交じるようになって

ようやく家族の実感を得る

私は、上海オアシス生態保護交流センター(以下、上海オアシス)から来た環境保護ボランティアだ。友人からの情報で、今回の地球市民村を知った。2日間の会議で得られたことや感じたことがたくさんある。ここに、会議の主催者や参加者の皆さんへの感謝をこめて、私が感じたことを書き記し、皆さんと分かち合いたいと思う。

3月8日の午前、早々と会場に着いて受付を済ませると、親しい面々がすでに到着していた。冀俍に姜龍、賈さんに洪莉、思蔵と、順番に挨拶を済ませて会場に入り、塩見直紀氏の講座を受けた。テーマは『半農半Xの生活』。講演は素晴らしく、会場は大盛り上がりで、ホールには人が溢れていた。質疑応答の時間に、若かりし頃の農業経験を尋ねたところ、塩見氏は若い頃に家の農作業を手伝ったことがあると答えた。また、仕事の後は系統だった農作業を行っているとも答え、自身の理念を実践されていた。そこで私はさらに質問を重ねた。私は幼い頃から20年近く農作業に携わっており、土地や農業に対して特別な感情を抱いている。現在は都市で生活しているが、ここ5年ほどは仕事の傍ら環境保護ボランティアの活動もしている。こういう生活は、まさに塩見氏が提唱している生活様式の、もう一つのモデルではないか?と。塩見氏の講座でこのような共感と収穫を得ることができ、本当に感謝している。

そのすぐ後の講座は『真人図書館』(訳注:Living Library 書物ではなく、実際の人物と交流することで、自身の見識を深める活動)で、林耀国(訳注:台湾・荒野保護協会の創立者)氏と高木晴光(訳注:NPO法人ねおすの理事長)氏による自然教育に関する意見交換会だった。ただ、私が時間に余裕がなかったので、開始時刻を待って談笑している参加者たちを二度も遮って、時間の無駄だからさっさと始めようと声を掛けてしまった。本当に失礼な話で、ここで改めてお詫びしたい。林氏は穏やかで上品な感じの人で、講演が進むにつれて皆が同じような風格を帯びるようになった。これは勉強になった。質疑応答の時間に、林氏に早くから環境保護事業に携わるようになったきっかけは何かと尋ねた。だが、私の聞き方がまずかったのだろう、林氏は少し誤解されたようだ。林氏が大学で専攻したことについて聞いたところ、私が何か探りを入れようとしていると疑われてしまったのだ(笑)。そんなつもりは全然なく、言い方が不十分だった所については、林氏の理解を求めた。すると林氏は、どういう経緯で環境保護方面に足を踏み入れることになったのかを私に教えてくれた。その教えは大変有益で、収穫大だった。ありがたいことである。荒野保護協会の理念にはもう触れていたので、生活面でも試しにやってみたこともある。今日、その理念の発起人と提唱者に会い、顔を付き合わせて交流できて、とても楽しかった。心から感謝したい。

林氏の後は、高木晴光氏との意見交換会だった。高木氏の仕事内容は豊富で、子ども向けの自然教育の他、年長者向けや障がい者向け、精神障がい者向けなどもあり、非常に感服した。高木氏は、少子高齢化や経済発展による変動といった、日本の社会問題に焦点を当てて討論し、どうして自身がそういった分野に足を踏み入れたのかや、今後の業務対象の開拓について説明した。高木氏は本当の本当に誠意のある率直な人で、意見交換会の最後に「空間を醸造する」という概念について触れた。これこそが、今回の地球市民村での最上かつ最高の収穫だった。高木氏は、30年近くに渡る教育活動において、様々な方法を学び、各種理論を手本としてきたが、2年前に、自らが感じ悟ったことを論理的にまとめ要約した。それが「空間を醸造する」という言葉だ。これは通訳された言葉なので、もっとぴったりな中国語があるはずだ。「空間を営造する」とか「空間をデザインする」とか「空間を作り上げる」とか。だが、ぴったりで正確な訳語というのは堅苦しく融通のきかない表現になってしまいがちで、やはり「空間を醸造する」と言った方が言葉の持つニュアンスを表現できる。なので、私は「空間を醸造する」の方が好きだ。通訳を担当した李妍焱教授に感謝したい。

「空間を醸造する」という概念は、時間という基本的要素に次いで、空間という要素が人の自由度に占める割合が非常に高い点を重視している。これは、私が「空間を醸造する」という概念を掘り下げて理解した結果だ。高木氏は、自分が発見したこの概念を一生懸命に説明していた。おそらく高木氏は気付いてないだろうが、誠実で率直なその態度に、会場にいた私のような人間が、この課題について大いに共感していたのである!高木氏自身が理解していることは、心を込めて醸造された空間では、そこにいるだけでリラックスでき、自由な気持ちになり、何物にも囚われなくなり、結果として積極的に相互に影響しあう効果が自然と生まれる。これはまさに偉大な発見であり、教えてくれた高木氏に心から感謝する。

