2014/02/13 by Tanada

国内初「赤ちゃんポスト」に潜入調査:捨てられた赤ちゃんに温もりのある「家」を【前編】

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ここは世界一小さい「島」ともいえるだろう。面積はわずか数平米と一目で見回せる広さで、中にはベビーベッド、新生児用保育器、そしてエアコンが一台ずつあるだけだ。明るくすっきりとした小さな花柄の外観が、日光にあたると落ち着いた印象を与える。しかし、ひとたび夜になれば、同じ場所で不定期的に出会いと別れの悲喜交々な人間ドラマが繰り広げられるのだ。

以前、民政部は、全国各地に現地の状況に応じて「赤ちゃんポスト」を設置するよう指示を出した。そして、石家荘市児童養護施設は、全国初の「赤ちゃんポスト」を設立した団体として再びマスコミに注目されることとなった。また、「赤ちゃんポスト」自体も再び議論の的になり、「遺棄することは許されない」や「赤ちゃんの人権を守るべきだ」という意見が多く寄せられた。

石家荘市児童養護施設院長の韓金紅氏は、「赤ちゃんを捨てる行為を止められないのであれば、なんらかの形で捨てられた赤ちゃんを守る方法をとるべきだ」と言う。

2.5平米から8平米に

初代の「赤ちゃんポスト」はもう代替わりし、現在は8平米の新しい「島」(上の図)となった。面積が拡大しただけでなく、冷暖房完備で赤外線感知器も設置されている。

扉を開けると赤外線感知器が感知し、4、5メートル先の守衛室に設置されたベルが鳴る。ベルに気付いた当直の係が到着したら、届けられた赤ちゃんを受け取る仕組みである。ぐっすり眠っている子がいる一方で、「オギャー、オギャー」と泣きわめく子もいる。一緒の荷物の中には、哺乳瓶、ミルク、おむつとわずか数行の病歴および出生年月日の紙が残されている。

石家荘市児童養護施設スタッフの秦波氏は、屋根の下に置かれた初代「赤ちゃんポスト」を指さして「初代はわずか2.5平米だ」と言う。2011年6月1日、石家荘市児童養護施設の初代「赤ちゃんポスト」は、全国初の試みとして設置された。

石家荘市もほかの都市同様に、病院、公園や児童養護施設の周辺に赤ちゃんが捨てられるケースが多い。以前は毎月10人ほどの赤ちゃんが児童養護施設の周辺に捨てられていた。道路の脇、芝の上やトイレに捨てられていたケースもあった。すぐには気付かれにくく迅速な治療が受けられなかったため、すでに死亡している赤ちゃんもいた。

秦波氏は、「捨てられた赤ちゃんに気付いたときは、すでにしもやけや熱中症になっていたり、アリや蚊に刺されていたりと、外傷を負っているケースが多い。」と眉を顰めて言う。

「赤ちゃんポスト」が設置される前に、院長の韓金紅氏は、捨てられた赤ちゃんの両親と接触したことも、赤ちゃんを連れて帰るように説得したこともあった。「もしかしたら、彼らは一時的に迷ってしまっただけなのではないか」と思っていたこともあった。

たとえば、数年前、韓金紅氏は、捨てられた赤ちゃんの両親を説得したことがある。彼らは農村出身で、赤ちゃんの病気の治療に3万元ほどかかるが、家の全財産を売り払っても8000元にしかならないと訴えた。結局彼らは、一度赤ちゃんを連れて帰ったものの、夜になると再び赤ちゃんを児童養護施設の玄関前に置き去りにした。

「どうせ止められないのであれば、赤ちゃんが人目に付きにくい場所に捨てられるよりは、こちらで保護施設を作ったほうがよい」と韓金紅氏は考えた。そうやって「赤ちゃんポスト」は赤ちゃんが捨てられてから入院するまでを繋ぐ施設として設置された。

「赤ちゃんポスト」に捨てられた赤ちゃんの死亡率が著しく下がった。

初代の「赤ちゃんポスト」には赤外線感知器が装置されていなかった。見回りは当直の仕事であり、彼らは2時間ごとに見回る必要があった。

石同桃ちゃんは、ここで受け取った21人目の赤ちゃんだ。とある曇りの寒い朝、守衛室の安玉紅氏が、肌が真っ白な女児を見つけた。同時に彼女を包むおくるみの中に赤い便箋があった。「2011年1月20日10時生まれ」と記されていた。生後わずか10か月だった。

「実は「赤ちゃんポスト」が設置されてからまもなく赤ちゃんが届けられていた」と秦波氏は言う。

石家荘市児童養護施設は1917年に設立された。「赤ちゃんポスト」の設置により、この河北省省都の児童養護施設は、多く人の非難の的となった。

「全国初のプレッシャーは、想像を絶するものだった」と秦波氏は言う。当時、争点となったのはやはり「人権を守るべきか、遺棄を許さざるか」だった。

確かに遺棄は違法行為だ。「わざわざ遺棄された赤ちゃんを受け取る施設を設置することは、無責任な行為を放任しておくことと等しい」という者もいる。設置により、遺棄される数が増加するかもしれないというのだ。

しかし実際は、「赤ちゃんポスト」の設置により、遺棄の数が増えたわけではなかった。

公開されたデータによると、2011年6月から同年末まで、「赤ちゃんポスト」には24人が収容された。石家荘市児童養護施設では全市範囲内で75人が収容された。その数は、2010年同期の83人や2009年同期の105人を下回っているのだ。

現在、石家荘市児童養護施設では毎月10人ほどが収容されており、その数はほぼ横ばいだ。むしろ、「以前、石家荘市児童養護施設周辺に捨てられた赤ちゃんが入院後生きられる確率は、全体のわずか3分の1だったのに対し、赤ちゃんポストに届けられた赤ちゃんの死亡率ははるかに低く抑えられている。」と秦波氏は胸を張る。

(後編に続く)

執筆者

来源: 鄭州晩報    发布者:王戦龍

執筆者所属  
翻訳と校正 翻訳:陳セイ 校正:棚田由紀子
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