2014/03/11 by Tanada

日本の自然学校 研修日記(1)

食物への感謝

自然学校の研修で日本へ行く前、私は自身が日本の生活にかなり適応できるだろうと思っていました。飛行機がまもなく着陸しようとする時、地上に整然と広がる田畑や、赤・黄・緑に染まった丘が見え、そこに秩序ある美しさを感じました。自然学校に到着すると、日本での初めての夕食が始まります。夕食前にFancy(訳注:日中市民社会ネットワーク、CSネットの事務局長)が、日本語の「いただきます」という言葉は、表面的な意味のほかに、食物に対して感謝しそれを受け取るというより深い意味が込められていると教えてくれました。楽しく夕食を食べ終わった後は、「ごちそうさまでした」と言い、私たちにご飯を準備してくれた人と食物に感謝をします。このような習慣の中には、受け入れ、感謝するという意識があるのです。

多くの団体の活動にも、食物に感謝する習慣があります。例えば、自然之友、香港自然学校、元気ランチパーティ、魔法猫手工坊(Magic cat)などでは食事の前に感謝し、各自の食べ物を分け合い、食物の由来を紹介したりします。時間が経つうちに、子供は感謝し分かち合うことを習慣とし、意識しながら食物との関係を築いていくのでしょう。

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「私は空からやってきた」

一日目の夜と二日目は「風と土の自然学校」で過ごしました。そこは梅崎さんの家でもあり、彼はそこを「個人経営型」の自然学校と位置付けています。家族で経営しているので、毎日の生活が自然学校を中心としたものになっています。一家三人で約13アールの耕地と野菜畑を栽培し、普段は対外的に農業体験活動を行い、地域では「饅頭を作る会」を組織し、地域コミュニティとの関係も深めています。

梅崎さんの娘、熙甲ちゃんは3歳9か月です。梅崎さんは、教育は自身で行う事であって、幼稚園にお金を払って教育してもらうのはおかしいと考えており、また娘と一緒にいるのはとても楽しいので、娘の教育は家庭で行っています。普段、熙甲ちゃんはお父さんについて一緒に田畑に行って遊んだり、地域コミュニティの他の2人のお母さんと森林活動を行ったりしています。熙甲ちゃんの遊び道具はほとんどが自然のもので、木製の小さい電子レンジや、かまど、小さいお椀やお皿など、すっかり小型のキッチンのようです。梅崎先生が講義をしている時は、熙甲ちゃんは階段でぬいぐるみと遊んだり、お母さんに助けてもらいながらみんなにお菓子を出したりと、とても落ち着いた女の子です。

夕飯の時に熙甲ちゃんの不思議な話を聞きました。梅崎さん夫婦は娘が3歳前後の頃、つまり基本的な言語表現能力はあるものの、まだ外からの情報という名の攻撃を受けていない頃、自分の由来を話せたと言うのです。熙甲ちゃんがもうすぐ3歳になろうとしていたある日、絵本のなかの子供を見て、「私はお母さんのお腹の中から来たの。お母さんのお腹の中は紫色で、私の眼は閉じていたの」と話したそうです。梅崎さんの奥さんが少し興奮していると、熙甲ちゃんはまた、「私は空の上で一人で遊んでいたけど一人が寂しくて、お母さんも寂しかったから、私はやってきたの。空とお話もしたよ、言葉はなかったけど、でも私たちはお話ししたの」と言ったそうです。

私は、これは熙甲ちゃんがまだ彼女自身の「天性」を持っていて、外からの情報の攻撃を受けておらず、また両親が立身出世の期待をかけることや、学校が知識を教え込むこともなく、あるがまま自然に成長させたことで、このような天性を残すことができたのだと思います。

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家を建てるのか教会を建てるのか

「風と土の自然学校」にいる間、梅崎先生は日本の自然学校の発展の歴史や、機能、類型などを紹介してくれました。その中で、自然学校の強みは「体験活動+社会問題」だといいます。国内最大の自然学校Whole Earthですら常勤の職員は30名だけで、政府や一般の企業と比べると規模はとても小さいのに、社会問題の解決に貢献できるのでしょうか?実際、3・11地震の時、自然学校ネットワークの基礎のもとRQ市民災害救援センターが設立されて救援活動に従事したり、ボランティアが地域コミュニティで竹林整理活動を立ち上げ、速く成長する竹を伐採してもとの生態を維持し、地域の活力を取り戻したりしています。また、すぐに成果が見えない社会問題もあります。たとえば、北海道には荒廃した土地があり、ある活動を通じて旅行者にそれを知ってもらい、現地の土地問題を考えてもらおうとしています。

社会問題にも様々な角度があって、大きいものや小さいものもあり、厳格な定義はありません。肝心なのは、社会問題を解決する意識があるかどうかです。梅崎先生は例を挙げて説明しました。道端でれんがを積み重ねている人を見かけて、何をしているのかと尋ねます。ある人は「家を建てているのです」と答え、またある人は「教会を建てているのです。これから、地域の人はここに来て活動でき、人々の結びつきを強くすることができます」と答えます。出発点が違い、意識や方法が違えば、外の人が受け取る情報も変わり、効果も違ったものになるのです。

自然体験活動も同じで、持続可能な社会を創っていく意識があるかどうかで、全く変わってきます。私たちは路上の自然学校を歩いていて、解決すべき社会問題が既に明確になっているでしょうか、また自分がその中で果たす役割と道のりはどうでしょうか?

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日本の自然学校について

現在、日本にはある程度の規模を持つ自然学校が約3000カ所ある。このような自然学校では、良質な環境教育や自然体験できる様々な活動を実施できる場所(屋内施設や野外活動場所)を有している。専門の指導員やプロジェクト実施スタッフがおり、自然体験や環境教育をメインテーマとした各種プロジェクトを、年間を通して実施している。

日本の自然学校では様々な分野や業種(コミュニティ、企業、NGO、産業、文化等々)が連携して活動しており、地方のコミュニティでは特色あるプロジェクトや人材がとても豊かで、コミュニティに活力を与えている。今後、日本の自然学校は日本社会に多大な影響を与えることだろう。

作者プロフィール (茉莉)

自然教育センター カリキュラム主管。西南林業大学生態学修士。修士課程の院生時代は、2007年~2011年に民間の環境保護団体であるグリーン昆明(緑色昆明)での実習や、市民・家庭・子ども向けの自然体験活動を企画するなど、数多くの社会的実践に参加。地元の自然教育センターに入る前は非営利団体である Winrock International に勤務、非営利組織の組織体力の向上に従事した。2013年11月末に、自然学校研修のため2ヶ月間日本に滞在した。

執筆者 茉莉
執筆者所属 自然教育センター(中国)
翻訳と校正 翻訳:深江亜由美 校正:山原由美子
メディア http://blog.sina.com.cn/s/blog_b31740680101anbs.html

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