パワーポイントによるプレゼンが子どもの統合失調症の問題に及んだので、質疑応答の際に、効果に対する評価などのデータといった、具体的な裏付けを示してほしいとお願いした。だが、高木氏の回答は内容が難しかった。直接見聞きして感じたことから判断しているという。質問した相手が悪かったようだ。もし同じ質問を高木氏の友人の医者、とりわけ児童の心理や行動の矯正に従事している医者にしていたら、もっとよかっただろう。

時間の関係で、午前のイベントにしか参加できなかった。午後1時前に午前の活動が終了するのだが、それよりも前に会場を後にするしかなかった。午後と夜のプログラムには参加できず、大変残念だ。

(4月2日に注釈として追記):夜のキャンプファイヤーは、上海・青浦の岑卜村で行われた。上海オアシスには「オアシス・エンジェル(緑天使)」というプログラムがあるが、まさにそのキャンプファイヤーでそのプログラムが実施された。私はオアシス・エンジェルでボランティアをしており、毎回キャンプファイヤーが燃え尽きるまで参加し、その側で子ども達とサッカーに興じたこともある。

幸い、二日目の3月9日は全日、基本的に会議に参加できた。時間の余裕はなく、大変忙しく、でも充実した一日だった。中野氏のワールドカフェが「醸造」した、リラックスした雰囲気の中、私はたくさんの人と友達になった。意見の食い違いも少々あったが交流も持て、私自身の認識がさらにクリアになったので、本当に収穫大であった。大脳を長い時間フル回転させると、人はいささか興奮状態に陥るものなので、言葉足らずになることがあるかもしれない。予めお許しを願いたい。頭の中は様々な見方でいっぱいで、記録も書けるだけ書いたが、すべてを消化するにはまだまだ時間が掛かりそうだ(苦笑)。

午前の内容は、主に新しく友人ができたことと、3つの問題を巡って討論を展開したことだ。私は第9テーブルでグループ長としてテーブルに残ることとなったので、席替えの度に全員が発言できるようにし、時間を守りながら問題に関する見方をはっきりさせるよう努めた。どの人も発言したいと思いながら耳をそばだてて、辛抱強く他の人の発言を聞いていることに気付いた。そこで、異なる立場や異なる観点、異なる利益の追求を一カ所にまとめるようにした。また、どの人も自分の智恵を出し合いながら力を合わせたので、新しい考え方が自然と形成された。ひとりの力は弱くとも、まとまった力は偉大となる。討論に参加したメンバーに感謝し、メンバーによる智恵の分かち合いや貢献に感謝したい。

最後に、グループを代表してその場で3つの問題に解答するチャンスを得た。私は、この3つの問題は有機的に不可分な存在だと考えているので、自分たちの討論の結果を整理してフィードバックした後、この点に関して相対的システムの面から回答した。理解の程度は十分ではなかったかもしれず、偏った面もあったかもしれない。お許しを請いたい。

3つの問題とは、(1)環境問題についてどう考えているのか、それぞれの観点から討論する、(2)東アジア諸国の環境問題の間に、どのような関連があるのか?(3)個人でできることは何か?である。

私たちのグループの討論をまとめたところ、この3つの問題に対する回答は次のように分けられる。

(1)  時代が変化している中、この問題に対して臨機応変な対応をする。物事は極点に達すると必ず逆方向へ動く時が来るので、機を見ることが重要である。問題に対応するモデルの問題がある。個人の健康問題など、切り口も重要だ。

みなが一般的に関心を持つのは、まず自身の健康であり、それから他人や環境に関心を抱く。これは合理的なロジックだ。善良な意思や貢献、思いやりの心、時間、体力や気力なども当てはまる。

(2)  地縁が元となって、東アジア諸国間の関係は密接である。中国の大気汚染スモッグが日韓の国民の健康に影響を与えている可能性があるのと同様に、日本の地震が原因で中国の食塩が品切れになっている。

(3)  会議に参加したメンバーは皆、環境保護事業に関わることを目的としていたので、自身の強みと関連させながら自分のモデルを築き上げ、持てる力を最大限に発揮して物事を進めることができた。

午後の内容は、ワークショップ形式で行われた。自分でテーマを設定し、自主的に討論し、2つのセッションに分かれて進められた。私のテーマは「農業におけるリスクについて」で、第2セッションになった。

第1セッションでは、私は13番目のテーブルに参加した。テーマは「コミュニティ(社区)でどのようにして環境教育を展開していくか」。討論の結果は、このようになった。もし私たち全員が社区の住民だったとしたら、「パパ同盟」や「ママ同盟」のような親子による活動から考え始め、ゴミの分別や親子ゲームなどの社区の環境に対する需要の分析に入る。そうすることで空間が醸造され、活動の時間形式などが相対的に固定化される。それから作業を分担して協働体制を作り、内部資源と外部資源を合体させることで資源を引き入れる。ここからが具体的な実施段階で、発展的な段階へ繋がっていくのである。最後には、加減乗除に帰納する。加(足し算)は環境親子教育、減(引き算)は家庭ゴミの減量、乗(かけ算)は資源の合体、除(わり算)は。それぞれの活動を通じて、家庭内の生態問題を改善し、社区の生態改善につなげ、最終的には個人の生活における生態改善という目的を実現するのである。

