2014/03/14 by Tanada

「東アジア地球市民村 2014」上海にて開催

宇宙から見た地球には国境など存在しない。だが実際には、各国が抱える問題が互いに影響し合っており、これらの問題に対して独りよがりでいられる国は無い。

地理的に近接している東アジア諸国は尚更そうであり、環境汚染、食品の安全問題、気候変動など、共通した多くの問題を抱えている。近年では、中国の大気汚染問題が日本と韓国の人々の生活に深刻な影響を与えているが、これなどは大変分かりやすい例だろう。その他にも、一見それほど明らかに社会問題化していない問題が、それぞれの国同士と結びついている。これらの問題について反省している今この時に、東アジアの国々では「草の根」の組織や個人がどんどん現れているのだ。都市の至る所で開かれている小規模農家の市場や、半農半Xを実践するUターン青年、「特別な」教育方法で子ども達の心を育てる自然学校、希少な動植物を保護する学者、フルタイムの仕事をしながら余暇の時間を使って社会奉仕活動をする都会のホワイトカラー層、自分たちの購買力を生かして環境保護活動を実践している専業主婦など、それぞれの活動領域は千差万別で、一見「少数派」に見えるが、彼らはみな「行動こそが理想的な最高の証明である」と考えている。また彼らは、自分たちの選択が社会と環境の未来を変えていくと確信している。

日中市民社会ネットワーク(CSネット)と日本の一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストが共同で開催した「東アジア地球市民村2014」の当初の目的は、こういった分野で頑張っている人達が一同に会し、それぞれが互いの存在を知って、より深くつながりを持てるようになることで、互いに手を携えながら更に邁進していけるようにすることだった。3月8日から9日にかけて上海の古北市民センターで行われた今回の活動は、成功裏に幕を下ろした。

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展示ホールに設けられた、参加団体の紹介コーナーや図書コーナー

今回が初めての試みであったため、主催者は今回の活動を「第零(ゼロ)回」の東アジア地球市民村と称していた。将来は、このような活動を毎年実施し、東アジア地区の「地球市民村」ネットワークと情報交流のプラットフォームを構築し、国境を越えたコミュニケーションをもっと深めていきたいと、主催者は語っている。

幸いにも「東アジア地球市民村」のすべてのセッションを見ることができ、積極的に社会を変えていこうとする参加者たちの心と情熱に深い感銘を受けた。「第零回」にも関わらず、今回のイベントは大盛況で、中国・日本・台湾から、さまざまな業界に従事する200名以上の参加者が集まった。中には、会場の近くに住んでいて、面白そうだから参加したという人や、地元の上海でこのような活動をしている人もいたが、ほとんどの参加者は遠路はるばる足を運んで来ていた。

地球市民村の由縁

「東アジア地球市民村」の発起人は、作家・翻訳家・環境活動家である星川淳氏(日本)だ。彼はかつて国際環境保護団体「グリーンピース」日本事務所の責任者であったが、後に一般社団法人アクト・ビヨンド·トラストを設立した。「半農半X」の著者である塩見直紀氏は、星川氏の著作に感銘を受け、自身の半農半Xを探求し始めることとなる。

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挨拶を述べる、主催者の一人、アクト・ビヨンド·トラスト理事長の星川淳氏

オープニングセレモニーで、星川淳氏が参加者に「東アジア地球市民村」の由縁を説明した。星川氏は30年前からすでに日本の世界自然遺産である屋久島に移住しており、屋久島で「半農半著」を実践し、農作業しながら作家活動や翻訳活動をしていた。彼の話によると、3年前に一般財団法人ビヨンド·トラストを設立したという。周知のように、冷戦が残した多くの問題のせいで、東アジア諸国の関係はまだ理想的ではない。しかし星川氏は、民間の連携は非常に重要であると考えている。そのため、東アジア諸国の民間人が環境面で交流し協力していくことが、アクト・ビヨンド·トラストの3つの主要分野の一つとなっている(他の2つの領域も環境に関することで、農薬の濫用防止、クリーンエネルギーの利用促進、反原発などがある)。

設立当初、アクト・ビヨンド・トラストは東アジア環境交流の分野でエコツーリズムに注目し、世界自然遺産である日本の屋久島と中国の三江併流地区を結んで地域経済を持続可能な形で発展させるための活動などを展開した。星川氏は、今年はこれらの活動が更に発展する節目の年に当たると考えており、「東アジア地球市民村」を始めた理由でもあると説明した。

「地球市民村」という名称は、中国人にとってはまだ馴染みのないものだが、日本では比較的浸透している。ここでいう「市民」とは、どこかの都市に住んでいる住民を指すのではなく、積極的に社会を変えていこうとする高い意識の持ち主を意味している。「地球市民村」と呼ぶことによって、国境のない集まりであることも強調される。もう少し踏み込んで言うと、「地球市民」はヒトだけでなく、ヒト以外の生態系全体の生き物も含まれているのだ。

星川氏は、米国の先住民族についても造詣が深い。氏は、米国の先住民族の教えの中で最も重要なものは「すべての生命は平等である」で、東アジアのすべての民族の伝統文化にもそのような教えがある、と述べた。20世紀以来、物質面の発展を過剰に追求してきたため、人々は徐々に「母なる地球」を忘れてしまった。今こそ、もう一度伝統を見直す時である。

