2014/03/11 by Tanada

岷県地震の巡回リハビリテーション支援プロジェクトに関する所感【前編】

悲しみの涙にあふれて

7・22県地震による重傷患者への巡回リハビリ支援プロジェクトに関する所感

「私達の務めはほぼ終わりました。恐らくもう来ることはないでしょう。どうぞお大事になさって下さい。本日、岷県中医院のリハビリ科の斉先生も来られ、電話番号を残してくださったので 、今後は斉先生を通じて整骨科の先生に連絡が取れます。時期を見計らって、岷県中医院にお越しください。頭のコルセットを外してもらえます」。10月26日の早朝、私は甘粛省岷県で起きた7・22地震の重症患者である郭●占(●は乃の下に小)さんとそのご家族に関連事項を伝えた。

郭●占(●は乃の下に小)さん(女性、漢民族、67歳)は甘粛省岷県禾駄郷拉路村一社の住民で、7・22地震では住宅の倒壊により左の第2、7肋骨を骨折、右腿を外傷、頸椎(2、3、4)を骨折した。更に原発性の高血圧もあり、蘭州陸軍総合病院で治療を受ける一方で頸椎骨折用コルセットハローベストの装着手術を受け、20日後に退院した。
頸椎骨折は深刻な創傷性の外傷であり、症状は重く複雑で、心身共に致命的な傷を負い、生涯に渡り障害が残る場合もある。ハローベストは主に環軸関節の脱臼の際、一時的に固定するのに適用され、骨のずれがない頸椎骨折は固定することにより癒合する。
ハローベストのボルトは直接体外と繋がっているので、患者には痛みが伴う。睡眠時には頭部に浮遊感が生じ、睡眠障害を引き起こす。震災が原因ということもあり、患者の精神状態も芳しくない。
7・22地震では建物の倒壊により多くの住民が重傷を負ったが、負傷の箇所や程度は各自で異なった。また各重症患者は、一部は中短期で全治する一方、生涯に渡り障害が残る人もいる。震災により被災した住民の一部はPTSDを発症した。その主な症状として、悪夢に悩まされる、性格が激変する、情緒不安定、麻痺感(感情の上での禁欲或るいは疎外感)、不眠、逃避から引き起こされるフラッシュバック、カッとなりやすい、過度な警戒心、記憶喪失や恐怖感などが見られた。

民和障害者医療リハビリテーション保健センターは青海省の草の根NGOとして、医療リハビリテーションの専門部門と連携し、5・12四川大地震、青海地震、雲南省盈江(えいこう)県地震や甘粛省の舟曲(しゅうきょく)土石流災害などの支援に参加してきた。これらの被災地はNGOの所在地から遥かに遠く、最も近い場所でも1000キロ以上は離れている。

岷県地震の避難所設置や復興作業に参加するかどうかについて、NGO内では激しい議論が交わされた。資源不足、ハイリスク、人材不足などが岷県に支援に行けない理由として挙げられた。最終的にセンターの責任者が多くの反対を押し切って、岷県への支援参加を決定した。方向性は「地震による重症患者の巡回リハビリテーション支援」と確定し、積極的な参加を通してセンターのリハビリテーション能力の向上を目指した。テント内外での外傷(或いは術後退院した)患者には、あらゆる医療やリハビリテーションのアクセシビリティ(訳注:支障なく利用できること)がないことを考慮し、巡回リハビリテーションの援助や社会福祉的なリハビリサービスをタイムリーに提供しなければいけない。また全面的なリハビリテーションや家庭の復興が進められるよう、長期に渡る持続可能なコミュニティでのリハビリテーションや付添いサービスを提供していく。今回実施する支援活動は試験的なプロジェクトの基礎として、今後も絶えずこれらの経験をまとめて行くこととしている。今後同様の災害が発生した際は、資源の確定後に、被災後のリハビリ支援がイノベーションの性格を持った常態となることを目指している。そして被災した中での最弱者層に注目し、最弱者層の社会福祉を再建することや、異なる地区で異なる災害が発生した後にこの支援モデルを倣い、より多くの人が利益を受け、震災後の民家やコミュニティへの巡回リハビリ支援が常態となることを目指す。今回の参加における達成目標として、最終的に次のようになった。重度被災地である3つの村が必要としているリハビリ援助と紹介された在宅リハビリをしている外傷被災者を調査すること、リハビリに関する文書の作成、文書作成した在宅リハビリの外傷被災者に対する訪問指導、専門医療による社会福祉的なリハビリテーションや紹介である。

専門性との連携の特徴としては、地震発生後1週間、民和障害者医療リハビリ保健センターが、岷(ミン)県の重症被災地の重症患者の調査に着手した。8月25日、退院して帰ってきた郭さんと拉路村で会った時、彼女は雑草で覆われた簡易テントでの生活を余儀なくされていた。彼女は非常に苦しんでおり、かなり気落ちした状態で、情緒不安定だった。涙しながら、テント不足と逼迫した生活のことを話し、更に負傷による頭部の痛み、手のしびれ、睡眠障害や栄養不足など、深刻な被災状況を訴えた。

郭さんの胸部と頭部に固定されたハローベストは見るからに厄介な「ウドの大木」で、煩わしいことこの上なかった。実際、ハローベストはここ数年新たに登場したシンプルかつ固定力のある医療機器であり、骨折した箇所の修復・固定する効果がある。しかし、その分患者への苦しみの負担は見て明らかだ。ハローベストの固定にはおよそ3か月の期間が必要であり、郭さんはそれだけ長い期間苦しみに耐えなければいけない。震災後、重症患者の栄養状態は悪く、悩ましいことにこのコルセットを外すのに更に1千元(約1万7千円)余りの手術費用を負担しなければならないという。この費用は震災前から元々貧困状態だった家庭にとっては小さくない経済的負担であり、患者の家族は気が気でない。だからこそ、私たちは資金のサポート不足に関わらず、絶えず深く関わって行かなければならない。

幸いなことに、私たちのプロジェクトは中国扶貧基金会定西公益同行社区のパートナーシップ計画のサポートを得ることができた。南部公益基金会にも支援の手を差し伸べて頂き、人材や交通費の提供を受け、3か所の村から6か所の村にまでプロジェクトの範囲を広げることができた。郭さんの村もちょうど拡張したプロジェクト対象の村に入っていた。

一度始めたらもう後には戻れない。資金が確定したら、今度はリハビリ技術が新たなネックとなった。そんな時、幸いにも香港リハビリテーション会の国際・中国部の高級経理である黄衛平さんとコンタクトを取ることができた。黄さんは私達からのメールを受け取った後、民和障害者医療リハビリ保健センターの活動に感心し、震災による重症患者に対するリハビリ医療援助不足の補てんに協力して下さった。また黄さんはリハビリ支援へ参加できるよう時間を調整し、より多くの専門家を現地に派遣し在宅のリハビリ指導とサービスの提供に協力して下さることにもなった。

(後編へつづく)

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翻訳と校正 翻訳:白石美津子 校正:友藤麻美
メディア

NGO发展交流网《災害管理》

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