第2セッションでは、私は第1グループに入った。「農業におけるリスク問題」に対して興味を持つ人は少なく、たった3人の女性が参加しにきただけだった。この状況は悪くない。あと南京から来た女性も討論に部分的に参加してくれた。彼女たちに深く感謝する。私たちの討論は2つに分けて進められた。ひとりの女性が屋上菜園の設計と開発に関する仕事に従事していたので、屋上花壇のリスク制御と市場の開発に関して重点的に討論した。もう1つは私のテーマで、実はこの2つのテーマは内容が関連し合っていたので、矛盾することはなかった。

屋上花壇のリスク管理は、漏れ防止や荷重容量を無視するといった工程上の技術問題があるが、私たちは外来種の侵入を防ぐといった種の質に関する問題を重点的に議論したり、多様性に考慮した栽培や雑草について考えたりした。他にも、昆虫や鳥といった生態を再構築することや、天気予報を常にチェックするといった天候の変化が与える影響について議論したり、台風や増水の被害を避けるための事前の対策や、農薬と土壌の問題について議論したりした。それからようやく屋上花壇の市場の開発について議論したのだが、実際は自分のモデルを探し、着実に活動を推し進めていくだけで十分だった。

次に討論したテーマでは、遺伝子組み換えといった種の質の問題、農薬や化学肥料やマルチフィルムといった耕作技術、洪水や旱魃、低気温や台風といった気候の変化、取引量と取引価格の乱高下といった市場の揺れ等について、重点的に討論した。具体的なリスク制御については、できることはあまり多くなく、大部分は常識からヒントを得られるような局面で留まっていることが分かった。この方面で予見できる作業を強化していくことが望まれる。私たちが思いつくものは、政策による先導や先物取引、保険、計画的な種植え、会社の設立といった、相対的にややマクロなものだった。

今、この問題を討論する必要があるのは、世間の有機農業に対する興味が高まっているからなのだが、リスクに対する意識がある人は少ない。実際、農業はリスクが相対的に高い業種だ。このテーマについて討論した理由の一つ目は、リスクに対する注意喚起をしようと思っているから。二つ目は、農業のリスクに対応する上で、日本がどのような制度面での保障をしていて、それについて相談し参考にできるかをよく知りたかったからだ。今回の討論は芳しくなかったが、今後はこの方面の情報を得られるようにしたい。

時間に限りがあったため、ワークショップが終わった時点で、会場を去らなければならなかった。その後に行われたパフォーマンスや総括には参加できなかったので、本当に残念で申し訳なかった。ただ、得られたものは大変大きかったので、今回の地球市民村で得られた気づきや収穫を今後の仕事における参考にしていきたい。さらに重要なことは、本当に多くの友人が環境問題に対して強い関心を持ち、自身の心理状態を平らかにして、努力すれば収穫が得られ、積極的に臨機応変に対応していけば物事を変えられると信じている姿を目にしたことだ。

その他、こぼれ話:

(1)  塩見氏に詩歌を送った

《秋の収穫》

野草がアシの野辺に生えていることは言うに及ばず、昼間の空模様もはっきりしない。

二羽のコウライウグイスが果樹園に向かって低空飛行し、ハトの群れが青空高く横切る。

車いっぱいのサツマイモに足取りも軽く、青々と茂る麦の苗に心が躍る。

親子はずっとお喋りをし、村の市が立つ場所で煮炊きする煙が上がっていても気付かない。

 

この詩歌が描くのは、私がこれまで従事してきた農耕の一場面だ。

上海の魯迅公園では、俳句を一句。

 

キョウチクトウ

落ちる花の美

春の池

 

もっとも、模倣で作った俳句だが(笑)

詩歌を送った目的は、塩見氏の講座で使われたパワーポイントで、90歳の老婆が詩歌を嗜んでいた様子が紹介されたのを見たからだ。できることなら、私が作ったこの2つの詩歌をその老婆に送り、挨拶としたい。

(2)  通訳した際に発生した2つの問題。1つは「半農半X」で、私の翻訳は「半分は農家で半分はX」。もう1つの言葉は「引導者」で、これは「推進者」に置き換えられると思う。私の英語力はひどいので、こういうことを言うのは身の程知らずかもしれない(苦笑)。

地球市民村に対する提案:

それぞれの部門で論文を作成し集結してもらえないだろうか。参加者と論文の交換が可能かどうか判断してほしい。もちろん、ここに収められる論文は比較的に広い範囲に渡る論文であり、専門家による論文とレベルにおいて差があるだろう。必ずしも出版物にする必要はなく、電子化した論文であればよい。

最後に、改めて今回の活動の発起人や主催者、参加者、推進者たちに感謝したい。皆の力が結集したことで、私は今回のチャンスを得て学習し分かち合え、多くの人と友達になれた。次回の地球村が滞りなく進行し、会議によってすばらしい空間がもっとたくさん醸造され、すばらしい明日が醸造されることを、そして東アジア地域の環境保護事業の発展を推し進めるために並々ならぬ貢献をしてくれることを願っている。

執筆者  秦有
執筆者所属
翻訳と校正 翻訳:棚田由紀子
メディア

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