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オープニングセレモニーの司会と全セッションを取り仕切る、主催者の一人、日中市民社会ネットワーク(CSネット)事務局長の朱惠雯

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「半農半X」について解説する塩見直紀氏(写真左)と、通訳を務める日中市民社会ネットワーク(CSネット)代表の李妍焱(写真右)

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オープニングセレモニーの様子

「半農半X」について、著者である塩見直紀氏は、オープニングセレモニーで40分以上かけて説明し、参加者は「半農半X」の生活様式について活発に議論した。また、台湾の「大地旅人」環境作業部門の責任者や、台北の樸門永続設計学会(Taiwan Permaculture Institute)理事長の江慧儀、上海WWFのプロジェクトリーダー任文偉を始めとする面々も、オープニングセレモニーでスピーチを行った。

イベントや活動

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展示ホールでは、ナチュラルファーマー(自然農法実践者)の賈氏が精魂込めて並べた特別な展示物があった――「川の現在と未来」がテーマの絵画展で、描いたのは小学1年から3年までの小学生だ

3月8日の午前から午後にかけて、様々な分野から参加したゲスト達が、大規模な共有セッションやワークショップを実施した。ゲストには、北海道・ねおす自然学校の理事長である高木晴光や、やさい村・自然食品店の発起人の大友映男、北京・自然の友の副総幹事である張赫赫、農村エコ建築家の任衛中、paddy film farmの責任者の毛晨雨などがいた(その他のゲストについては、ここを参照)。共有セッションのテーマは、非常に多様性に富んでおり、参加者が「よりよい世界を作る」可能性について考えるきっかけを与えていた。

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岑卜村を訪問

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岑蔔村の生耕農社にある自然教室内のコーナー

同日の午後4時、100人以上のゲストと参加者は車で、上海市青浦区金沢鎮にある岑卜村を訪れた。岑卜村は台湾の雑誌《有機志》で紹介されたこともある有名なエコ&ロハスを目指す文化村で、健康と環境保護に関心のある多くの都会人がここで農地を借りて耕作したり、農作業を体験したり、自然教育カリキュラムを受講したりしている。岑卜村の小さな橋や川や人々を見ると、豊かな歴史や文化の細やかさが滲み出ている。これらの「新農民」が享受している自然や農耕も、十年一日の如く守られてきた古くからの土地の上に成り立っているのだ。我々は、上海オアシス生態保護交流センター(Shanghai Oasis Ecological Conservation and Communication Center)の生耕農社と自然教室に参加し、その他にも近隣の農園を訪れたりした。星が煌めき、月明かりに照らされた夜、中国・日本・台湾の「地球市民村」の村民たちは、温かいキャンプファイヤーを囲んで「地球の民」を歌い、大自然を賛美する「大地・水・日・風・空のダンス」を踊った。

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岑卜村の生耕農社のステージ前でキャンプファイヤー;夕暮れにスタートしたが、結構たくさん集まった。夕食後は、岑卜村に来たメンバー全員でキャンプファイヤー。

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オープンスペースディスカッションの様子

8日の活動が、それぞれの業界から来た素晴らしいゲストの経験交流に重きを置いていたとするなら、9日はすべての参加者が丸一日ブレーンストーミングをした、ということになる。「ワールド·カフェ」の対話プロセスにおいて全員が「自分が関心を寄せる環境問題」や「東アジアの環境問題」、「自分たちにできること」について、意見を述べ合った。その後のオープンスペースディスカッションでは、参加者がさらに20名以上増え、自分たちが一番関心を寄せる問題を提起し合ったため、全体として議題が非常に大きなものとなった。その中には「自然教育を行う団体をどのようにして発展させるか」や「中小規模の生態農場の抱える問題点」、「消費者による共同購入について」、「食育の方法」等々があった。オープンスペースディスカッションは、1回2時間で2回行ったが、各自グループに分かれて円になって座り、すべての議題について一定の結論が出された。時間は短かったが、このような新しい考え方を呼び起こす対話方式によって、目的を同じとする仲間を見つけることができた参加者は多かった。

主催者の一人、アクト・ビヨンド・トラストの理事長である星川淳氏は、将来、東アジア地区で情報交流と展示ができるネットワークのプラットフォームを構築して、ボランティアが翻訳・校正といった作業ができるようにしたい、またこのプラットフォームが、地球や持続可能な社会に関心を寄せる人々と団体が交流するための絆になるようにしたい、と語った。具体的な形は現在構想中だが、このようなネットワークプラットフォームが民間の実際の要求にぴったり合致することを信じている。東アジア諸国の文化は古来より相通ずるところがあるので、言葉の壁を破り、情報がよりスムーズに流れるようにすれば、民間レベルでの積極的な行動が互いの手本となるだろう。また、(そこから生まれる)プラスのエネルギーの影響力によって、ますます多くの映画関係者の耳目を集めるだろう。

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心を動かす自然の音楽を演奏する、日本のミュージシャン、チャーリー宮本

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上海・農好農夫市場による「地球市民村・特別市場」、古北市民センターでも実施

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展示ホールにて、「需要と供給」掲示板と伝言板

執筆者  Jing
執筆者所属 有機会 http://www.yogeev.com/
翻訳と校正 翻訳:棚田由紀子
メディア http://www.yogeev.com/article/47145.html

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